豪華かつパワフルでスタイルもヨシ! 昭和から平成に誕生したパワフルセダン3選
近年、日本の自動車市場では、人気の低迷からセダンのラインナップは減少してしまいました。しかし、1990年代まではまさにセダン全盛の時代であり、さまざまなモデルが展開されていました。そこで、昭和から平成初期にかけて誕生したパワフルかつラグジュアリーなターボセダンを、3車種ピックアップして紹介します。
昭和の終わりから平成初期に誕生した高性能ラグジュアリーセダンを振り返る
現在、世界的にSUVが人気となっており、その反面、市場でのシェアが減少傾向にあるのがセダンです。とくに日本では2000年代から極端に人気が低迷し、ラインナップも縮小されてしまいました。
一方、1990年代まではセダンはファミリーカーとしてもパーソナルカーとしても人気が高く、まさに隆盛を極めていたといえるでしょう。
ラインナップも豊富で、小型のベーシックなモデルから大型のラグジュアリーセダンまで、あらゆるセグメントのセダンが存在しました。
また、1980年代以降は高性能化も顕著で、ラグジュアリーセダンでもハイスペックなモデルが存在。
そこで、昭和の終わりから平成初期に誕生した個性的かつ高性能な高級セダンを、3車種ピックアップして紹介します。
●日産「シーマ タイプII-S/タイプIIリミテッド」
日産は2021年3月に、女優の伊藤かずえさんの愛車、初代「シーマ」のレストアをおこなうと発表し、令和の時代に再びシーマが注目されました。
初代シーマは1988年1月に誕生。販売チャネルの違いによって正式な車名(初代のみ)は「セドリックシーマ」と「グロリアシーマ」です。
プラットフォームはY31型セドリック/グロリアをベースとし、ボディは3ナンバー専用の4ドアピラーレスハードトップを採用。全長4890mm×全幅1770mm×全高1380mm(タイプIIリミテッド)と、ロー&ワイドなフォルムで、全長の長さを生かした伸びやかでスタイリッシュなデザインとなっていました。
グレード構成はエンジンの違いと装備によって「タイプI」「タイプII」「タイプII-S」「タイプIIリミテッド」の4タイプを展開。
タイプII-S/タイプIIリミテッドに搭載されたエンジンは、最高出力255馬力を誇る新開発の3リッターV型6気筒DOHCターボ「VG30DET型」で、V型6気筒DOHCターボエンジンはシーマが日本初でした。
タイプI/タイプIIには最高出力200馬力を発揮する3リッターV型6気筒DOHCエンジン「VG30DE型」が搭載され、トランスミッションは全グレードとも4速ATで駆動方式はFRの2WDのみです。
スタイリッシュなデザインとは裏腹に、ターボエンジン搭載車は車重1640kg(タイプIIリミテッド)の重量級ボディをものともしない驚異的な加速力を発揮しました。
アクセルを大きく踏み込んだゼロ発進加速では、リアサスペンションを大きく沈ませた姿勢となり、そのままの姿勢で加速する姿がシーマのパワフルさの証でした。
内装は過度の加飾を廃した比較的シンプルな印象で、当然ながら快適装備は充実。さらに、当時普及が始まったばかりの高額な自動車電話もオプション設定されるなど、バブル景気を象徴するモデルといえました。
初代シーマの発売当初の価格は500万円ほどとかなり高額で、デビュー当初はヒットには至りませんでしたが、1989年に物品税が廃止されたことや自動車税の大幅な軽減が図られたことを受け、一躍ヒット車となりました。
シーマのヒットに続いて他メーカーの高級セダンも販売が好調となり、後に経済紙は「シーマ現象」と報道したほどです。
なお、前述の伊藤かずえさんのシーマは、順調に完成へと向かっているようです。
●ホンダ「レジェンド V6 Ti」
1980年代のホンダは「シビック」と「アコード」を主力車種として展開していましたが、1986年にアメリカで、さらなる顧客獲得のための高級車ブランド「アキュラ」の展開を開始し、フラッグシップとしてデビューしたのが、初代「レジェンド」です。
日本ではアキュラ立ち上げに先駆けて1985年に発売され、ホンダ初の高級車として大いに話題となりました。
ボディは自動車税の関係から5ナンバーサイズが基本で、ボンネットラインを低く抑え、高級セダンでは斬新なブリスターフェンダーを採用するなど、スポーティなイメージでデザインされていました。
搭載されたエンジンは静粛性と高出力の両立を目指した同社初のV型6気筒SOHCで、最高出力165馬力の2.5リッター「C25A型」と145馬力の2リッター「C20A型」をラインナップし、フロントタイヤを駆動。
足まわりではフロントがダブルウイッシュボーン、リアがストラットとされ、優れた乗り心地と安定したコーナリング性能を実現しました。
そして1988年のマイナーチェンジでは、フロントフェイスをより高級感のあるデザインに一新すると同時に、「シティ ターボII」以来となるターボエンジンを搭載した「V6 Ti」シリーズを追加ラインナップ。
このエンジンで特徴的だったのがターボチャージャーで、タービンブレードの周囲に4枚の固定ウイングと可変ウイングをそれぞれに設け、エンジンの運転状況に応じて可変ウイングの角度を変化させることで排気ガスの速度を制御。リニアに過給圧をコントロールする画期的なもので、ホンダは「ウイングターボ」と呼称しました。
このウイングターボは2リッターエンジンのみで、最高出力は190馬力を誇り、さらにターボラグが抑えられたことであらゆる回転域から鋭い加速力を発揮。
初代レジェンドはホンダらしいスポーティなラグジュアリーセダンという、新たな世界観を築きました。
●トヨタ「アリスト 3.0V」
前述のシーマに続くように、1989年にトヨタは高級車の概念を大きく変えた初代「セルシオ」を市場に投入しました。
セルシオは日米でヒット作となり、トヨタはさらに新たな高級セダンとして、1991年に初代「アリスト」を発売。
外観はロー&ワイドを強調した斬新なクーペフォルムを採用したことが特徴で、このデザインの原案を手掛けたのは、巨匠ジョルジェット・ジウジアーロが主宰するイタルデザインです。
さらに、アリストの人気を不動のものとしたのがエンジンで、トップグレードの「3.0V」には最高出力280馬力を誇る3リッター直列6気筒ツインターボ「2JZ-GTE型」を搭載。2JZ-GTE型は後に「A80型 スープラ」にも搭載されるなど、当時はトヨタを代表するスポーツユニットでした。
このエンジンによる加速力は強烈で、アリストのキャラクターを決めたといっても過言ではありません。
また、エンジンパワーに見合うように足まわりには4輪ダブルウイッシュボーンを採用し、電子制御サスペンションの「ピエゾTEMS」やトルセンLSDを設定するなど、優れた乗り心地だけでなくコーナリング性能も追求されていました。
その後、1992年にはセルシオと同型の4リッターV型8気筒自然吸気エンジンを搭載した4WDモデル「4.0Zi-Four」が追加されましたが、3.0Vの人気が圧倒的でした。
1997年に初代からキープコンセプトとした2代目が登場し、2005年に国内モデルとしてレクサス「GS」へと高性能ラグジュアリーセダンの系譜が受け継がれました。
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繰り返しとなりますが、日本においてセダン人気は低迷が続いています。しかし、2021年11月中には、スバル新型「WRX S4」の国内モデルが発表される予定です。
さらに直近では、4ドアセダンではありませんがホンダ新型シビックが発売されるなど、セダン系モデルが新たに誕生しています。
かつてのようにセダンが主力モデルへと復活することはかなり難しいといえますが、いずれにしても新型の高性能セダンが登場するのは、ファンにとって朗報ではないでしょうか。
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