クロカン車が大ヒットしただけじゃない? RVブームをけん引した車3選

現在、世界的にSUV人気が続いており、もはやブームといっても過言ではありません。一方、1990年代の初頭には日本の自動車市場でRVブームが起こり、今のSUV人気を上まわるほどRVが売れました。そこで、RVブームをけん引する存在だったクルマを、3車種ピックアップして紹介します。

空前のRVブームをけん引したクルマを振り返る

 近年、日本のみならず世界的にもSUV人気が高まり、現在も衰える気配はありません。一方、1990年代の初頭に、国内の自動車市場ではRVが空前のブームとなりました。

RVブームで大ヒットし、ブームのけん引役となったクルマたち
RVブームで大ヒットし、ブームのけん引役となったクルマたち

 RVとは「レクリエーショナル・ビークル」の略で、レジャー用途に適したクルマのことを指し、厳密にはRVというカテゴリーのクルマはありませんが、クロスカントリー4WD車やステーションワゴン、ミニバンなどが該当しました。

 このRVブームの発端は1980年代の終わりに起こったスキーブームやアウトドアレジャーブームで、そうした用途に適したクルマが人気となり、とくにクロカン車は各社とも大ヒットを記録したほどです。

 そこで、RVブームをけん引した存在のクロカン車、ステーションワゴン、ミニバンを、3車種ピックアップして紹介します。

●三菱「パジェロ」

まさにRVブームでもっとも輝いていた1台の2代目「パジェロ」

 1982年5月に、三菱は初代「パジェロ」を発売しました。同社の本格オフローダー「ジープ」に匹敵する悪路走破性と信頼性がありながら、普段使いが可能な快適性や高速走行安定性も考慮した新時代のクロスカントリー4WD車です。

 そして、前述のスキーブームやアウトドアレジャーブームに端を発し、パジェロの人気が急上昇。1991年1月には、さらに悪路走破性や走行性能、快適性、安全性を向上させた2代目パジェロがデビューしました。

 ボディバリエーションはショートとロングで、ショートでは標準の3ドア「メタルトップ」と、2ドアで後席部分がオープントップとなる「Jトップ」を設定。ロングでは3列シートのラグジュアリーな「ミッドルーフ」と後席がハイルーフとなる「キックアップルーフ」があり、さらにロング/ショートともに5ナンバーボディとワイドフェンダーが装着された3ナンバーボディがラインナップされました。

 エンジンバリエーションも当初から3リッターV型6気筒ガソリンと、2.5リッター直列4気筒ディーゼルターボの2種類を用意し、豊富なグレードを展開することでさまざまなニーズに対応。

 また、4WDシステムはパートタイム式とフルタイム式の両方の長所を併せ持つ「スーパーセレクト4WD」を搭載しており、優れた路走破性を発揮するだけでなく、あらゆる路面で高い操縦安定性、安全性、経済性を実現しました。

 2代目パジェロはパリ・ダカールラリーでの優勝によってブランドイメージの向上も果たし、まさにRVブームの火付け役として大ヒットを記録しました。

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●スバル「レガシィ ツーリングワゴン」

高性能なエンジンにフルタイム4WDでスポーツワゴンのジャンルを確立した初代「レガシィ ツーリングワゴン」

 1980年代はターボエンジンの普及によって、国産車の高性能化が一気に加速しました。しかし、そんなトレンドに出遅れていたのがスバルで、「レオーネ」に高性能モデルをラインナップするも絶対的なパワーやシャシ性能は他メーカーに大きく水をあけられてしまいました。

 そこで、起死回生の一打として、1989年1月にエンジンからシャシに至るまですべて新開発された初代「レガシィ」を発売。ボディはスタイリッシュなセダンとステーションワゴンの「レガシィ ツーリングワゴン」をラインナップしました。

 セダンのトップグレード「RS」には最高出力220馬力を誇る2リッター水平対向4気筒ターボエンジン「EJ20型ターボ」を搭載し、フルタイム4WDが組み合わされ、あらゆる路面状況でも高い高速性能を発揮します。

 さらにEJ20ターボエンジンは同年9月にはツーリングワゴンにも搭載され、最高出力200馬力とややデチューンされていましたが、ステーションワゴンとしては異例の高出力で、スポーツワゴンというジャンルを確立。

 ハイスペックな4WDワゴンは高速道路からスキー場への移動にも最適なモデルということから、レガシィ ツーリングワゴンは大ヒットし、他メーカーも追従して同様なコンセプトのステーションワゴンが次々に発売されました。

 RVブームの頃はステーションワゴンが定番の人気車種となり、まさにレガシィ ツーリングワゴンはブームの立役者といえるでしょう。

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●ホンダ「オデッセイ」

ホンダ初のミニバンで、ヒットしたことからホンダの救世主にもなった初代「オデッセイ」

 1990年代の初頭といえば日本でバブル景気が崩壊し、各自動車メーカーの経営状態にも大きな影響がありました。

 なかでもホンダは、同時期に大ヒットしたモデルがなかったことから、バブル期に高騰した開発費や設備投資の回収が困難となり、経営状況は危機的状況に陥りました。

 当時の経済界では、三菱銀行(現在の三菱UFJ銀行)がホンダのメインバンクだったことから、三菱に買収されるのではという噂が出たほどです。

 しかし、1994年に同社初のミニバンである初代「オデッセイ」が登場。5代目「アコード」のプラットフォームをベースに開発され、乗用車と変わらぬドライブフィーリングに、FFの恩恵である広い室内空間から大ヒットを記録しました。

 初代オデッセイの登場以前から他メーカーからもミニバンが販売されていましたが、1BOXバンの延長線上にあり、商用車のイメージから脱却していないモデルが主流でした。

 そんななか初代オデッセイは、ステーションワゴンタイプの洗練されたデザインを採用し、リアドアをヒンジドアとしたこともヒットの理由でしょう。

 エンジンは全車2.2リッター直列4気筒を搭載し、トランスミッションは4速ATのみ。ATはコラムシフトを採用したことにより前席から後席へのウォークスルーも可能で、多彩なシートアレンジと相まって、優れたユーティリティを実現。

 オデッセイのヒットに続き、1996年にはより小型の5ナンバーサイズで全高の高いミニバンの「ステップワゴン」を発売してヒット作となり、ホンダは経営危機から完全に回復しました。

※ ※ ※

 2021年をもって国内向けのオデッセイは生産を終える予定で、奇しくも今回の3車種はすべて絶版車となってしまいます。

 かつて隆盛を極めメーカーに多大な貢献をした3台ですが、時代の移り変わりによるニーズの変化には、抗えないということでしょう。

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