ホンダ「フィット」のスポーティグレードってなくして良かったの? 魅力的だった程よい走り系モデルとは
2020年2月にフルモデルチェンジしたホンダ「フィット」は、5つのスタイルを揃えたことが特徴ですが、歴代モデルに設定されていたスポーティグレードは存在していません。これまでのフィットのスポーティグレードにはどのようなモデルがあったのでしょうか。
現行フィットへの全面刷新でスポーティグレードが消滅
ホンダ「フィット」は2020年2月にフルモデルチェンジされ、現行モデルは4代目です。
現行フィットは心地よさを追求するとともに、ユーザーのライフスタイルに合わせた5つのバリエーションとして、シンプルな「ベーシック」、デザイン性と快適性を備えた「ホーム」、アクティブな「ネス」、SUV風の「クロスター」、スタイリッシュな「リュクス」を設定しています。

ハイブリッドシステムは、エンジンで発電しながら2モーターで駆動する「e:HEV」に刷新され、ガソリン車は1.3リッターエンジンを搭載します。
コンプリートカーの「モデューロX」もラインナップされており、チューニングされたサスペンションとエアロパーツによるスポーティな走りを特徴としていますが、パワートレインは標準モデルと同じ。
e:HEVのモーターが低速域から十分なパワーを発揮することから、全グレードがスポーティになったとみなすこともできますが、その一方で、歴代フィットが設定していたようなスポーティグレードはなくなってしまったのです(MT車も廃止)。
ホンダのスポーティグレードといえば「タイプR」ばかりが注目されますが、程よいスポーティさを演出したグレードとして、3代目までのフィットやその祖先にあたる「シティ」や「ロゴ」にもスポーティグレードが設定されていました。
これまでのフィットに存在していたスポーティグレードには、どのようなモデルがあったのでしょうか。
2001年に発売された初代フィットは、同時期のトヨタ「ヴィッツ」や日産「マーチ」、マツダ「デミオ」とともに実用的なコンパクトカーとして好調な販売を記録しました。
初代のグレード構成はシンプルで、1.3リッターガソリンとCVTの組み合わせのみ。エンジンの最高出力は86馬力と控えめながら、やや固めのサスペンションにより活発に走るモデルでした。
ヴィッツには「RS」、デミオには「スポルト」というスポーティグレードがあるなか、フィットにもスポーティグレードの登場が望まれていましたが、2002年に110馬力の1.5リッターエンジンを搭載する「1.5T」を追加設定。
当初はCVTのみでしたが、やや遅れてFFモデルに5速MTを追加しています。
このグレードは決して第一級の速さを誇ったわけではありませんが、程よくスポーティな雰囲気と小気味良い走りが可能でした。
標準グレードとの外観変更点はわずかで、日常的に使える軽快なスポーティグレードといえました。
2007年に発売された2代目フィットは、初代フィットの正常進化モデルでした。
一方メカニズムの変更点は多く、1.3リッターエンジンはSOHC2バルブ式のツインプラグからSOHC4バルブ式に変更。CVTはホンダ独自の多板クラッチとの組み合わせから、一般的なトルクコンバータに変更されました。
スポーティグレードは名称を1.5Tから、初代シビックのスポーティグレードが名乗っていた「RS」に変更。
RSは「ロードセイリング」の頭文字を取ったもので、ヨットが水面を滑走するように、道路上を滑るように走ることを意味しています。
この頃、スズキ「スイフト」がスポーティハッチバックとして成功の兆しを見せるようになるなど、スポーツコンパクトカー市場が形成されつつありました。
そこでフィット RSは2010年のマイナーチェンジで、より本格的なスポーティハッチバックへと性格を変えます。
イメージカラーを初代「シビックRS」に設定されていたオレンジ色とし、各部の造形をシャープに変更。
さらに、標準仕様もRSも5速だったMTをRSのみ6速化し、走りの性能強化とともに特別なグレードであることを前面に押し出していきます。
同時に、エンジンをモーターでアシストする「IMA方式」を採用したハイブリッドモデルも追加され、RSにもハイブリッド仕様が登場。独創的な6速MT+ハイブリッドシステムを搭載しました。
これはスポーツクーペの「CR-Z」と同等のシステムで、フィット ハイブリッドでもスポーツ走行が可能となっていました。



































