ホンダ「フィット」のスポーティグレードってなくして良かったの? 魅力的だった程よい走り系モデルとは

2020年2月にフルモデルチェンジしたホンダ「フィット」は、5つのスタイルを揃えたことが特徴ですが、歴代モデルに設定されていたスポーティグレードは存在していません。これまでのフィットのスポーティグレードにはどのようなモデルがあったのでしょうか。

現行フィットへの全面刷新でスポーティグレードが消滅

 ホンダ「フィット」は2020年2月にフルモデルチェンジされ、現行モデルは4代目です。

 現行フィットは心地よさを追求するとともに、ユーザーのライフスタイルに合わせた5つのバリエーションとして、シンプルな「ベーシック」、デザイン性と快適性を備えた「ホーム」、アクティブな「ネス」、SUV風の「クロスター」、スタイリッシュな「リュクス」を設定しています。

オレンジが鮮やかな2代目「フィット RS」(2010年10月マイナーチェンジ)
オレンジが鮮やかな2代目「フィット RS」(2010年10月マイナーチェンジ)

 ハイブリッドシステムは、エンジンで発電しながら2モーターで駆動する「e:HEV」に刷新され、ガソリン車は1.3リッターエンジンを搭載します。

 コンプリートカーの「モデューロX」もラインナップされており、チューニングされたサスペンションとエアロパーツによるスポーティな走りを特徴としていますが、パワートレインは標準モデルと同じ。

 e:HEVのモーターが低速域から十分なパワーを発揮することから、全グレードがスポーティになったとみなすこともできますが、その一方で、歴代フィットが設定していたようなスポーティグレードはなくなってしまったのです(MT車も廃止)。

 ホンダのスポーティグレードといえば「タイプR」ばかりが注目されますが、程よいスポーティさを演出したグレードとして、3代目までのフィットやその祖先にあたる「シティ」や「ロゴ」にもスポーティグレードが設定されていました。

 これまでのフィットに存在していたスポーティグレードには、どのようなモデルがあったのでしょうか。

 2001年に発売された初代フィットは、同時期のトヨタ「ヴィッツ」や日産「マーチ」、マツダ「デミオ」とともに実用的なコンパクトカーとして好調な販売を記録しました。

 初代のグレード構成はシンプルで、1.3リッターガソリンとCVTの組み合わせのみ。エンジンの最高出力は86馬力と控えめながら、やや固めのサスペンションにより活発に走るモデルでした。

 ヴィッツには「RS」、デミオには「スポルト」というスポーティグレードがあるなか、フィットにもスポーティグレードの登場が望まれていましたが、2002年に110馬力の1.5リッターエンジンを搭載する「1.5T」を追加設定。

 当初はCVTのみでしたが、やや遅れてFFモデルに5速MTを追加しています。

 このグレードは決して第一級の速さを誇ったわけではありませんが、程よくスポーティな雰囲気と小気味良い走りが可能でした。

 標準グレードとの外観変更点はわずかで、日常的に使える軽快なスポーティグレードといえました。

 2007年に発売された2代目フィットは、初代フィットの正常進化モデルでした。

 一方メカニズムの変更点は多く、1.3リッターエンジンはSOHC2バルブ式のツインプラグからSOHC4バルブ式に変更。CVTはホンダ独自の多板クラッチとの組み合わせから、一般的なトルクコンバータに変更されました。

 スポーティグレードは名称を1.5Tから、初代シビックのスポーティグレードが名乗っていた「RS」に変更。

 RSは「ロードセイリング」の頭文字を取ったもので、ヨットが水面を滑走するように、道路上を滑るように走ることを意味しています。

 この頃、スズキ「スイフト」がスポーティハッチバックとして成功の兆しを見せるようになるなど、スポーツコンパクトカー市場が形成されつつありました。

 そこでフィット RSは2010年のマイナーチェンジで、より本格的なスポーティハッチバックへと性格を変えます。

 イメージカラーを初代「シビックRS」に設定されていたオレンジ色とし、各部の造形をシャープに変更。

 さらに、標準仕様もRSも5速だったMTをRSのみ6速化し、走りの性能強化とともに特別なグレードであることを前面に押し出していきます。

 同時に、エンジンをモーターでアシストする「IMA方式」を採用したハイブリッドモデルも追加され、RSにもハイブリッド仕様が登場。独創的な6速MT+ハイブリッドシステムを搭載しました。

 これはスポーツクーペの「CR-Z」と同等のシステムで、フィット ハイブリッドでもスポーツ走行が可能となっていました。

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4件のコメント

  1. フィットはこれまで「リアドアのないスポーツカーを買いたくても買えない客」が求める
    「MTのあるスポーティな5ナンバー5ドアハッチバック」だからこそ安定した売れ行きがあった

    実際に先代は5ナンバー5ドアハッチバックの中ではMTの売上比率が高くて
    RSの比率も高かったのにそれを捨てたら過去に買い支えたオーナーは必然的に去ってくし

    恐らくメーカーはスポーティ性を求めない新規ファミリー層を狙ったんだろうけど
    そういった客はN-BOXやフリードみたいなよっぽど分かりやすい背景でもない限り根本的に
    「トヨタでいいや」に逃げられるのがオチだから新型のフィットは
    フリードよりも売れない惨敗状態になってるのも当然の結果

  2. modulo Xが出たから、これが事実上RSの代替グレードなんじゃないかな?
    走りもかなり良いみたいだし。

  3. スポーツグレードは遅れて、
    発売される可能性も有るのでは。

    室内の広さ等、総合力ではトヨタ
    ヤリスに、大きく負けている訳では無いが。
    発売当初からの積極的な、
    テレビCM攻勢に負けている感じがする。

  4. 現行でも売れ筋はベーシックだし、
    歴代見てもRSなどのスポーティー仕様は全体の一割にも満たないはず、
    F1レースなどのイメージでホンダ=スポーツを叫ぶ古いファンはともかく
    一般客はお買い得かどうかでしか比べてないんだよ。

    スポーティグレードが無くなったから売れてないというのは
    偏見であり、当てつけに過ぎない。

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