なぜトヨタ「ハイラックス」のみ現存? SUV人気もピックアップは減少! 一方「軽トラック」は定着する理由

日本では、かつて各社がピックアップトラックを販売していました。しかし、2021年10月現在、新車販売をおこなっているのはトヨタの「ハイラックス」のみです。なぜ、日本はピックアップトラックが少ないのでしょうか。

「税制優遇」は本質的な理由ではない?

 北米や東南アジアではメジャーなカテゴリーとなっているピックアップトラック。
 
 しかし、日本国内では、2021年10月現在、新車販売をおこなっているのはトヨタ「ハイラックス」のみです。

 かつては日産「サニートラック」や三菱「トライトン」なども販売されていましたが、なぜ日本はピックアップトラックが少ないのでしょうか。

2021年10月現在、日本ではトヨタ「ハイラックス」のみが現存するピックアップトラック。(画像はZ“GR SPORT”)
2021年10月現在、日本ではトヨタ「ハイラックス」のみが現存するピックアップトラック。(画像はZ“GR SPORT”)

 ピックアップトラックとは、一般的に、キャビンとは別に独立したボンネットと荷台を持つクルマと定義されます。

 米国の国税庁にあたるアメリカ合衆国国内歳入庁(IRS)では、「車室内から容易にアクセスできない、内部の長さが6フィート(約183cm)以上の貨物エリアを備えた車両」に対して税制優遇をおこなっており、これをピックアップトラックの定義のひとつと見ることもできます。

 日本ではあまり見ることのできないピックアップトラックですが、米国ではもっともメジャーなカテゴリーです。

 実際に、2020年にアメリカでもっとも多く販売されたクルマは、1位がフォード「Fシリーズ」、2位がシボレー「シルバラード」、3位がラム「ピックアップ」と、上位をピックアップトラックが独占しています。

 日本の自動車メーカーも、トヨタ「タンドラ」や「タコマ」、日産「タイタン」「フロンティア」、ホンダ「リッジライン」などのモデルを販売しており、これらを合わせた米国のピックアップトラックの新車販売台数は、年間で200万台を優に超えるほどです。

 200万台という数字は、日本の全新車販売台数のおよそ半分に相当し、かなりの市場規模であることがわかります。

 しかし、日本国内ではピックアップトラック自体を見かけることがあまりありません。

 そもそも新車販売自体がほとんどおこなわれておらず、2020年10月時点で正規販売での新車購入が可能なピックアップトラックはトヨタ「ハイラックス」のみです。

 アメリカンなスタイルに憧れる人のなかには、前述の紹介したようなピックアップトラックを並行輸入して愛車とする場合もありますが、全体から見れば少数派といえるでしょう。

 なぜ、日本と米国でこれほどまでにピックアップトラックに対するニーズが異なるのでしょうか。

 この点について、「米国は農業が盛んだから」という理由が挙げられることがあります。

 農機具や大量の牧草を運搬するには、ピックアップトラックが必要不可欠というのがその根拠です。

 米国が世界有数の農業国であることは間違いではありませんが、それならば日本の軽トラック的な、より簡素で安価なものでもよさそうです。

 そもそも農業自体は日本を含む世界中でおこなわれているにもかかわらず、ピックアップトラックが売れていない地域も少なくありません。

 また、税制優遇が大きな理由といわれることがあります。実際に、前述の通り、米国ではピックアップトラックに税制優遇措置がとられており、乗用車に比べて購入価格や維持費などで割安感があります。

 もうひとつのピックアップトラックの巨大市場である東南アジア諸国でも、同様の税制優遇を見ることができます。

 ただ、これだけではピックアップトラックが日本で少ない本質的な理由とはいえません。

 一般的に商用車といわれる、貨物車や事業用車両に対する税制優遇は日本でもおこなわれているからです。

 優遇の内容は各国で異なりますが、税制優遇だけでは、米国や東南アジアでピックアップトラックが人気であることの理由を説明することはできません。

 同様に、ボディサイズの問題も本質的な理由とはいえません。たしかに、米国で人気のピックアップトラックの多くが全幅2000mmを超え、全長は6000mmにもおよぶ超巨体です。そうしたクルマを日本で日常的に使用するのは困難でしょう。

 ただ、ピックアップトラックというのは、あくまでクルマのカテゴリーのひとつであり、ボディサイズは直接的にはほとんど関係がありません。

 例えば、上記のIRSの定義では、日本の軽トラックも該当するため、「ピックアップトラック=大きい」というわけではありません。

 このように考えると、定義によっては、ピックアップトラック自体はすでに日本にも多く存在しているということもできます。

 軽トラックも税制優遇がおこなわれており、その意味ではピックアップトラックの役割の一部は、軽トラックが果たしているといえるのかもしれません。

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6件のコメント

  1. セダンから後部座席を廃して荷台にしたようなスタイリッシュで背の低い
    元来のピックアップトラックにアウトドアグッズ乗せてキャンプに行きたい

  2. マイティーボーイ復活したら売れるかも?

  3. そんな農業農業と言ってますが農業がそこまで影響があると考えられません。
    アメリカで人気があるのは税金が安いことに加えて、道が広いこと、また文化として乗用車としてのピックアップが根付いていることがあると思います。
    日本では道も駐車場も狭すぎて荷台が無い車が人気なのだと思いますよ。
    また東南アジアでハイラックスが人気な理由は道、駐車場が狭く無いこと、走破性、機械としての信頼性が大きいのではないでしょうか。

  4. ピックアップトラック売れる売れないは
    大陸と島国との環境の違いが大きいかも?
    整備された都市部を除く荒れた道において
    道幅が広く駐車スペースもあるが一度に走行する距離が長く一台で多くの物積んでこなしたい大陸の道路事情
    対して
    道幅が狭く駐車スペースも狭く一度に走行する距離は短いのでより小さい車に積めるだけ詰め込み複数台もしくは複数回往復に分けて走る方が理にかなってる島国(日本)
    そんな事情から日本ではピックアップトラックが定着しなかったんでしょう。

  5. 洗練された文章ですが本質とは違いますね。アメリカに住めば、特に田舎エリアに行けばピックアップが車の象徴です。4人乗りも2人乗りも同じくらいポピュラーです。燃費が悪かろうが、”That’s the man!”なのですよ。外車を語るライターの人達は、日本から見た車の世界観しか知らない人が多いですね。

  6. 単純に軽トラックは2年車検、ピックアップトラックは毎年車検だからです。

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