急激なEVシフトはなぜ? メルセデス・ベンツ「EQシリーズ」続々登場の理由とは
2031年にはメルセデス・ベンツが「EV専業メーカー」になる!?
コンセプトEQTは、3列シート7人乗車のミニバンのEV。ボディサイズは全長4945×全幅1863×全高1826mmで、日本車でいえば、「アルファード」に近いものです。丸みを帯びたデザインは、ひと目でEQシリーズとわかるもの。MBUXインフォテイメントシステムや豪華なレザーシートを装備。
ミニバンが大人気な日本で発売されれば、けっこうな引き合いが期待できるモデルではないでしょうか。

そして春の上海モーターショーでワールドプレミアし、秋のIAA MOBILITYで欧州デビューを果たしたのがEQBです。こちらはSUV「GLB」のEV版で、コンパクトなサイズでありながら、3列シート7人乗りにすることも可能というのが魅力です。
2021年の年末までに欧州と中国で発売開始となり、翌2022年からアメリカでの発売が始まります。日本への導入も、それほど遠くないのではないでしょうか。
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今回のIAA MOBILITYで紹介されたEVだけでなく、メルセデス・ベンツには、すでに発売済みの「EQC」「EQA」というふたつのSUVが存在しています。これに、今回紹介したモデルを合わせると、合計8モデルにもなります。
とく今年に入っての堰を切ったようなEVモデルの急拡大の勢いは、驚くべきものでしょう。
メルセデス・ベンツは2021年7月、「Mercedes-Benz prepares to go all-electric」というリリースで、ある程度予告をしていました。
この内容を簡単にいえば「市場が許すかぎり、10年後にすべてをEVにする準備を進める」というものです。そのために、「2022年までに、すべてのセグメントにEVを投入する」と宣言していたのです。
つまり、今回の秋のIAA MOBILITYでの大量のEV発表は、有言実行であったのです。
ただし、メルセデス・ベンツは、「10年後の2030年前半にすべてがEVに切り替わる」とはいっていません。あくまでも「準備を進める」というものです。
また、メルセデス・ベンツは、それほどの準備をおこなわないと「ICE(内燃機)時代と同様の企業マージン」を維持できないと予測しています。つまり、それだけ欧州の「EVシフト」の動きはシリアスかつ強烈なのでしょう。
ただし、メルセデス・ベンツも「市場が許すかぎり」という前提条件を課しています。販売されるクルマがエンジン車になるのかEVになるのかを決めるのは、結局、購入するユーザーです。どんな未来になるのかは、誰もわかっていないのです。
そういう意味では、いまが「エンジン車の未来」を決める大事な時期なのかもしれません。
Writer: 鈴木ケンイチ
1966年生まれ。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。特にインタビューを得意とし、ユーザーやショップ・スタッフ、開発者などへの取材を数多く経験。モータースポーツは自身が楽しむ“遊び”として、ナンバー付きや耐久など草レースを中心に積極的に参加。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを、分かりやすく説明するように、日々努力している。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。











































