ラリー形式のカーイベントなら密を避けられる!? 「スプレンドーレ伊香保」に見る「線踏み」の奥の深さとは
2020年はコロナ禍の影響で、軒並みカーイベントが中止になりましたが、密を避けることができるラリーイベントなど徐々に復活しつつあります。そこで、初心者からベテランまで楽しめるラリー形式のカーイベントの楽しみ方をレクチャーします。
初心者からベテランまで、ラリーイベントは楽しい!
クラシックカーを初めて入手したら、その次はイベントに参加してみようと思う人は、決して少なくないだろう。もっとも身近なクラシックカーイベントといえば、日本全国各地で週末などにおこなわれているミーティングで、「リユニオン」などとも呼ばれる。
そしてミーティングと同じくらいに盛んに開催されているのが、ラリー形式のものであろう。ただ単に愛車を並べて同好の士たちと語り合うだけに飽き足らず、やはり「走り」の要素、さらにいえばモータースポーツの要素が含まれたイベントで愛車と腕試しをしたくなるというのは当然の願望である。
そんなファンの想いを汲んだラリーイベントは日本国内でも盛んに開催され、ビギナーへの敷居がもっとも低いクラシックカーのモータースポーツと目されている。
今回はそんなイベントのひとつ、2019年9月5日に群馬県を舞台として開催された「スプレンドーレ伊香保」のレポートと合わせて、クラシックカーによるラリーのあらましについても解説しよう。
群馬県の人気観光スポット「伊香保おもちゃと人形 自動車博物館」が主催する「スプレンドーレ伊香保」は、2009年8月に第1回が開催されたクラシックカーのレギュラリティ・ラリーイベント。2010年代後半までは姉妹イベントである「スプレンドーレ榛名」などとともに毎年開催されていたのだが、ここ数年は不定期の開催となっている。
とくに昨年は、新型コロナウイルス禍によってスプレンドーレ榛名ともども開催されなかったことから、今回は2年ぶりに仲間たちが集まることになった。
これまでのスプレンドーレ伊香保は、土曜日のスタートで日曜日にゴール。土曜の夜はウェルカムディナーというパターンでおこなわれることが多かったのだが、今回は新型コロナ感染対策を重視して、土曜日朝のスタートから、午後早めの時刻にゴールするという短縮型スケジュール、走行距離も約60kmというかなり短いものとなった。
しかも、エントラントを受け付けるチェックインの際には検温を徹底。また、通常ならばスタート前に全エントラントを集めて、コースやルールなどについて説明・確認する「ドライバーズミーティング」も取りやめ、チェックイン時にゼッケンサークルなどと一緒に手渡しするエントリーキットに同封されていたドキュメントをエントラント各自が読んで、内容を確認してもらうこととしていた。
今回のスプレンドーレ伊香保では、参加資格を「1980年までに製造された車両」としていたものの、クラシック・ミニやトヨタ「AE86」、モーガンは年式を問わないとされ、主催者がとくに認めた車両にもエントリー権が与えられた。
●2年ぶりの開催に77台がエントリー
そして9月5日朝、伊香保おもちゃと人形 自動車博物館に設けられたスタート地点に集結したクラシックカーは、旧くは1929年型フォード「モデルA」をベースとするスペシャルレーサーから、新しいところでは1994年型フェラーリ「F355ベルリネッタ」に至る77台がエントリー。運転席と助手席に乗るドライバー/ナビゲーター(コ・ドライバーとも呼ばれる)たちとともに、楽しくも熾烈なラリーへと乗り出すことになった。
ところで、これまでの「スプレンドーレ伊香保」において、スタートやチェックポイントを通過する際には、博物館周辺の幼稚園などから小旗を両手に持った応援団がやってくるのが恒例となっていた。また、地元の警察署から白バイやパトカーなどもやってきて、子供たちとにぎにぎしくスタートを見送るさまが名物ともなっていたのだが、今年はやはり新型コロナ対策を優先するためにすべてキャンセル。博物館でのスタートセレモニーもおこなわれず、少々寂しい開幕となったことは否めなかった。
それでも、いざ競技が始まってしまえばエントラントたちの表情は一変し、本気モードに入る。この日、スタートおよび榛名湖畔の巨大な駐車場でおこなわれた4連続P.C.競技(P.C.については次ページで解説する)では、9月上旬とは思えないほどの冷たい雨に見舞われながらも、そんな悪天候など「どこ吹く風」。上位を狙うベテランはもちろん、このイベントでは少なくないビギナーたちも熱い戦いを展開していた。
そしてようやく雨の上がった午後、東吾妻町の風光明媚な温泉旅館「かやぶきの郷薬師温泉旅籠」に設けられた最終ゴールでは、無事に完走したドライバーとナビゲーターの全員が、満足げな笑みとともに迎えられることになったのである。
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