なぜ「タイプR」じゃない? ホンダ「NSX」6年で歴史に幕! 新時代の電動スーパースポーツは成功したのか

2代目NSXは成功したとはいえないが、挑戦したことは評価

 ただ、残念なのは、タイプSが2代目NSXのファイナルモデルであることです。「S660」や「レジェンド」「オデッセイ」「クラリティ」とホンダの生産中止が続くなか、「NSX、お前もか」と思ってしまうところもあります。

 ビジネス的に見ると、2021年7月の時点で世界生産台数2588台、そのうち日本向けは464台。そんな現実を突きつけられてしまうと、正直何もいえません。

初代NSXと2代目NSX
初代NSXと2代目NSX

 15年というロングライフとはいえ世界生産台数約1万8000台を販売した初代に対して、2代目が不振だった要因は価格設定を含めて色々あったと思いますが、恐らくハードやソフト云々だけでなく、シンプルで軽量がウリだった初代とのギャップが大きい2代目を受け入れたくないという人も多かったように感じられます。

 では、初代が掲げたコンセプトを継承した2代目だったら成功していたのでしょうか。筆者はそうは思っていません。

 初代NSXの考え方は、いまではどのスーパースポーツも採用しており、その延長線では「New Sporscar eXperience」は得られないと思っています。

 そういう意味では、2代目NSXはNew Sporscar eXperienceのために従来の枠に囚われない挑戦をおこなったといえないでしょうか。そこに関してはシッカリと評価するべきだと思っています。

 その結果、フェラーリ「SF90ストラダーレ」や「296GTB」、マクラーレン「アルトゥ-ラ」、そしてポルシェ「タイカン」など、スーパースポーツの世界に電動化の波は来ています。

 ただ、その世界を自ら切り開いておきながら、その時代にNSXは生産終了という皮肉さ。

 ちなみにNSX タイプSのプレスリリースの最後にはこのように記されています。

「継承されるチャレンジングスピリット
 新時代に向けた新たなチャレンジ

 ホンダは、NSXで培った人材、技術などを今後のクルマづくり、モノづくりに生かすことで、来たる電動化や新たな価値を持ったモビリティの中でも、お客さまに引き続き『走る喜び』『操る喜び』を提供していくべく、チャレンジしていきます。

 最後に、NSXを愛してくださった、すべての皆さまに心より、感謝いたします」

※ ※ ※

 2016年の発表から6年で2代目は幕を下ろすことになりましたが、個人的には、3代目NSXは電動化を目指すホンダの頂点を体現するモデルいや、それでは当たり前すぎるので、我々を「おっ、そう来たか!」と驚かせてくれるモデルとして登場して欲しいです。

 再び「新しいスポーツカーの経験」ができる日を楽しみにしています、気長に待ちますので。

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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