なぜ「タイプR」じゃない? ホンダ「NSX」6年で歴史に幕! 新時代の電動スーパースポーツは成功したのか

ホンダのスーパースポーツ「NSX」(2代目)の最終モデルとして、「NSX タイプS」が限定販売されます。1990年に初代モデルが誕生して以来、NSXはどのような歴史を歩んできたのでしょうか。

いつの時代も新たなスーパーカーを目指した「NSX」

 いまから31年前の1990年、ホンダから1台のスーパースポーツが登場しました。それが初代「NSX」です。
 
 日本初のミドシップスーパースポーツとして開発され、オールアルミボディ、3リッターV型6気筒VTECエンジンなどの最新技術に加えて、スーパースポーツのパフォーマンスを「いつでも/誰でも/どこでも乗れる」というフレキシブル性が、NSXの車名を意味する「新しいスポーツカーの経験(New Sportscar eXperience)」のひとつでした。

日本で30台限定、2794万円で販売されるホンダ新型「NSX タイプS」
日本で30台限定、2794万円で販売されるホンダ新型「NSX タイプS」

 ただ、発売当初から絶賛されていたかというと、必ずしもそうではありませんでした。当時の自動車メディアの記事を振り返ってみると、「面白みに欠ける」、「官能性がない」、「普通すぎる」など。従来のスーパースポーツ像とは異なる初代NSXを素直に受け入れられない人も少なくはなかったようです。

 その後、1992年に「タイプR」追加、1995年に「タイプT」追加、1997年に1回目のビックマイナーチェンジ(エンジンを3.2リッター化)&「タイプS」追加、そして2002年のビックマイナーチェンジ(エクステリア変更)&タイプR(通称:02R)追加と、進化・熟成がおこなわれ、2005年に生産を終えています。

 それから10年後、2015年のデトロイトショーで2代目NSXが発表されました。初代NSXの考え方が世界のスーパースポーツのデフォルトとなった現在、2代目としてのNew Sporscar eXperienceは「スーパースポーツと電動化の融合」でした。

 それも単なる環境対応ではなく、「走りの楽しさをアシストする」という新たな挑戦です。その実現のためにメカニズムはすべて刷新されました。

 複合素材で構成されるスペースフレーム&ボディパネル、縦置きV型6気筒3.5リッター直噴ツインターボエンジン+リアモーターとフロント左右独立モーターを組み合わせる「スポーツハイブリッドSH-AWD」、アルミサスペンション&磁性流体式のアクティブダンパー、電動サーボシステムのブレーキなど、新たな武器が数多く盛り込まれています。

 それに加えて、「LPL(開発責任者)はアメリカ人のテッド・クラウス氏」、「アメリカのR&Dチーム主導で開発」、「オハイオ工場で生産」と新しい試みもおこなわれ、日本では2016年8月に発表および受注開始し、2017年2月に発売されました。

 当時、筆者(山本シンヤ)は、500psオーバーのスーパースポーツながら、視界の良さや一般道での扱いやすさは初代のDNAをシッカリと受け継いでいましたが、複雑な制御を採用するが故にサーキットなどでのスポーツ走行時にドライバーの操作とクルマの動きがリンクせずドキッとする状況もあり、ハード/ソフト共に熟成が必要だと感じたのも事実です。

 その辺りは開発陣も認識済みで、2019年におこなわれた1回目の大きな改良でシッカリと手が入りました。

 見た目は間違い探しレベルの変更ですがフットワーク系はすべて見直し。その結果、限界性能やコントロール性アップはもちろん、それ以上にドライバーとクルマの一体感、操作に対する動きの繋がりといった「ドライビングプレジャー」の部分は「別物か!?」というくらい洗練されました。

 ハードウェアの能力を使いこなせるようになったことや、いい意味で制御を感じさせない自然なフィーリングになったことなどから、ドライバーとクルマの信用関係が増したと感じました。そういう意味では、「機械に血が通い始めた」といったイメージです。

 じつは2019モデルからからLPL(開発責任者)は水上聡氏に変更され、開発も日本中心におこなわれるようになりました。

 この辺りは重箱の隅を突くこだわりや領域を超えておこなう“擦り合わせ文化”を特徴とする日本の血がより色濃くなったといえるでしょう。

【画像】カッコ良すぎる! 日本で30台限定&2794万円のホンダ新型「NSX タイプS」(41枚)

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