BMWモトラッドジャパン責任者インタビュー第3回/全3回

バイクジャーナリスト青木タカオさんのバイクメーカーのトップを直撃インタビューし、アレコレ聞く! ホンダモーターサイクルジャパン室岡社長へのインタビューに続き、今回はBMW Motorrad Japan ディレクター(二輪部門責任者)のLee Nicholls/リー・ニコルスさんに全3回にわたって話を伺っています。

ますます拡充するラインナップ

 青木:四輪スーパースポーツにおけるBMWのハイパフォーマンスモデルのシンボルとして知られてきた「M」をバイクにも採用した『M1000RR』を2020年9月に発表。クルマ好きには馴染みのある「M」を二輪ファンにどのように浸透させていきますか。

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「M」をバイクにも初めて採用した『M1000RR』

 リー:「M」は我々グループの中でもっともパワフルなもので、それが二輪にも採用されることは不思議なことではありません。四輪ユーザーに人気のある「M」が、モーターサイクルにもあることが知られることで、より多くの人にBMWのモーターサイクルを知ってもらうきっかけになります。レーシングシーンでも四輪/二輪いずれも「M」が走って、それぞれに相乗効果を生むのではないでしょうか。

『M1000RR』(378万3000円~)は日本では2021年2月1日から予約受付を開始しましたが、すぐに完売となりました。「M」は決して大量に販売するものではなく、「いつか乗りたい」と思っていただけるような特別なモデルなのです。

21年6月には、アンダー400ccの新型「G310」が発売

 青木:そうしたプレミアムモデルがある一方で、アンダー400ccの「G310」シリーズがあります。2017年に日本にも導入され、21年6月には「G310R」が新型となって発売されましたが、これまでシリーズを販売してきた手応えはいかがでしょうか。

 リー:普通二輪免許で運転できるとあって、ビギナーや若年層にも人気があってBMWのブランドを浸透させていくのに、とても重要な役割を担っています。お客様からの反応は、低価格でありながら軽快な走りが味わえ、扱いやすく操作しやすい、BMWらしいと好評を得ています。

『R18』でクルーザーセグメントへ進出した

 青木:『R18』(日本導入2020年5月)でクルーザーセグメントへ進出し、ハーレーダビッドソンはこれまでやってこなかったアドベンチャーセグメントへ参入してきました。お互いにジャンルやセグメントを越えてクロスオーバーする時代ですが、これをどう見ていますでしょうか?

 リー:お互いのユーザーをそれぞれが刺激しあって活性化するのは良いことですし、ビジネスを考えたときにそれは自然なこと。我々としては、いろいろなバイクを提供することでBMWの素晴らしさを多くの人に知ってもらいたいと考えるだけで、ラインアップはこれからも徐々に増えていきます。

カスタムシーンへの手応え

 青木:リーさんがMotorrad Japanの責任者になって以降、著名ビルダーらが『R nineT』や『K1600』のカスタムを手掛け、ホットロッドショーに出展するなど従来やってこなかったアグレッシブな動きがたくさんあり、我々メディアもその度に驚いてきました。もちろんいろいろな人がいるはずですが、BMWのユーザーさんはどちらかという真面目な印象な方も多く、正規販売店もまた然りで、否定的な意見など拒否反応は出なかったのでしょうか?

ホットロッドショーに出展されたカスタム・モデル「Departed」

 リー:5年前に日本へ来て感じたのは、バイクに少しだけアクセサリー類を付け加えるライトなカスタムユーザーがいる一方で、とことん手を入れるコアなカスタムユーザーも存在し、二極化している印象でした。私がやりたかったのはこの真ん中で、チョットしかアクセサリーを付けなかった人にはもう少しカスタムパーツを追加してもらいたいですし、行き過ぎている人には少しだけこちらへ戻ってきて欲しかったのです。

 青木:ハーレーと真っ向勝負を挑む『R18』は、これまた奥深いカスタムワールドが広がっています。また、我々が驚くような仕掛けを期待していますよ。

 リー:えぇ、もちろん私自身も『R18』で、どういったカスタムが出来上がるのか楽しみにしているんですよ。ビルダーによるハードなカスタムも待ち遠しいのはもちろん、お客様自身にカスタムを満喫してもらえたら言うことはありません。先ほども言いました、真ん中くらいの丁度いいカスタムですよね。

世界各国の選抜大会を勝ち抜きアマチュアライダーが参加できるGS Trophy

 青木:バイクの機種もそうですが、ユーザー層も広げようとさまざま工夫が見られます。そのひとつに「GSトロフィー」の体験会を開催するなど、門戸を広げようと試みていますね。

 リー:おっしゃるとおり「GSトロフィー」がすごくシリアスで、一部上級ライダーにしか参加できない雰囲気がありましたが、開催におけるそもそもの趣旨が「GSシリーズなら、こんなにも楽しい体験がみんなと一緒にできる」というものですので、より多くの人にエントリーしていただけるファンイベントへシフトしていこうと考えています。

絶やしたくないユーザーとの絆

 青木:「BMW MOTORRAD DAYS」も中止が続き、メーカーが主催するイベントでユーザーとつながっていく機会を得るのが難しい時代となりました。

 リー:皆さんが待ち望んでいる毎年恒例のビッグイベントが開催できなくなっているのは非常に残念ですが、現状を考えれば仕方がないことだと考えています。ただし将来的には、MOTORRAD DAYSのようなイベントは必ず戻ってくると信じています。ファンが一同に会し、飲んで食べていろいろなことを語らうコミュニケーションの大切な場所ですので、我々だけでなくお客様たちも望んでいるはずです。

長野・白馬村にオリジナル自動販売機を置く「BMW MOTORRAD HAKUBA 2021」

 ファンの皆さまとの絆を大切にし、次回の「BMW MOTORRAD DAYS」へ思いをつなげるべく、長野・白馬村にオリジナル自動販売機を置く「BMW MOTORRAD HAKUBA 2021」を9月30日(木)まで開催しています。コレクターズアイテムとなるTシャツを限定販売するというものです。ぜひ、みなさんに走りに来ていただきたいと思います。

 青木:今度はまた再開した「BMW MOTORRAD DAYS」でバイク談義したいですね。そのとき、どんなニューモデルが登場しているか、楽しみは尽きません。

 リー:はい、また会いましょう。今度はライディングしながら!

提供:バイクのニュース

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Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。

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