トヨタ「ランクル」2022年もダカールラリー参戦決定! 市販車クラス9連覇を狙うTLCとは

世界でもっとも過酷なクロスカントリーラリー、それは「ダカール・ラリー」です。1978年にパリ・ダカールラリーとしてスタートしたイベントはこれまで42回開催され、多くのドライバーや冒険家たちが挑戦してきました。1995年から27年連続で出場してきた「チームランドクルーザー・トヨタオートボデー(TLC)」もまた、ダカール・ラリーの壮大なストーリーの一編を紡いできました。そして、2022年1月の本番に向けて、TLCの新たな挑戦が始まっています。

世界一過酷なラリーにランドクルーザーで参戦

 ダカール・ラリーは、1978年にフランス人冒険家のティエリー・サビーヌ氏によって始められました(第1回目は「オアシス・ラリー」という名称)。

 オートバイレーサーだったサビーヌ氏の「パリからダカールまでラリーをしよう」というひと言で始まったこの競技は、元々はフランス・パリをスタート。その後、スペイン・バルセロナに移動して、そこからアフリカ大陸に上陸。そしてサハラ砂漠を駆け抜けて、セネガルの首都であるダカールの砂浜にゴールするというものでした。

 開催年によって異なりますが、競技は2週間から3週間にわたっておこなわれ、総走行距離は約8000kmにも及ぶ、前代未聞の壮大な冒険ラリーでした。競技は四輪車、二輪車、トラック、バギーが同じステージを走り、その総合タイムを競います。

TLCのトヨタ「ランドクルーザー」ダカール・ラリー2021参戦車両
TLCのトヨタ「ランドクルーザー」ダカール・ラリー2021参戦車両

 いまでは、砂漠やジャングルなどを駆け抜ける冒険的なラリーを「クロスカントリーラリー」、もしくは「ラリーレイド」と呼ぶのが一般的になりましたが、そのカテゴリーの先駆けとなったのが、まさにパリダカール・ラリーなのです。

 トヨタ車体の「チームランドクルーザー・トヨタオートボデー(TLC)」の参戦は(チームの前身となるトヨタ・チームアラコを含め)1995年からですが、それ以前には日本のチームACPがトヨタ「ランドクルーザー70(BJ74型)」で出場。また多くのプライベーターたちが、信頼性の高いランドクルーザーを選びました。

 そしてサハラ砂漠を舞台に、ライバルである三菱「パジェロ」やランドローバー「レンジローバー」と激闘を繰り広げ、日本のオフロード4WDファンを魅了しました。

 その後、ルートとなっていたアフリカの治安悪化を理由に2008年大会が中止。翌2009年の第31回大会から舞台を南米に移しましたが、ゴールの地名であったダカールの名は象徴として残り、『ダカール・ラリー』という名称で大会は続いていきました。さらに2020年には、舞台を中東のサウジアラビアに移し、現在に至っています。

 TLCの前身は、かつてランドクルーザーを生産していた「アラコ(荒川車体工業)」が主体となった「トヨタ・チームアラコ」。2005年大会でTLCに活動を引き継ぐまで、“市販車部門”において7度もクラス優勝に輝く快挙を達成しました。

 ちなみに、ランドクルーザー80系や100系、そして200系で参戦してきたのは「市販車部門(グループT2)」ですが、それはどのようなものなのでしょうか。

 市販車部門は、年間1000台以上の生産がおこなわれている市販車両に、規定で定められた安全装備(ロールケージなど)を装着したラリー車両が出場するクラスをいいます。このクラスのマシンは、エンジンや駆動系の主要部品は市販の状態のままというレギュレーションになっています。

 ラリー参戦のための改造において、比較的自由度が高い「改造車部門」とは異なり、市販車部門のマシンはベースとなるモデルの品質の高さが勝利のカギとなります。いってみれば市販車部門で優勝することは、世界中を走っているランドクルーザーの優秀さを実証することになるわけです。

 そして2022年。TLCは、1995年の参戦開始から28回目となるダカール・ラリーに挑戦します。

TLCのトヨタ「ランドクルーザー」ダカール・ラリー2021参戦の様子
TLCのトヨタ「ランドクルーザー」ダカール・ラリー2021参戦の様子

 出場車両は、トヨタ車体が生産するランドクルーザー200系。同車両としては14回目となり、200系最後の出場となります。ドライブするのは、昨年度の大会でランドクルーザーを見事に市販車部門8連覇に導いた、トヨタ車体社員の三浦昂(みうらあきら)選手たち。

 サウジアラビア北部のハイルをスタートして、首都リアドで一日休息。再び砂漠を疾走して、最終日には紅海を望むジェッダにゴールします。

 2022年1月2日から14日までの13日間、全12のスペシャルステージとリエゾンセクション(移動区間)を含めた約8000kmのラリーを戦う予定です。

 今回のメインステージは、“エンプティクオーター(何もない大地)”と呼ばれるルブアルハリ砂漠。100%砂丘路面の3ステージが予定されており、メカニックによる整備やスペアパーツ供給が一切禁止されるマラソンステージも、砂丘路面で設定されているといいます。

 昨今はマシンも高性能化して、砂漠でのアベレージスピードも驚異的なレベルに。三浦選手いわく、「砂丘では20km/hから30km/h程度の場所もありますが、比較的フラットな路面では180km/hは出ます」といいます。

 今回のダカール・ラリーも、ドライバーとナビゲーターに高度な技術を求める過酷なラリーになる模様で、三浦選手をはじめ、TLCの面々、ランドクルーザー200系がどのような闘いを繰り広げるのかが楽しみです。

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