実は偶然じゃない? 高速道路のトンネルで渋滞が意外に多い理由とは

高速道路で渋滞において、トンネルを要因とすることがあります。では、トンネルで渋滞に遭遇することが多い背景にはなにか理由があるのでしょうか。

実はトンネルの渋滞は偶然ではなかった?

 例年、連休の際には、高速道路などで渋滞の発生が見受けられますが、そのなかで、トンネルで渋滞に遭遇することが多い背景にはなにか理由があるのでしょうか。

なぜトンネルで渋滞が発生しやすいのか?
なぜトンネルで渋滞が発生しやすいのか?

 NEXCO西日本では、渋滞の原因を解説しています。

 それによると、もっとも多いのが「上り坂及びサグ部」といわれる部分で、交通集中渋滞の約58%を占めています。

 サグとは、下り坂から上り坂にさしかかる部分を指しており、ここでは無意識のうちに速度低下することで、後続車との車間距離が縮まり渋滞が起こるようです。

 次点では、交通集中渋滞の約20%がトンネルの入口付近で発生。また、残り14%はインターチェンジから流入する車の合流に伴い、一時的な交通容量の不足により渋滞が起きています。

 なかでもトンネルの入り口に多い理由としては、トンネル入り口部の暗がりや圧迫感により、一時的に速度低下するクルマと後続車との車間距離が短くなることで、後方を走るクルマが相次いでブレーキを踏むことで渋滞が発生するようです。

 また、トンネル付近で渋滞が発生しやすいことについて、国土交通省の担当者は次のように説明しています。

「トンネル付近で渋滞が多いのには、人間の心理的な要因があると考えられます。

 トンネル内は暗く、昼間は外に比べて見通しが悪いことに加え、圧迫感もあるため、スピードを落としてしまう運転者が多くなっています。

 車速が落ちることで、後続車が詰まってしまい、渋滞につながっていると考えられます」

 このように、クルマの減速がトンネル付近の渋滞につながっていることがわかりますが、渋滞を緩和するためには運転者はどのようなことを意識したら良いのでしょうか。

 JAFでは、過去に東京大学や警視庁と共同で高速道路における社会実験として、トンネル付近の渋滞緩和について渋滞吸収走行の検証をおこなっています。

 渋滞吸収走行とは、前走車との車間距離を十分にとって走行すると前走車が減速しても速度を保って走行できるため、ブレーキを踏む回数が減少することにより、渋滞の要因が解消出来る仕組みです。

 この実験について、JAFは次のように説明しています。

「渋滞は個人の力で解消できるか、という挑戦的な試みを東京大学と、警察庁の協力のもとで社会実験してみました。

 それは実は誰でもできる簡単なことで、前方に渋滞があれば急いで走っても仕方ないので、あえて速度を落してゆっくり走るだけです。

 結果、個人の運転方法を少し変えるだけで渋滞が緩和される様子を実証することができました。

 そしてこの方法は安全な車間距離をとることにつながり、追突事故も減ります。さらに、燃費もかなり向上することが分かりました。

 渋滞、事故、環境の観点から、まさに『三方よし』の方法なのです。一人でも多くの運転手にこの方法を知って頂き、今後は渋滞吸収に協力して頂ければ大変嬉しく思います」

 また、前出の国土交通省の担当者も、渋滞の緩和方法として車間距離を広くとることについて以下のように話します。

「車間距離を比較的広めにとることで、もし前方車両がトンネルの入り口などでブレーキを踏んでも、そのしわ寄せが後続車に伝わりにくく、後続車が詰まってしまうということにつながりにくくなっています。

 不要なブレーキをかけず、一定のスピードを保つように心がけることが重要です」

※ ※ ※

 渋滞を緩和するためには、車間距離を広くとるなど、運転者の少しの工夫が求められます。

 その一方で連休時には、移動の日程を調整するなど、交通量の少ない時間帯などを選ぶことも効果的であるといえるでしょう。

【画像】あの大和トンネルが渋滞緩和? 広がった様子を見る!(13枚)

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1件のコメント

  1. 高速道路の連続した車の流れで、単位時間で通行できる車の量は、その流れの中で一番通行量の少ない
    場所の流れにより決まります。通行量は単位距離に走行している車両数とその平均速度で決まります。
    一時的に平均速度が遅くなると、走行量を補完すために、車間距離を少なくして単位距離当たりの車両数を増やし流れる量を一定にしている走行状態がアコーデオン走行です。全員が一定の速度で走行できることが理想だが、現実には運転手は老若男女おり運転技量の差も大きいことを配慮すれば、少数の運転手の走行速度の変化で発生するアコーデオン走行による渋滞の緩和は、全運転者の運転操作に求める必要があり極めて困難である。解決方法としては速度を一定に保つクルーズコントロールの装備が有効であるが現状は高級車のみである。近い将来車がEV化し自動運転になれば全車両に装備されると予想され、それまでは一部の運転技量の低い人に合わせて渋滞を我慢しながら安全に走行するしかないであろう。現状で出来ることは渋滞が発生する場所に「速度を維持して走行する」看板等の設置くらいしか思いつかない。
    なお、安全のために車間距離を取ることは重要であるが、車間距離が大きくなると道路の通行量が少なくなり、盆や正月時の自然渋滞を助長する原因となる。道交法目的「安全・整斉とした交通の流れ」

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