絶版車人気を先取り? 生産終了後にジワジワ人気が出た車3選

近年、旧車やネオクラシックと呼ばれる絶版車が世界的にも人気となっています。そうしたモデルの多くは1980年代から1990年代に生産された高性能車ですが、こうしたムーブメントが起こる以前にも、絶版車が人気となった事例があります。そこで、生産終了後に再評価されてジワジワと人気が出たクルマを、3車種ピックアップして紹介します。

生産終了後に人気となったクルマを振り返る

 ここ10年ほどで、いわゆる旧車やネオクラシックと呼ばれるクルマが世界規模で人気となりました。人気の理由はさまざまな要因が複雑にからみあっていますが、とくに1990年代以前に生産された高性能車が、今では新車価格を大きく上まわる値段で取り引きされている状況です。

生産が終了してからジワジワと人気となった絶版車たち
生産が終了してからジワジワと人気となった絶版車たち

 こうしたムーブメントは最近始まったものではなく、過去にも繰り返し起こっています。

 現状は異常なまでに価格が上昇しているケースがほとんどですが、かつては特定のユーザー層からジワジワと人気となったことで、比較的安価な価格で推移した絶版車もあります。

 そこで、生産終了後に再評価されて人気が出たクルマを、3車種ピックアップして紹介します。

●ホンダ「ライフ ステップバン」

軽ハイトワゴンのスタイルを半世紀前に確立していた「ライフ ステップバン」

 ホンダは1972年に初代「シビック」を発売しました。FFを採用したことでコンパクトボディながら広い室内を実現し、優れた走りと経済性からヒットを記録。

 そのため、シビックの生産と次世代の登録車の開発を重視し、1974年には軽トラックの「TN」シリーズを除く軽自動車の生産を終えることになりました。

 その直前にデビューしたのが、軽バンの「ライフ ステップバン」です。

 大ヒットを記録した軽乗用車「N360」シリーズの後継車として、1971年に、水冷360ccエンジンを搭載した初代「ライフ」が誕生し、このライフのコンポーネンツを使った派生車として、1972年にライフ ステップバンが登場しました。

 外観は背が高いボクシーなフォルムで、極端に短いボンネットがあるセミオーバーキャブのスタイルを採用。現在の軽トールワゴン/ハイトワゴンの先駆け的存在です。

 当時の軽バンはフロントシート下にエンジンを置き後輪を駆動するFRが主流でしたが、ライフ ステップバンはFFだったことからプロペラシャフトが不要となり、フロア高を下げることで荷室容量の拡大に成功しました。

 しかし、前述のとおりホンダの決断によって、ライフ ステップバンは1974年に生産を終了。

 商用バンとしてヒット作にならなかったライフ ステップバンでしたが、生産を終了してからしばらくして若者を中心に再評価され、とくに1970年代の後半頃からサーファーから高い人気を誇りました。

 普段使いでの性能を向上させるため、「Z」やライフのツインキャブエンジンと5速MTに換装するチューニングもメジャーとなり、外観をデカールでカスタマイズするなどDIYで楽しむユーザーも多かったようです。

 なお、ライフ ステップバンはすでに生産終了から50年近く経とうしており、今ではかなり希少なクルマとなってしまいました。

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●三菱「デボネア」

1960年代のデザインが1980年代の終わりまで生き残った「デボネア」

 歴代の三菱車のなかでもカルト的なファンが多く、希代の珍車といえるのが初代「デボネア」です。

 1964年に誕生した初代デボネアは、1960年代のアメリカ車をモチーフにしたデザインを採用していましたが、これは、当時GMに所属していたハンス・ブレッツナー氏を三菱が招聘して、スタイリングに加わってもらったことで実現しました。

 エッジの効いたフィンタイプの前後フェンダーや、ボンネットとトランク上面が水平な「フラットデッキスタイル」はまさにアメリカのラグジュアリーサルーンで普及したデザインで、ボディはかなり大きく見えますが、サイズは全長4670mm×全幅1690mm×全高1465mmと現在の水準ではコンパクトです。

 エンジンは発売当初2リッター直列6気筒OHVを搭載し、高い静粛性と滑らかな加速は高級セダンならではといえ、後に、環境対応から新世代の2.6リッター直列4気筒SOHCエンジンに換装するなど、大きな改良がおこなわれました、

 また、テールランプまわりやサイドマーカーなども手が入れられましたが、それ以外は大幅な変更はおこなわれず、1964年当時の基本設計のまま1986年まで生産が続けられました。

 生産終了後はオールディーズなアメリカ車に憧れる若い世代から人気となり、とくに「Lテール」と呼ばれる前期のモデルは人気がありました。

 内装もコラムシフトに横長のスピードメーターはアメリカ車そのもので、こんなクルマが昭和の終わり頃まで新車で売っていたのには驚かされます。

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●日産「ラシーン」

現在のクロスオーバーSUVの要素をすべて持っていた「ラシーン」

 1990年代の初頭、日本ではクロカン車やミニバン、ステーションワゴンといった「RV(レクリエーショナル・ヴィークル)」が流行し、RVブームが起こりました。

 このブームをけん引したのがクロカン車で、各メーカーとも多くのクロカン車をラインナップして市場を席巻したほどです。

 なかでも日産は「サファリ」「テラノ」「ダットサントラック」という3台のクロカン車を有してしましたが、さらに幅広いユーザー層に訴求できるRVとして、1994年に「ラシーン」を発売。

 もともとラシーンは1993年の東京モーターショーに出展されたコンセプトカーのデザインをベースとした、ボクシーなフォルムのショートワゴンで、フロントにグリルガード、ルーフレール、リアに背面スペアタイヤキャリアを装着するなど、見た目は完全にクロカン車のイメージで現在のクロスオーバーSUVの先駆け的存在といえます。

 プラットフォームはサニー系だったとこからサイズは全長4115mm×全幅1695mm×全高1515mmと、今の水準からするとかなりコンパクトで、見切りの良いボディ形状も相まって良好な取り回しを実現。

 搭載されたエンジンは当初1.5リッター直列4気筒のみで、後に1.8リッター、2リッターを追加。トランスミッションは5速MTと4速ATで、駆動方式はすべてフルタイム4WDとするなど悪路走破性も考慮していました。

 ラシーンは平均すると年間1万台以上を販売してスマッシュヒットしたモデルですが、RV人気も終焉したことから2000年に一代限りで生産を終了。

 その後、ラシーンの秀逸なデザインを生かして一部の愛好家がカスタマイズして乗るようになり、さらにここ数年来のSUV人気の高まりから人気が拡大しました。また、漫画「ゆるキャン△」に登場して同ドラマでも劇中車として登場するなど、広く知られるようになります。

 生産終了から20年経った今でも、中古車をカスタマイズして販売するラシーン専門店があるほどです。

 一部の低走行車を除いてほとんど価格が高騰しておらず、維持については専門店が存在する強みもあるので、ラシーンはネオクラシックなモデルとして狙い目の1台ではないでしょうか。

※ ※ ※

 旧車、ネオクラシックのなかでも、スポーツカーの価格高騰は常軌を逸している状況です。たとえば直近では、トヨタ「A80型 スープラ」が約2200万円、「AE86型 カローラレビン」が約700万円で、海外のオークションで落札されました。

 どちらもノーマルでレビンはワンオーナーという個体ですが、それにしても、もはや物の価値がよくわかりません。

 コレクションとしての収集なのか走るためなのかは不明ですが、欲しいという人がいる以上、商売として成り立っているということでしょう。

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