米国は2030年に新車の電動化率最大50%へ! 電動車にHVは含まれず!? どうする日本勢!
欧州EVシフトと日本市場への影響は?
こうした状況が2020年に入って大きく変化します。
時系列で見ると、まずカリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は2020年9月、「2035年までに州内で発売する新車でICE(インターナルコンバッションエンジン:内燃機関)を廃止する」と発表しています(ICEにハイブリッド車が含まれるかどうかの明言は避けました)。
また、中大型バス・トラックについてもEVシフトを強力に進める姿勢を示しています。
このようなカリフォルニア州の動きに対して、バイデン政権ではこれまで目立った発言はありませんでした。
一方ヨーロッパでは、2021年に入ってボルボやジャガーなどプレミアムブランドのEVメーカー宣言が相次いでおり、欧州連合(EU)の執務機関である欧州委員会(EC)のフォン・デア・ライアン委員長は2021年7月14日、欧州グリーンディール政策の一環として「2035年までにEV域内販売の新車100%電動化」を発表。
ここでの電動化は、内燃機関をともなうパワートレインを除外していることから、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車すら販売が禁止されると解釈できるという、自動車メーカーにとって厳しい内容となりました。
また、ECの発表を受けるかのように、メルセデス・ベンツは2035年に完全なEVシフトを発表しています。
こうした欧米での急激なEVシフトの背景には、ESG投資の影響が色濃くあります。
経済産業省によると、ESG投資とは、従来の財務情報だけではなく、環境(エンバイロンメント)、社会(ソーシャル)、企業統治(ガバナンス)要素も考慮した投資のことを指します。
国連の持続可能な開発目標(SDGs)と合わせて、企業経営の新たなる基盤として世界的な注目が集まっています。
日本でも、政府は2020年12月にESG投資を重視した「グリーン成長戦略」を公表し、そのなかで「遅くとも2035年までに軽を含めて新車100%電動化」としていますが、この電動化にはハイブリッド車も含まれるという解釈だと考えられています。
なぜならば、日本における現在の新車市場では、ハイブリッド車が約4割を占めるという、欧米市場とは異なるハイブリッド大国だからです。
このようなハイブリッド大国という現状が、欧米で一気に加速し始めたEVシフトに対する足かせになる危険性がないとはいい切れない状況になってきました。
日系自動車メーカー各社の幹部は、決算報告や次世代技術に関する方針発表会の場で
「電動化は国や地域の電力事情や社会情勢を考慮する」との姿勢を貫いてきましたが、欧米でのESG投資を出口戦略とした経済活動活性化を狙う政治的判断がなされるなか、日本車メーカー各社は日本市場も含めてグローバルでの現実解を探る動きを強める必要があります。
各国や各地域の政治的な動きが、日本のユーザーにどのような影響を及ぼすのか、今後の日本車メーカーや日本政府の動きが注目されます。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。
これほどまでに電動化推進が進むのは偏に、
BEV自体が走行中にCO2を排出しない為クリーンなイメージがある事と、
どんなエネルギー由来の物でも電気に変換し充電出来れば走る事が出来るからなのでしょう。
現実問題で言うと
バッテリー製造時にも大量のエネルギーを必要とし、
充電する電力供給源のエネルギーも必要なのであり
日本でのエネルギー供給元は火力発電に頼るので真のCO2排出ゼロには程遠いのは御存じの通りだが、
欧米などでクリーンエネルギーを謳うエネルギー源においても
カラクリがありトータルで見れば完全なるCO2排出ゼロで電気エネルギー化出来るものは無きに等しい訳です、
本命のCO2排出ゼロが可能なエネルギー源は実は絞り込まれていないのが真実、
でも、そんな中でも政治的パフォーマンスとしてCO2排出ゼロなどと謳ってしまってるから、
本命のエネルギー源不在の中待ったなしで進めていくしかない中で、
内燃機関の自動車はいくら頑張ってもCO2排出ゼロにする見込み無いから販売終了させるしかない上での
代用になるのは、
どんなエネルギー源が主流になってもとりあえず電力化して充電できるなら使えるので
とりあえずBEVを推すしかない。
という政治的論理であり実情なのでしょう。
要するにCO2排出ゼロ達成への本命エネルギー不在故の妥協案として、
知恵の無い政治家ほどバッテリーに頼る政策を謳うのが実情なのだと見ますが、
あまり一元的に頼り過ぎると別の資源環境問題を引き起こしそう心配であります。