なぜ飲酒取締り件数が激減!? コロナ禍で起きた交通取締りの変化とは?
最高速度違反の件数も減少。一方で増えた取締りとは?
では「最高速度違反」についてはどうでしょうか。
2019年上半期の56万5602件は、2020年上半期に57万6415件に増加したのち、2021年上半期は54万5632件へと減少しています。
ただし最高速度違反の取締り件数は、2015年から年々減少を続けてきています。2020年から2021年の減少は、コロナ禍の影響というよりも、そうした流れの一環と考えるべきでしょう。
一方、この3年間で大幅に増えているのが、「歩行者妨害」「一時不停止」の取締り件数です。
歩行者妨害は2019年上半期の11万252件が2021年上半期には16万5583件と、約1.5倍に。一時不停止は同じく65万6137件が約1.24倍の81万3221件となっています。
警察庁は、2018年10月23日に「信号機のない横断歩道における歩行者優先等を徹底するための広報啓発・指導の強化について(通達)」を発出。
「交通事故死者数に占める歩行中死者の割合が欧米諸国に比べ高いことや、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を控え、歩行者優先が定着している諸外国からの訪日外国人観光客の増加が見込まれることを考慮すると、横断歩道上での安全確保に向けた対策を速やかに講じる必要がある」としています。
つまり、ここにきての歩行者妨害の取締り件数増は、この通達を受けてのものであり、また一時不停止については、信号機のない交差点での歩行者妨害の取締りとリンクしているものと考えられることから、これもコロナ禍とは無関係の変化といえそうです。
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2021年7月下旬から8月上旬にかけては、全国の新型コロナウイルス感染者数が過去最高を記録するなど、コロナ禍からの出口はまだ不明瞭ですが、今後の交通取締りはどのように変化するのでしょうか。
最高速度違反取締りは、各都道府県警で導入が進む「移動式オービス」を使うなど「非対面」での取締りに軸足が移っていく可能性があります。
そうして生まれた人的リソースの余裕を、重大事故によりあらためてその危険性が再認識された飲酒運転への取締り強化に充てていくことも考えられるでしょう。
一方、歩行者妨害、一時停止違反については、引き続き重点的な取締りが継続すると思われます。
もちろん、交通違反は「捕まらなければいい」というものではないことから、こうした傾向を踏まえつつ、ゆとりのある運転、安全運転に心がけることが大切です。
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