映画のような世界観に浸れる名車「初代アルファ ロメオ スパイダー」が美しさを求める“大人”にオススメな理由【中古至難】

今回取り扱うクルマは、前回の「SL」と同じく2ドアオープンカーだ。SLは性能や安全性、ゴージャスさを体現したクルマといえた。一方で、1966年に発売された初代アルファ ロメオ「スパイダー」は、それらの要素とは相反した、感性に訴えるタイプのクルマだ。スパイダーだけにある、他のクルマでは絶対に味わうことのできない世界観は、どのようにして誕生したのか。現在の中古車事情も含め解説していきたいと思う。

シリーズ4以外はすでに絶滅危惧種

 意匠およびたたずまいのロマンティシズムは最初のシリーズ1こそが最強だが、シリーズ1の流通は今やほぼ皆無で、それどころかシリーズ2とシリーズ3もほぼゼロ。したがって、初代アルファ ロメオ スパイダーを買う場合は自動的に「シリーズ4」すなわち最終型の一択となる。

 ロマンティシズムにはやや欠けるシリーズ4だが、それはあくまで「シリーズ1と比べれば」という話。その他の一般的な(あえて悪くいうなら、ありがちな)オープンカー各種と比べるならば、最終型のシリーズ4もバリバリのロマン派。またパワーステアリングやエアコンがごく普通に付帯しているという点も、飾るためではなく「たまに運転して楽しむために買う」という場合には有利に働くだろう。

シリーズ4はパワステやエアコンの他に、SRSエアバッグも装備。ギアボックスはMTとトルコン式3速ATがラインナップされていた(C)Stellantis NV
シリーズ4はパワステやエアコンの他に、SRSエアバッグも装備。ギアボックスはMTとトルコン式3速ATがラインナップされていた(C)Stellantis NV

●品良く「美しい」カーライフをはじめてみよう

 さまざまなマイナーチェンジを重ねてそれなりに進化したシリーズ4のアルファ ロメオ スパイダーだが、それでも基本設計的には「1960年代のクルマ」であるため、速いとかコーナリング性能が凄いとか、そういったことは一切ない。

 しかしその分だけ、筆者を含むミドル世代までの人間にとっては「映画のスクリーンやテレビを通してしか知らない」往年の2座式オープンカーの優美な世界観と意匠をリアルに今、そしてパワーステアリングなどのそれなりの快適装備も付いた状態で堪能できる──というのが、初代アルファ ロメオ スパイダーというクルマの最大の魅力であり、他のクルマでは絶対に味わえない唯一無二のストロングポイントなのだ。

 専門店で完全メンテナンス済みの個体を買えばさほど頻繁に壊れるクルマでもなく(とはいえメンテナンスフリーでは決してないが)、中古車の相場もせいぜい170万円から260万円ぐらい。

「美しいモノ」を好むすべての大人に、ぜひ一度はチェックしてみていただきたい存在だ。

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