流行りのSUVとは何が違う? トヨタ新型「ランクル」が守る伝統! ライバルと異なる進化とは

これまでのランクルにない「GR SPORT」とは

 300系には、もうひとつ大きなトピックがあります。

 それは「GR SPORT」の設定です。ワールプレミアにおいて、300系にはふたつのデザインがあることが明かされています。

 それは従来の純正カスタマイズとなるモデリスタバージョンなどとは違い、キャラクターそのものが標準車とは異なっていたからです。

 さらに、GRの名前を冠しているのにも関わらず、GR SPORTがオフロード性能を重視したモデルである点です。

 18インチタイヤ、自動的に前後のスタビライザー効果を変える「E-KDSS」、そして前後電動デフロックなど、悪路走破性を向上させるGR SPORT専用のメカニズムが採用されています。

どのような道でも生きて帰ってくるというのがランクルのテーマ
どのような道でも生きて帰ってくるというのがランクルのテーマ

 さらに60系後期モデルを彷彿させるフロントマスクを筆頭に、GR SPORT専用の内外装パーツも満載。

 価格はガソリン車770万円、ディーゼル車800万円と高額ですが、内容を鑑みれば適切なプライスなのではないでしょうか。

 200系とボディサイズを比較すると、全長、ホイールベースはそのまま、対地障害角も変わらずと、悪路走破性はディフォルメされていません。

 100系、200系と高級SUV化が進み、ランクリストは300系がどうなってしまうのかと危惧していたはずです。

 前述の通り、レンジローバーやディフェンダーは伝統を謳いながらも、マルチパーパスなSUVへと変貌してしまったからです。

 しかし、300系は一端その系譜を見直して、原点回帰というベクトルも進化の選択肢に入れてきました。

 進めるべき所は進めて、戻るべき所は戻る。エンジニアたちが取ったこの方法は、ほかのSUVとは一線を画すことを完全に成功させて、見事にランドクルーザーブランドを守ることに成功したのではないでしょうか。

 今回は紹介できなかった新しいテクノロジーはまだまだありますが、そういった華々しいところよりも、すべての人が思い浮かべる“ランドクルーザーらしさ”を取り戻したという点こそ、事前予約2万台というユーザーの高評価に繋がっているのではないでしょうか。

 スズキ「ジムニー」も原点回帰することで成功を収めましたが、ランドクルーザーもまた、輝かしい成功の道を走っていきそうです。

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Writer: 山崎友貴

自動車雑誌編集長を経て、フリーの編集者に転向。登山やクライミングなどアウトドアが専らの趣味で、アウトドア雑誌「フィールダー(笠倉出版社刊)」にて現在も連載中。昨今は車中泊にもハマっており、SUVとアウトドアの楽しさを広く伝えている。

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2件のコメント

  1. 本格派クロカン車種と 街乗りUSV 車を比較する事が、先ずは間違いです。

  2. V6がコンパクトなら素直に直4でいいでしょ
    でも300はプライドが許さないわけですね
    トヨタもランクルユーザーも実はここを卒業できないから何時までも本物が見えてこないのですね。
    初代セルシオですら構想では直4、直6からスタートしたと言われてますね、しかし市場に出るまでにはまるで熨を付けるみたいにマルチシリンダーで御披露目でしたからね。
    プラドに1Kディーゼルが登場した時にランクルってこれが本来のランクルじゃないかな?
    なんて思ったりもしましたね。

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