流行りのSUVとは何が違う? トヨタ新型「ランクル」が守る伝統! ライバルと異なる進化とは

トヨタは、新型「ランドクルーザー(300系)」の日本仕様を2021年8月2日に発売しました。14年ぶりのフルモデルチェンジとなりますが、どのような部分が進化したのでしょうか。

伝統を守ったランクル、どのような部分が進化した?

 前身であるトヨタ「ジープBJ型」が誕生してから70年目になる記念すべき2021年、ついにトヨタ新型「ランドクルーザー」が300系へとフルモデルチェンジを果たしました。
 
 トヨタの大名跡であるランドクルーザーシリーズが全面刷新されるのは、実に14年ぶりのことです。

伝統を守り続けるランクル、時代に合わせて進化したポイントは?
伝統を守り続けるランクル、時代に合わせて進化したポイントは?

 ランドクルーザーは、「地球最後のクルマ」「絶対に生きて戻る」をテーマに開発されてきました。

 今回の300系も、そのテーマは踏襲されたことが窺えます。

 まずボディ形式ですが、ライバルのランドローバー「ディフェンダー」や「レンジローバー」が大胆にモノコック化したのに対して、300系は伝統のラダーフレーム構造を採用してきました。それは少なからずも、ランクルファンたちを安堵させたと思います。

 ラダーフレームはモノコックボディよりも堅牢ですが、300系ではさらに進化させています。

 まず、トヨタのTNGAプラットフォームの考えに基づいたGA-Fがランドクルーザーに採用されました。

 ラダーフレームの溶接技術を最新なものにして、従来よりも20%も剛性をアップさせているのも注目のポイントです。

 ディフェンダーが高剛性モノコックでラダーフレームの1.5倍のねじり剛性を持ったと謳っていますが、やはり悪路ではどんな入力が車体に入るか予測できません。

 理論上ではねじり剛性が高かったとしても、予期せぬダメージで走行が不能になる可能性は捨てきれません。

 そうしたなかで、ラダーフレームは理論よりも物理的な強度によって、堅牢性や耐久性を確固たるものにできます。

 さらにボンネット、ルーフ、全ドアパネルをアルミ化し、200kgもの軽量化を果たしています。

 この軽量化は、重量級のオフロード4WDとしては大きなメリットで、悪路走破性の向上に繋がることは間違いありません。

 またエンジンから後ろのパワートレインを、車両後方に70mm、下方に28mmに移動しているのも注目です。

 低重心化と前後輪荷重を最適化することで、オンロードでのドライブフィールを従来よりも大幅に改善することが狙いです。

 一方で、前輪軸の荷重が軽くなったことで、オフロードでの接地性、タイヤのトラクション性能が低下していないかなど不安な部分もあります。

 さて、ランドクルーザーの走破性に関していえば、マルチテレインセレクトの採用が特徴です。

 200系に続いて、300系にも受け継がれていますが、きっちりと進化が見えます。

 200系ではL4モードのみでの作動でしたが、300系からはH4モードでの作動も可能になりました。

 高速で移動したいさまざまなオフロードシーンでも、電子デバイスがトラクションや駆動トルクをコントロールしてくれます。

 日本では雪道、ダート、そしてオートモードの使用が多くなりそうですが、砂地、深雪、岩のモードも設定。これらは主に海外向けの使用を考慮していると思われます。

 こうしたトラクションコントロール系の電子デバイスは、ライバルであるレンジローバーにも見られます。

 レンジローバーが7つのモードを設定しているのに対して、300系が6つにしているのは、より走行シーンとの紐付けを分かりやすくするためかもしれません。

 パワーユニットは、3.5リッターV型6気筒ツインターボガソリンエンジンと、3.3リッターV型6気筒ツインターボディーゼルエンジンの2種類。

 200系ではガソリンのみでしたので、ディーゼルの追加自体がトピックですが、V6エンジンになったことにも注目です。

 V8よりもコンパクトになったことによってエンジンルームに余裕ができ、安全性の向上や居住空間の見直しなどにも繋がっていると考えられます。もちろん、軽量化という点でもメリットがあるでしょう。

 ダウンサイジングによって環境性能の向上やドライブフィールのアップなどを実現したエンジンですが、組み合わされるトランスミッションは10速ATに進化しています。

 ライバルを上回る段数によりギアステップのクロス化を果たし、ギアレシオのワイド化も実現しました。

 オンロードでのドライブフィールもさることながら、ローからハイ、ハイからローへと目まぐるしくギアが変わるオフロードにおいても、太いトルクを常に活かせるようなセッティングになっているのではないでしょうか。

 ランドクルーザーは世界中の悪路を走れなければならないというテーマがある一方で、道路インフラが充実している地域では快適にオンロードを移動できることが求められてきました。

 300系では、その部分もしっかりと進化させています。

 まずサスペンションを刷新。フロント:ダブルウイッシュボーン式、リア:トレーリングリジッドアクスル式という形式は変わっていませんが、ジオメトリーなど大幅な見直しを実施。

 とくにリアサスペンションはダンパーの配置を見直して、操縦安定性と乗り心地を大幅に改善しています。

 加えてホイールアーティキュレーション(タイヤの浮きづらさ)も向上させており、悪路でのタイヤトラクションの発揮がしやすくなっています。

 つまり、オンロードでのシャープなドライビングや快適性を向上させつつ、悪路走破性もアップさせているのです。マルチパーパスなランドクルーザーというクルマとしては、基本をしっかりアップさせたといえます。

 さて、ライバルのレンジローバーが“ファーストレンジ”と呼ばれる初代から、基本的なデザインコンセプトを変えていないのに対して、ランドクルーザーはボディシルエットこそ60系からの系譜であるものの、雰囲気は代ごとにイメージを変えています。

 それがランドクルーザーの良さである一方で、レンジローバーのような伝統的なアイコンではないことも事実でした。

 300系ではそれを軌道修正。55/56型以来続くワゴン系ランドクルーザーのヘリテージデザインをもう一度見直して、キャビンを後ろよりに配置する「キャビンバックワードプロポーション」を採用しています。

 またフロントマスクはヘッドライトとグリルを高い位置に配置することで、オフロード走行でのダメージを考慮。

 オフロードでの視認性を考えたボンネット上の大きな凹みは、200系最終モデルから踏襲されています。

 ここまででも分かるように、300系はこれまで築き上げてきたランドクルーザーというブランドを再検証しつつ、最新のテクノロジーを外連味として使っています。

 それはインパネの構成にも現れています。ここ最近のランドクルーザーのインパネは、センターコンソールにボリュームを持たせた高級乗用車的なものが採用されてきました。

 しかし300系では原点に回帰。いかにもオフロード4WDらしい、直線基調のシンプルな意匠となっています。まるで60系後期型のインパネを思わせます。

 それでいて、中央エアコン吹き出し口からATシフトレバーにかけての各スイッチ類のデザインは現代的で、機能別に配置してあることから運転中でも直感的に操作することができそうです。

 車内の使い勝手も300系ではきっちりと変えてきました。

 まず、リアゲートですが、200系が上下二分割式であったのに対して、1枚跳ね上げ式に変更されました。

 上下二分割式は、狭い空間でも開けることが可能です。一方で、ゲート下部が外に張り出すため、車内中央部への荷物の出し入れがしにくいというデメリットがありました。ゲートが1枚になったことで、その部分が解消されています。

 サードシート(GX除く)の収納方式も変わっています。

 これまではクォーターウインドウ脇に跳ね上げるタイプで、当然ながらその張り出しはデッドスペースになっていました。

 しかし床下収納式になったことで、収納力が大幅にアップ。自転車などの大きなモノも積みやすくなっています。

 これらは一見すると地味な変更に思えますが、日常での使い勝手を考えれば大きな改善といえるのではないでしょうか。

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コメント

2件のコメント

  1. 本格派クロカン車種と 街乗りUSV 車を比較する事が、先ずは間違いです。

  2. V6がコンパクトなら素直に直4でいいでしょ
    でも300はプライドが許さないわけですね
    トヨタもランクルユーザーも実はここを卒業できないから何時までも本物が見えてこないのですね。
    初代セルシオですら構想では直4、直6からスタートしたと言われてますね、しかし市場に出るまでにはまるで熨を付けるみたいにマルチシリンダーで御披露目でしたからね。
    プラドに1Kディーゼルが登場した時にランクルってこれが本来のランクルじゃないかな?
    なんて思ったりもしましたね。