ヒットしなかったけどキラリと光っていた!? 再評価されてもよい車3選

世の中には月間2万台も売れるクルマがある一方で、販売目標を達成できないようなクルマもあります。しかし、ヒットしなかったクルマでも、記憶に残る個性的なモデルも存在。そこで、キラリと光る特徴を持ったクルマを、3車種ピックアップして紹介します。

当時はあまり評価されなかったクルマを振り返る

 現在、日本の自動車市場でトップセラーのモデルは、平均すると月間2万台近くを販売しています。しかし、なかには販売目標をクリアできないようなモデルも存在。

 売れるクルマはさまざまなヒット要因が潜んでいると考えられ、決して突出した部分が無くてもヒットにつながっているといえます。

ヒットしなかったけど、もっと評価されても不思議ではなかったクルマたち
ヒットしなかったけど、もっと評価されても不思議ではなかったクルマたち

 同様に、ヒットしなかったクルマでもすべての面で劣っているわけではなく、キラリと光る個性を持ったモデルもあります。

 そこで、当時はあまり評価されなかったものの、今なら再評価されてもよさそうなクルマを、3車種ピックアップして紹介します。

●トヨタ「プロナード」

当時は希少な前後ベンチシートながら売れなかった「プロナード」(画像は北米仕様の「アバロン」)

 近年、ニーズの低迷から、トヨタもラインナップからセダンの減少が続いています。しかし、かつては豊富なセダンラインナップを展開していました。

 なかでもユニークな1台だったのが、2000年に発売された「プロナード」です。

 プロナードは米国トヨタが現地生産する2代目「アバロン」をベースに日本向けに仕立て、輸入・販売された大型セダンです。

 ボディサイズは全長4895mm×全幅1820mm×全高1460mmという堂々たる体躯で、全長は「クラウン」に近く、全幅は当時の「セルシオ」に匹敵するワイドさです。

 さらにサイドウインドウの角度を起こしたことで広大な室内空間を実現しており、前後席とも3人掛けベンチシートの6人乗り仕様が設定されました。

 昭和の時代は前席がベンチシートのセダンは珍しくありませんでしたが、2000年代に登場したことは大きなトピックスといえます。

 エンジンは全グレードとも3リッターV型6気筒で、これをフロントに横置きに搭載したFFです。

 また、サスペンションは4輪ストラットのオーソドックスなタイプですが、上級グレードには4本のショックアブソーバーを独立して電子制御する「スカイフックTEMS」を備え、高い路面追従性と良好な乗り心地を実現。

 装備も豪華で、本革シートが設定されるだけでなく、全車運転席にパワーシートを採用し、DVDナビゲーションを標準装備するなど、トヨタでは数少ない高級FFセダンでした。

 しかし、プロナードはクラウンやセルシオを選ぶユーザー層を取り込むことができず、2004年に販売を終了。現在、アバロンは北米のトヨタブランドでフラッグシップセダンとして人気となっています。

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●ホンダ「アスコットイノーバ」

スタイリッシュなフォルムながら人気とならなかった「アスコットイノーバ」

 これまでホンダのセダンラインナップというと、トップモデルの「レジェンド」、ミドルクラスの「アコード」、コンパクトモデルの「シビック」を基本に展開してきました。

 この3車種以外にも派生車や、セグメントの間を埋めるセダンが登場しており、そのなかの1台が1992年に発売された「アスコットイノーバ」です。

 アスコットイノーバは、アコードの姉妹車である初代「アスコット」の派生車として開発されました。

 ボディサイズは全長4670mm×全幅1695mm×全高1380mm(2リッターエンジン車)とアコードに近いクラスですが、外観デザインは大きく異なり、Cピラーの傾斜を寝かせた6ライトウインドウのクーペスタイルを採用。現行モデルのアコードのようなスタイルを、30年前に確立していたといえます。

 フロントフェイスも4代目「プレリュード」にも似た、ウェッジシェイプのスポーティなデザインです。

 搭載されたエンジンは2リッター直列4気筒SOHCとDOHC、2.3リッター直列4気筒DOHCの3種類で、2.3リッター車では最高出力165馬力を発揮。

 サスペンションはアコード譲りの4輪ダブルウィッシュボーンとされ、優れたハンドリング性能を実現しました。

 アコード、アスコットよりもスポーツ志向だったアスコットイノーバですが、この流麗なスタイルは出るのが早すぎたのかヒットには至らず、1996年に生産を終えました。

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●三菱「チャレンジャー」

優れたコンセプトながら出るタイミングが悪かった「チャレンジャー」

 1990年代の初頭、日本の自動車市場を席巻したのがクロスカントリー4WD車です。いわゆる「RVブーム」が起こり、ブームをけん引していたのが三菱2代目「パジェロ」で、まさに空前のヒット作となりました。

 そこで、三菱はさらなるクロカン車ラインナップの拡充を図り、1996年に「チャレンジャー」を発売。

 主要なコンポーネンツはパジェロをベースとし、外観は低いキャビンのステーションワゴンタイプで、ワイルドなイメージのパジェロとは異なり洗練された都会的なデザインを採用しました。

 また、ボディタイプは1種類のみで、室内もパジェロのロングボディと異なり2列シートのみです。

 そのため価格は231万8000円(消費税含まず)からという戦略的な設定が可能となり、新たなユーザー層の取り込みを目標としていました。

 搭載されたエンジンは3リッターV型6気筒ガソリンに加え、2.8リッターと2.5リッターの直列4気筒ディーゼルターボの3タイプを設定して多様なニーズに対応し、駆動方式は全グレードとも4WDですが、上位グレードは4つの走行モードを状況に応じて使い分けられる、三菱独自の「スーパーセレクト4WD」を搭載。

 その後、1997年のマイナーチェンジでガソリン直噴エンジン「GDI」が搭載され、フロントフェイスのデザインも刷新しました。

 チャレンジャーはスタイリッシュなボディに高い悪路走破性能、多彩なエンジンラインナップ、そして安価な価格設定と売れない要素はありませんでしたが、すでにRVブームは終焉を迎えており、販売が低迷したことから2001年に国内向けの生産を終了。

 なお、チャレンジャーはその後も海外専用モデルとして販売が継続され代を重ね、現在も「パジェロスポーツ」の名で欧州やアジア圏を中心に人気モデルとなっています。

※ ※ ※

 最後に紹介したチャレンジャーを例に挙げると、発売するタイミングの難しさがうかがえます。どれほど優れたコンセプトでも、ニーズの変化には抗えないということです。

 現在、世界中のメーカーから新型SUVが続々と誕生していますが、まさに売れる時に売っておこうという戦略なのでしょう。

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1件のコメント

  1. アスコット&ラファーガだな、あれの高級版がプログレ&ブレビス

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