王道ミニバン「オデッセイ」の国内終売で振り返る! ホンダの異色ミニバン5選

ハイパワーなモデルにおもしろシートアレンジの2台とは

●エリシオン プレステージ

300馬力のエンジンを搭載して押し出し感も強調した「エリシオン プレステージ」

 前述のとおり、ホンダは2004年にプレミアムミニバンの「エリシオン」を発売しました。スタイリッシュなフォルムの大型ミニバンで、ボディサイズは全長4840mm×全幅1830mm×全高1790-1810mmと、前出のラグレイトよりもかなり小型化されて、日常での使い勝手をスポイルすることはなくなりました。

 しかし、プレミアムミニバンのライバルである日産「エルグランド」やトヨタ「アルファード」に対し、エリシオンは全高の低さから車格がひとまわり小さく見え、押し出し感も弱いことから販売は苦戦。

 そこで、2007年に派生モデルとしてより高級かつパワフルな「エリシオン プレステージ」が登場しました。

 エリシオンが最高出力250馬力の3リッターV型6気筒SOHCエンジンと、160馬力の2.4リッター直列4気筒DOHCエンジンを設定していたのに対し、エリシオン プレステージに搭載されたエンジンは、同社のフラッグシップカー「レジェンド」と同じ最高出力300馬力を発揮する3.5リッターV型6気筒SOHCで、スペック的にはライバルを大きく上まわるアドバンテージを得ます。

 また、フロントフェイスはより押し出しの強い大型のフロントグリルを採用して、プレミアムミニバンに相応しい顔つきに変貌。

 ところが、その後もエリシオン プレステージはライバルを凌駕するほどの人気とはならず、2013年に国内販売を終了。

 なお、2016年に登場した2代目が、現在も中国でオデッセイの上位モデルとして販売されています。

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●エディックス

斬新な発想で開発されたものの残念ながらヒットに恵まれなかった「エディックス」

 これまで紹介したように、ホンダはさまざまなセグメントのミニバンを展開しましたが、2004年にはこれまでとは大きく異なる新発想のミニバン「エディックス」が登場しました。

 エディックスで最大の特徴は室内にあり、前列、後列とも独立する3つのシートが設置された2列シート6名乗車のレイアウトを採用。

 さらに、6席はすべて独立してスライドが可能となっており、上から見てV字に配列することで両側の乗員と真ん中の乗員の肩が触れないようになっていることや、ルームミラーがドライバー側にオフセットして設置され、サンバイザーが3つ装備されるなど、さまざまな工夫が施されています。

 外観は全幅を最大限に生かすため商用バンのように左右のパネルがほぼ垂直とされ、ボディサイズは全長4285mm×全幅1795mm×全高1610-1635mmと全長に対して全幅がかなり広いユニークなフォルムです。

 エンジンは発売当初1.7リッターと2リッター直列4気筒が搭載されていましたが、複数人数の乗車ではパワー不足という声もあったため、後期型では2.4リッターエンジンを追加。

 このユニークなシートレイアウトからエディックスは大いに話題となりましたが、一般的な3列シートのスライドドアミニバンの使い勝手には敵わず、2009年に一代限りで生産を終了しました。

 エディックスと同様のコンセプトのモデルにフィアット「ムルティプラ」がありましたが、やはり消滅してしまいまい、現在まで2列シート6名乗車のミニバンは登場していません。

※ ※ ※

 冒頭の繰り返しになりますが、初代オデッセイはホンダを窮地から救った立役者です。

 しかし、2021年の実績では1月から5月の販売台数は合計で8661台と、トップのアルファードの4万7627台と比べると、好調とはいえません。

 過去にどれほど販売に貢献したモデルでも、メーカーはその栄光にすがっていては未来がなく、オデッセイの国内販売終了も仕方のないことでしょう。

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