王道ミニバン「オデッセイ」の国内終売で振り返る! ホンダの異色ミニバン5選
ホンダ初のミニバンである「オデッセイ」は1994年に誕生。現行モデルは5代目で27年もの歴史を刻み、一時代を築いたモデルです。しかし、このオデッセイが2021年をもって終売となることが明らかになりました。そこで、歴代のホンダミニバンのなかから、異色のモデルを5車種ピックアップして紹介します。
ホンダのユニークなミニバンを振り返る
ホンダは1990年代の初頭に、バブル崩壊の影響から深刻な経営危機に直面しました。ホンダのメインバンクが三菱銀行(現在の三菱UFJ銀行)だったことから、当時の経済界では三菱自動車の傘下となるのではという噂話まで飛び出したほどです。
そんな危機を救った存在といえるのが1994年に発売された初代「オデッセイ」で、同社初のミニバンでした。
初代オデッセイはグローバル市場で販売することを目的とし、5代目「アコード」のプラットフォームをベースに開発され、セダンからの乗り換えでも違和感が少ないドライブフィールや、低床により広い室内空間を実現したことから大ヒットを記録。
追って発売された初代「ステップワゴン」のヒットもあり、ホンダの経営状態は一気に改善して危機を脱出しました。
そんなホンダの一時代を築いたオデッセイですが、近年はかつてのようなヒットに恵まれない状態もあってか、生産工場である狭山工場の閉鎖に伴い、2021年内で国内向けが生産終了となります。
初代オデッセイのヒットがあって、ホンダはこれまで数多くのミニバンを輩出してきましたが、そのなかにはユニークなモデルも存在。
そこで、歴代のホンダ製ミニバンのなかから、異色のモデルを5車種ピックアップして紹介します。
●ラグレイト
前述のとおり初代オデッセイはグローバルカーとして北米でも販売されヒットしました。しかし、北米ではサイズ、パワーともにキャパシティ不足との声もあり、ホンダは1998年に北米専用モデルのオデッセイを発売。
カナダ工場で生産された北米版オデッセイは、日本でも1999年に「ラグレイト」として輸入販売されました。
外観は初代オデッセイのイメージを踏襲しながら、後部ドアはヒンジドアから両側電動スライドドアに改められており、後席の乗降性を高めています。
また、ボディサイズは全長5105mm×全幅1935mm×全高1740mmとかなりの巨体で、グレード構成はスタンダードと「エクスクルーシブ」の2タイプのみを設定。
両グレードとも7人乗りということもあり、ゆとりある室内空間を実現し、キャプテンシートの2列目は取り外しでき、3列目シートは床下収納式とするなど、用途に合わせたシートアレンジが可能でした。
搭載されたエンジンは最高出力205馬力を発揮する3.5リッターV型6気筒VTECに、トランスミッションは4速ATのみという組み合わせです。
ラグレイトはライバル車に対抗するプレミアムミニバンとして発売されましたが、日本の住環境や道路環境ではさすがに大きすぎて販売は低迷。
2004年には後述する「エリシオン」の発売によって、ラグレイトの販売は終了しました。
なお、現在も北米専用モデルのオデッセイが販売されていますが、ボディサイズは全長5212mm×全幅1995mm×全高1735mmと、さらに巨大です。
●ストリーム
ホンダはオデッセイとステップワゴンの大ヒットから、次の一手として、より低床・低全高で5ナンバーサイズのミニバン「ストリーム」を2000年に発売しました。
一般的にミニバンは多人数を乗せることが優先されますが、ストリームのコンセプトはミニバンでありながらもスポーティな走りの実現で、よりセダンからの乗り換え需要に対応。
ボディサイズは全長4550mm×全幅1695mm×全高1590-1605mmで広い室内と取り回しの良さを両立し、スタイリッシュなフォルムも相まって、発売からわずか10か月で10万台以上を販売する大ヒットを記録しました。
エンジンは新開発の2リッター直列4気筒DOHC i-VTECと1.7リッターVTECを設定。2リッター車では最高出力153馬力を発揮し、クラス初の5速ATが組み合わされ、ストレスの無い高い動力性能を誇りました。
そうしてストリームは「2000年-2001年 日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど、総合的に高い評価を獲得します。
しかし、2003年にコンセプトやボディサイズがストリームと同様のモデル、トヨタ「ウィッシュ」が登場すると、一気にシェアを奪われてしまいました。
2006年には2代目が登場し、よりスポーティな外観と走りによって人気を盛り返しましたが、後席ヒンジドアのミニバンのニーズは低下していったため販売は徐々に低迷し、2014年に生産を終了しました。実質的な後継車は「ジェイド」です。
●モビリオ
ホンダは2001年に次世代のコンパクトカーとして初代「フィット」を発売。ガソリンタンクを前席下に配置する「センタータンクレイアウト」を採用したことで、クラストップレベルの広い室内空間を実現して大ヒットしました。
この初代フィットのプラットフォームを使って、さまざまな派生車が誕生していますが、そのなかの1台が2001年末に発売されたコンパクトミニバンの「モビリオ」です。
外観は背が高いスクエアなスタイルで、ステップワゴンを短くしたようなイメージですが、極端に傾斜したフロントノーズがユニークなシルエットを形成。
後部ドアは両面スライドドアとし、ボディサイズは全長4055mm×全幅1685mm×全高1705-1760mmのショートボディながらも全グレードが3列シートの7人乗りを実現。
優れたパッケージングとなっていますが3列目シートのスペースは狭く、あくまでも非常時での使用を想定していました。
一方で高い室内高と多彩なシートアレンジ、ほぼフィットと同じサイズのボディは使い勝手の良さに定評があり、さらにいざという時に6人-7人が乗れるというのはモビリオの大きなアドバンテージだったといえます。
その後、2008年同様にフィットをベースにした「フリード」とバトンタッチするかたちで、モビリオの生産は終了。
なお、2002年にモビリオをベースに、若年層をターゲットとして開発された2列シートのトールワゴン「モビリオスパイク」が登場しており、現行モデルの「フリード+(プラス)」に受け継がれています。
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