もう二度と道に迷わない!? メルセデス「Sクラス」に搭載 オドロキの新機能とは
2021年1月に日本へ上陸したメルセデス・ベンツのフラッグシップサルーン、新型「Sクラス」。さまざまな最先端技術を惜しみなく投入したモデルだが、そんななかでも世界初となる機能が、オプションで設定された「フロントウインドウに投影可能なAR(仮想現実)ナビゲーション」だ。これはどういうものなのだろうか。その使い勝手はどうか、実際に試してみた。
3D化したルート案内を実際の風景に重ねてAR表示
メルセデス・ベンツ新型「Sクラス」は、ヘッドアップディスプレイにAR(Augmented Reality=拡張現実)を組み込んだガイド機能「ARヘッドアップディスプレイ」を車載純正として初採用した。
これはメルセデスのインフォテイメントシステム「MBUX」に含まれるもので、ルートガイド中の方角や距離、車速などの情報を、ドライバーの視線上でより直感的にドライバーへ情報を伝えることが可能となる。
ヘッドアップディスプレイ最大のメリットは、ドライバーが視線移動することなく必要な情報を得られることにある。ルートガイドや速度など走行に必要な情報をフロントウインドウに重ねて表示するからだ。
ヘッドアップディスプレイは、これまでも上級車を中心に多くの搭載例があったが、新型Sクラスではそこに3D化したアニメーションによる進路案内を追加し、実際の風景に重ねてAR表示としている。
すでに2021年に日本で登場した改良新型「Eクラス」には、カメラで捉えた映像にこの表示を重ねていたが、メルセデス・ベンツによれば、AR化したのは純正ナビゲーションとしては世界初の採用例になるという。
じつは、ARを使ってルートガイドをする機能は、いままでも市販ナビゲーションなどで少なからず存在した。
よく知られているのが、パイオニアのサイバーナビが採用した「AR HUDビュー」だ。コンバイナーを備えた専用ユニットをルーフに装着し、ルートガイドをフロントウインドウ越しに見える風景と重ねて表示していた。これはレーザーによって表示を描くため、昼夜を問わず解像度が高く、地名やアイコンなどもフルカラーで鮮明に映し出すことができた。
ただし、これは後付けで対応したため、サンバイザーのあたりに大きなユニットがぶら下がる格好となり、その状態はお世辞にもスマートはいえないものだった。
それに対して新型Sクラスでは、フルカラー液晶を使ったヘッドアップディスプレイにこれを組み込んだ。これにより機器の存在をドライバーが意識することは一切ない。その意味でもSクラスに用意されたAR機能付きヘッドアップディスプレイは、フラッグシップモデルに相応しい新装備として捉えても良いだろう。
では、実際にその新型SクラスのAR機能を体験してみよう。
運転席に座ってスタートボタンを押しエンジンをONすると、ほどなくヘッドアップディスプレイが起動した。表示はフロントウインドウのドライバー前方中央より少し下に映し出され、ドライバーが無理なく見られるできる配置だ。メルセデス・ベンツによれば、この表示位置はドライバー視線の10m先に仮想表示するように設定されているそうで、これによりドライバーは焦点を合わすことなく自然に視認できるという。
表示システムはカラー液晶ディスプレイによるものだが、輝度に不足はなく、明るい昼間でも鮮明に見ることができていた。
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