日産、「スカイライン」など国内向けセダンの開発終了? 中国・米国で爆売れのセダンはどうなる?

「日産が日本向けセダンの新型車の開発を中止する」という報道が2021年6月12日に大きな話題となりました。日本を代表するセダンとなる「スカイライン」などが含まれると見られますが、なぜ「新型車の開発を中止」となる報道が出てきたのでしょうか。また、海外のセダン市場はどのような状況なのでしょうか。

日産のセダン4車種。国内ではどれくらい売れていた? 中国・アメリカはどうなる?

 2021年6月12日、日本経済新聞の報道によると「日産は日本国内向けセダン(シルフィ、スカイライン、シーマ、フーガ)の新型車の開発を中止する」(シルフィはすでに2020年12月に生産終了を発表)と報じました。
 
 60年以上の歴史を持つ日産を代表するスカイラインや、フラッグシップセダンとなるシーマなどが属するセダン市場。日本と海外での状況は、どのように違うのでしょうか。

ついに60年以上の歴史に幕を下ろすのか!? 日産を代表する「スカイライン」どうなる?(2019年に登場したスカイライン史上最強といわれる「400R」)
ついに60年以上の歴史に幕を下ろすのか!? 日産を代表する「スカイライン」どうなる?(2019年に登場したスカイライン史上最強といわれる「400R」)

 2020年これら4車種の合計販売台数は5800台でしたが、この4車種について一般社団法人日本自動車販売協会連合会が公表している毎月の「乗用車ブランド通称名別順位(1位-50位)」において、何度ランクインしたのでしょうか。

 最新のデータとして、2021年1月-5月の各月販売台数を調べたところ、上位50車種に登場する日産車は、「ノート」、「セレナ」、「キックス」、「エクストレイル」、「リーフ」、「マーチ」と、スカイラインなどセダン系車種はまったく出てきません。

 2020年も同様で1月-12月の月別トップ50位内にはどの月もセダン系車種の名前がなく、2019年にやっと1回、9月にスカイラインが48位で登場しています。このときの販売台数は1066台で前年比約6倍という数字でした。

 ちなみに2019年9月といえば、現行スカイラインの大幅改良モデルが発売された月で、スカイライン史上最高の405馬力を実現した「400Rグレード」をラインナップしたことでも大きな話題を集めました。(発表は同年7月16日)

 スカイラインでさえこの状況ですから、フーガ、シーマの販売台数は推して知るべし。また、2020年12月に生産終了を発表したシルフィも同様です。

 しかし、日本国内ではかなり寂しい日産セダンの販売台数ですが、世界に目を向けると中国ではセダンが大人気となっています。

 中国における乗用車(SUVやミニバン含む)のなかでもっとも売れている車種が日産「シルフィ」です。

 年によって、また統計の数字を出す団体によっても順位が入れ替わることはありますが、2020年は2位のフォルクスワーゲン「ラヴィダ」に約12万台もの差をつけてシルフィの販売台数がダントツ1位となりました。

 しかも前年比16.4%増と、ほかのトップグループの車種が新型コロナ禍の影響もあって軒並みマイナスとなるなか、シルフィが一人勝ちの様相を呈しています。

 価格が安くて品質が良いことをはじめ、電気自動車(EV)や旧モデル(さらに安い)など選択肢が豊富で、アフターパーツの供給体制が完璧であることなどが人気の理由です。

 ●中国における2020年新車販売台数及び前年比
 1:日産「シルフィ」53万8680台(+16.42%)コンパクトカー
 2:フォルクスワーゲン「ラヴィダ」41万7328台(-19.31%)コンパクトカー
 3:Haval「H6」37万7240台(-8.42%)SUV
 4:トヨタ「カローラ」34万3417台(-1.55%)コンパクトカー
 5:フォルクスワーゲン「ボーラ」32万6341台(-2.15%)コンパクトカー

※ ※ ※
 
 また日産は、中国においてもアメリカ同様、日産とインフィニティの両ブランドを展開しています。

 現地生産モデルは東風汽車(正式名称:東風汽車集団、DFG)との合弁会社、「東風日産(正式名称:東風汽車有限公司、DFL)」が生産を担当しており、日産ブランドのセダンとしては「アルティマ」、「ラニア」、「シルフィ」をラインナップ。

 インフィニティブランドとしては、スカイラインのホイールベースを48mm延長したモデル「Q50L」が中国で生産されています。

 なお、東風日産が独自で中国国内にて製造・販売をおこなうブランド「ヴェヌーシア」が展開するセダンはシルフィと同じプラットフォームを使用する「D60」1車種のみとなっています。

 現在の日産ブランドのラインナップでは17万9800元(邦貨換算:約308万5000円)から販売されているアルティマがセダンの最高級車種となっており、その下に12万5900元(約216万1000円)のラニア、11万9000元(約204万1900円)の14代目シルフィ、そして9万9800元(約171万2400円)の13代目シルフィが続いています。

一方でインフィニティではQ50Lが26万4800元(約454万3200円)、シーマのロングホイールベース版であるQ70Lが38万1800元(約655万1000円)から販売されています。

 中国ではロングホイールベースモデルが好まれるため、メルセデス・ベンツやアウディなどドイツメーカーも中国専用モデルとして、後席でゆったりくつろげて乗り心地のよい「L」バージョンを多数生産しています。

 スカイラインやシーマのロングホイールベース版である、「Q50L」・「Q70L」も中国独自のモデルとなります。

 また、中国国内でのフラッグシップセダンである「アルティマ」は、2020年全体で11万8088台を販売しており、シルフィも毎年50万台前後が販売されているため、今回の国内向けセダン開発中止が仮に実現したとしても、中国向けのセダン車種の開発はこれからも続けられるでしょう。

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