まだ「ガソリン車」は買っても良い? 2035年までに電動車普及で日本市場はどうなる? 内燃機関車の行く末とは
ガソリン車/ディーゼル車はが規制されると何が変わるのか
2035年までに新車販売の電動化は一気に進むのでしょうか。
日本自動車工業会によれば、2019年に国内で販売された約430万台の新車のうち、HVは30%に過ぎず、EVやFCVにいたっては1%未満に留まります。
また、日本独自の規格である軽自動車はガソリン車が大半を占めており、スズキや日産などでマイルドハイブリッドシステムという簡易ハイブリッド車を設定するのみで、電動化への対策があまり進んでいません。
そうしたなかで、日産と三菱は2022年、ホンダは2024年に軽自動車タイプのEVを市場投入することを明らかにしています。
しかし、ユーザーからすれば、電動車に対する補助金や税制優遇があるとはいえ、現状のほとんどの場合でガソリン車のほうがコストパフォーマンスに優れているといえます。
地球温暖化よりも、自分の懐事情のほうを優先するというのが多くの人の本音ではないでしょうか。
また、生活を支える「足」として経済性が重視される軽自動車は、コスト増が明らかな電動化はユーザーニーズから見ても難しいのが現状です。

しかし、2035年というのは決して遠い未来のことではありません。今後、どのような展開が予想されるのか、自動車の電動化に詳しい専門家は次のように話します。
「現実的に、いまガソリン車に乗っている人が、そのクルマを手放さなければならなくなるようなことはないでしょう。
中国などでおこなわれているような、『都心部へのガソリン車侵入規制』なども、現行法では難しいと思われます。
ただ、電動車へのより積極的な税制優遇などはじゅうぶんに考えられます。技術の進歩によって電動車そのものの価格も低下してくると思われるため、ユーザーが電動車を選択するメリットが多くなり、結果としてガソリン車を保有するメリットが薄くなるのでは予想します。
軽自動車についても一定度の電動化は進むと思われますが、一律に規制される可能性は低いでしょう。
軽自動車に求められる経済性や整備性は、高齢化の進む地方などではむしろ必要不可欠だからです。
現在の電動化に関する議論は、政治や金融面が主導している部分が強く、ユーザーが置いてけぼりになってしまっています。
電動化自体は進んでいくと思いますが、最終的には妥協案が出され、ユーザーにとって現実的なラインで2035年を迎えるのではないかと考えています」
※ ※ ※
地球温暖化は全人類が考えるべき課題である一方で、性急なガソリン車規制が日々の生活に与える影響も決して小さいものではありません。
自動車の電動化は進んでいくものと思われますが、人によってはガソリン車のほうがマッチしているのもまた事実です。
過渡期だからこそ、さまざまな視点をもって議論を深めていくことが求められているのではないでしょうか。
Writer: PeacockBlue K.K. 瓜生洋明
自動車系インターネット・メディア、大手IT企業、外資系出版社を経て、2017年にPeacock Blue K.K./株式会社ピーコックブルーを創業。グローバルな視点にもとづくビジネスコラムから人文科学の知識を活かしたオリジナルコラムまで、その守備範囲は多岐にわたる。

























































