スポーツ走行に不向き!? 走り好きにはなぜか人気のない「CVT」のメリット・デメリットとは

軽自動車を含め、日本車に数多く採用されているトランスミッションがCVTだ。スポーツモデルにも採用している車種もあるが、マニュアルトランスミッション(MT)やデュアルクラッチトランスミッション(DCT)と比べると、なぜかあまり人気がないタイプの変速機となっている。もう一度CVTについて考えてみた。

無段階の変速がCVT最大のメリットだが…

 自動車のトランスミッションには、マニュアル・トランスミッション(MT)やトルクコンバーター式AT、デュアルクラッチトランスミッション(DCT)など、数多くの種類が存在する。

 そのなかでも、日本のカーメーカーが多くの車種に採用するのが「CVT」だ。

スバル「レヴォーグ」のCVT「リニアトロニック」のカット
スバル「レヴォーグ」のCVT「リニアトロニック」のカット

 CVTとは「Continuously Variable Transmission」の略で、日本語にすると無段変速機、もしくは連続可変変速機という意味になる。特徴は、その名称にもあるように「無段階」「連続可変」で変速することだ。

 どうして連続可変できるのかといえば、その理由はCVTの仕組みにある。

 CVTは、入力と出力というふたつのプーリーにベルトをかけた構造となっており、ふたつのプーリーの直径の比が変速比となる。

 ふたつのプーリーの直径の差が大きいほど変速比は大きくなり、直径の差が小さくなれば変速比は小さくなる。そして、CVTはベルトのかかったプーリーの直径を変化させることができるのだ。

 具体的にいえば、ベルトの断面は、内側(下側)が狭く、外側(上側)が広くなっている。そのベルトを内側が円錐形になったプーリーが挟む。プーリーは油圧によってベルトを挟む幅を変化させる。

 幅が小さくなると、ベルトはプーリーの外縁部の方に押し出される。その結果プーリーの直径が大きくなる。逆にベルトを挟むプーリーの幅が大きくなると、ベルトは軸の中央に近づく。つまり、プーリーの直径が小さくなる。

 幅の大小は無段階に変化するため、直径の変化も無段階となる。結果として、ふたつのプーリーの直径比(変速比)は無段階で変速することになるのだ。

 その無段階の変速がCVTの最大のメリットとなる。

 そもそも変速機は、エンジン回転数のおいしいところを使うためにある。ところがギア比が固定されていると、ベストな回転数を維持できない瞬間が生まれてしまう。

 だがCVTのように無段階で変速できれば、常にベストなエンジン回転数をキープできる。つまり、CVTは非常に効率の良いトランスミッションなのだ。

 そのCVTを世界で最初にクルマ用として実用化したのは、オランダの自動車メーカーであるDAFであった。1959年にバリオマチックの名で市場に投入。しかしベルトがゴム製で大きな力を伝えることができなかった。

 その問題点を解決したのが、日本の富士重工(現在のスバル)だ。1987年にジャスティに「ECVT」の名称でCVTを搭載。このCVTは金属のコマを使ったスチールベルトが採用されており、現在に続くCVTの先駆けとなった。

1987年に登場したスバル「ジャスティ」。「ECVT」いう名称のCVTを搭載
1987年に登場したスバル「ジャスティ」。「ECVT」いう名称のCVTを搭載

 その後、CVTは多くの日本メーカーに採用されることになる。

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5件のコメント

  1. CVT急ブレーキで止まると、発進の時にもたつくんだよなぁ。
    理論的にはプーリーとベルトの関係でこうなるのは分かっているが、好かないと言うか回復するまでの方法がイマイチないみたいなんだよな。
    まぁ単にトロトロ走ればいいだけだし10秒とかからないが、もたついているからめんどくさい。

  2. 初代フィットの1300に乗った時はCVT悪くないな〜?と思ったもんだけどね。
    エンジンの美味しいところと言ったとこで、そんなエンジンが国産にあるのかね?

  3. スポーツ走行に限定してCVTのデメリットと言えば
    プーリーで挟んでベルトを回す構造上の摩擦熱による油温上昇による悪影響が
    他の変速機より大きい事に尽きるかな。

    大元のメリット&デメリットで言えば、
    無段階にシームレスな変速コントロール出来てエンジンの効率良い域内での制御をしやすいが、
    その分効率制御を優先し過ぎるとアクセル操作との乖離感を伴い
    自身で運転しているという気持ち良さを得られない事。
    無段階なのはよくともきめ細かい変速制御すればするほどプーリー可変時の駆動伝達効率が落ちる為、
    必ずしも燃費に良いとは言えない点もある
    変速のレシオカバレッジ(ローからハイまでの変速比幅)がプーリー径に影響する為、
    ミッションケースサイズの制約的にレシオカバレッジに限界がある。
    その為、近年は中~大型車向けには
    よりレシオカバレッジ拡大や駆動伝達効率を意識した多段速AT化が進んでいるので、
    電動化の流れもありCVTは国外ではもうオワコンと見られてるかも知れませんね。

  4. 実際にリニアトロニック搭載のスバル車は、ステップAT大好きのアメリカで大人気
    と書いてるけど、
    スバル車自体のアメリカでの人気や評価は高いけど、
    あまりリニアトロニック自体は良い評価はされていないですね、
    そこテストに出ますから間違えないように

    • はいはいw

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