メルセデスのフラッグシップ電動セダン「EQS」生産開始! 欧州での登場は2021年夏予定

独メルセデス・ベンツは2021年5月12日、同年夏以降に欧州で発売される予定の新型電動(EV)サルーン「EQS」の生産を開始したと発表した。

ドイツにある最新鋭の「ファクトリー56」で混流生産

 独メルセデス・ベンツは2021年5月12日、同年夏以降に欧州で発売される予定の新型電動(EV)サルーン「EQS」の生産を開始したと発表した。

ドイツ・ジンデルフィンゲンにあるメルセデス工場「ファクトリー56」で生産が開始されたメルセデス・ベンツ「EQS」
ドイツ・ジンデルフィンゲンにあるメルセデス工場「ファクトリー56」で生産が開始されたメルセデス・ベンツ「EQS」

 生産されるのはドイツにあるメルセデス・ベンツのジンデルフィンゲン工場内の「ファクトリー56(第56工場)」。ここはメルセデス・ベンツのサステナブルでCO2ニュートラルな自動車製造を象徴する場所で、屋根に設置された太陽光発電システムで年間の電力需要の約30%をカバーしている。

 またひとつのラインで異なるモデルを組み立てることが可能で、現在ではEQSのほか、「Sクラス」サルーン、および同車のロングホイールベース車、そして「メルセデス・マイバッハSクラス」が生産されている。

 生産はデジタル化され、よりスマートになっている。このデジタル化戦略は、ファクトリー56で働く1500人以上の従業員の日常業務を可能な限りサポートすることを目的としている。とくに高電圧のEV生産を扱う場合は的確な資格を持つことが重要な役割を果たしており、車両生産に携わる従業員は厳しいトレーニングを受けたという。

 ダイムラーAGおよびメルセデス・ベンツAGの取締役会メンバーであり、ダイムラーグループ・リサーチ担当兼メルセデス・ベンツ・カーズCOOであるマーカス・シェーファー氏は、「新型電動ラグジュアリーサルーンであるEQSは、WLTPによる航続距離が770kmと、新たな基準を打ち立てました。同時に、EQSは、開発から購入、生産、充電、リサイクルに至るまで、バリューチェーン全体で持続可能性を実現しています。メルセデス・ベンツは、CO2ニュートラルな新車の実現に向けて集中的に取り組んでいます」とコメントしている。

 またメルセデス・ベンツAG取締役会メンバーで、生産・サプライチェーンマネジメント担当のイェルク・ブルザー氏は「メルセデス・ベンツのグローバルな生産ネットワークの未来は、ファクトリー56でのEQSの生産からはじまります。この未来は、CO2ニュートラルで、持続可能で、完全にデジタル化され、コネクテッドで、非常にフレキシブルなものです。今後2022年には、3大陸の7つの拠点で合計8台のメルセデス-EQ電気自動車が生産される予定です」と語る。

* * *

 EQSはメルセデスの電気自動車「メルセデスEQ」シリーズのフラッグシップモデルで、2021年4月15日に世界初公開された。2021夏以降に欧州で発売が開始される予定だ。

 EQSは全長5216mm×全幅1926mm×全高1512mm、ホイールベース3210mmというサイズ。新型「Sクラス」は全長5180mm×全幅1920mm×全高1505mm、ホイールベース3105mm(S400d標準ボディ・日本仕様)だから、ほぼ同等のサイズ感だ。

 ただしEQSは、すべて電気的なアーキテクチャに基づいて構築されている。まったく新しいコンセプトにより、これまでのモデルとはまったく異なる設計が可能になった。エクステリアでは、ワンボウラインとファストバック・キャブフォワードの設計により、EQSは一見しただけでもエンジンを搭載したモデルとは明確に区??別できる。

 Cd値(空気抵抗定数)は0.202と、これまでにない数値を達成。これにより、EQSは世界でもっとも空力の良い市販車になっている。これにより大きく電費を稼げるというメリットだけでなく、風切り音の少ない走りを実現している。

 デビュー時に登場する予定のグレードは「EQS450+」と「EQS 580 4MATIC+」の2種類。

 EQS450+は後輪駆動モデルで、モーター出力は245kW(約333ps)・568Nmを発生。107.8kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、0-100km/h加速は6.2秒、最高速度210km/h(リミッター)というパフォーマンスを誇る。航続可能距離は最大で770km以上になるという。

 EQS580 4MATICは高性能モデルで、駆動方式は4WD。トータルのモーター出力は385kW(約524ps)・855Nmを発生し、107.8kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載する。0-100km/h加速は4.3秒、最高速度は210km/h(リミッター)となる。

 EQSは、直流の急速充電ステーションで最大200kWでの充電が可能だ。このため、およそ300km走行できる分の電力が、わずか15分でリチャージできるという。

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