ランボが目指したのはフェラーリではなくロールスだった!? 「エスパーダ」再評価【THE CAR】
ランボルギーニ初の4シーターGT
1968年に正式デビューを果たした、4シーター2ドアクーペのエスパーダ。とにかく、実物を間近に見れば、その“平べったさ”に驚くはずだ。
全長4.7mちょいで、幅1.9m弱、高さはわずかに1.2m弱、だから、見た目にテスタロッサをFRにして少し長くしたような感覚である。
●10年1200台以上販売したエスパーダ
ホイールベースは2.65mもあって、リアクォーターウインドウの巨大さを見れば容易に想像がつくように、フル4シーターで、後席には大人もしっかりと座っていられる。高いセンタートンネルの間仕切りが、今となっては逆に“プレミアム”なイメージだ。
取材車両は、1970年式で、インテリアデザインからも分かるとおり、シリーズ2である。エスパーダには1968−1970年のシリーズ1、それから1972年までのシリーズ2、そして1978年まで作られたシリーズ3の3モデルがあり、基本的にはダッシュボードデザインで見分ける。
シリーズ2のデザインがもっとも落ち着きのあるもので、シリーズ1はもっと斬新、逆にシリーズ3はドライバーオリエンテッドでモダンなデザインだ。
低いフロントフードに収まっているのは、シリーズ2の場合、「ミウラS」と同じ350ps仕様の4リッターV型12気筒エンジンで、基本は5速MTを備えたが、シリーズ3の1974年以降になればクライスラー製3速ATを組み合わせることも可能であった。
合計で1200台以上を生産。モデルライフが10年に及んだから、ではあるけれども、逆にいうと、それだけの間、細々ながらも需要があったということで、4シーターの高級GTという市場は、やはり有望だったのだろう。
エスパーダベースの4ドアスタディもあった。有名なフルアデザインの「ファエーナ」で、シリーズ2をベースに製作され、1978年にショーデビューを飾っている。1978年といえば、頼みのBMWとの「M1」プロジェクトも頓挫し、ランボルギーニ社が倒産の憂き目にあった年。もはや、ファエーナを現実のものとする余力など、ランボルギーニにはなかった。
その後もランボルギーニは、4ドア4シーターモデルを検討し続けている。4×4のクロスオーバーSUV計画やヌォーバ・エスパーダプロジェクトが何度も立ち上がっては消えていった。
2000年代に入ってそれらは一気にデザインコンセプトとして、ショーデビューを果たした。「エストーケ」と「ウルス」だ。ポルシェの例を見るまでもなく、いずれの分野も世界のプレミアムカー市場を席巻しており、VWアウディという技術的に強力な後ろ盾のあるランボルギーニ社としては、非常に参画しやすい状況にある。
事実、ウルスの市販化は、2013年の50周年イベントで明言され、いまやランボルギーニの屋台骨となっている。
ランボルギーニにとって、4ドアモデルの先例は「LM002」であり、そういう意味ではクロスオーバーSUVの方がブランドのヘリテージ・マッチングという点で、優れている。
一方で、ポルシェやアストンマーティンの成功を目の当たりにすれば、ヌォーバ・エスパーダへの想いも容易には断ち切れまい。4ドアエストーケの市販化は断念したというが、2ドア4シーターなら、どうだろうか……。
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●LANBORGHINI ESPADA series2
ランボルギーニ エスパーダ(シリーズ2)
・全長×全幅×全高:4735mm×1860mm×1185mm
・エンジン:水冷60度V型12気筒DOHC24バルブ
・総排気量:3929cc
・最高出力:350ps/7500rpm
・最大トルク:37.0kgm/4500rpm
・トランスミッション:5速MT
西川さんにお伝えください。 エスパーダの意味合いはスペイン語で「刀剣」のことです。闘牛士ではありません。 またエスパーだの 現車の リアフェンダーに付いている 車名のバッチが 刀剣を模した デザイン になっているのを見ていただくとより理解しやすいと思います。