見た目だけはホット? 高性能車じゃないけど戦闘的な車3選
高性能車といえばスポーツカーやスーパーカーが代表的な存在ですが、そうしたモデルは見た目にも速そうなフォルムを採用しています。一方で、見た目は高性能車ながらエンジンの出力は高いとはいえないモデルも存在。そこで、高性能車じゃないけど戦闘的なフォルムのクルマを、3車種ピックアップして紹介します。
高性能車じゃないけど速そうな見た目のクルマを振り返る
スポーツカーやスーパーカーは高出力のエンジンを搭載し、足まわりやブレーキも優れた能力を発揮するなど動力性能や運動性能の向上が図られ、さらに見た目にも速そうな外観デザインを採用しているのが一般的です。
また、セダンやステーションワゴンなども、高性能モデルはエアロパーツで迫力ある外観に仕立てられています。
しかし、一見すると高性能車でも、エンジンのスペックはそれほどホットではないモデルも存在。
そこで、高性能車じゃないけど戦闘的なフォルムのクルマを、3車種ピックアップして紹介します。
●デロリアン「DMC-12」
1975年に、当時GMの副社長だったジョン・デロリアンは、自分が理想とするクルマをつくりたいという思いから、GMを退職してデロリアン・モーター・カンパニー(以下DMC)を設立しました。
そして、1981年1月には同社初のモデルとしてデロリアン「DMC-12」が誕生。
外観デザインはイタルデザインの巨匠、ジョルジェット・ジウジアーロの手によるもので、ガルウイングドアを採用したウェッジシェイプのスーパーカーそのものといった見た目です。
エンジンはプジョー、ルノー、ボルボが共同開発した2.8リッターV型6気筒を流用してリアに搭載するRRで、最高出力は132馬力と見た目ほど高性能ではありません。
ボディやシャシの開発は英国のロータスに委託され、スチール製のバックボーンフレームにFRP製のボディパネルを架装。外板には無塗装のステンレス製パネルを採用して、独特な仕上げとなっています。
こうしてデビューしたDMC-12は大いに話題となり、価格が2万5000ドル(現在の約7万ドル相当)と高額ながら、発売当初はバックオーダーを大量に抱えるほどのヒットを記録。
しかし、アメリカの景気後退の余波を受け販売は次第に低迷し、デロリアンは大量の在庫の処分ができない状況となりました。
さらに、ジョン・デロリアンが麻薬密売の容疑で逮捕される(後に冤罪と判明)というスキャンダルも追い打ちをかけ、DMC-12の発売からわずか1年後の1982年2月にDMCは破産。
その後、DMC-12は管財人のもとで残った部品から生産が続けられ、1982年12月に生産終了となるまでに、約9000台がラインオフしました。
破産から3年後の1985年に公開された映画「バックトゥーザフューチャー」で、DMC-12はタイムマシンとして登場したことで世界中に知られる存在になりましたが、公開がもっと早かったらDMCの運命は変わっていたかもしれません。
現在、DMCのブランドとしての権利はアメリカにある「DMCテキサス」という会社が保有しており、EV化したDMC-12の生産を2021年秋に予定していると発表しました。
ちなみにDMCが生産したDMC-12の部品は今も潤沢な在庫があり、レアなモデルながら比較的維持しやすいといわれています。
●マツダ8代目「ファミリア 1700ディーゼルターボ」
マツダ「ファミリア」は1963年から2004年まで販売された長い歴史のあるモデルで、現在の「マツダ3」の源流でもあり、かつては同社の主力車種として高い人気を誇っていました。
1980年に登場した5代目は「赤いファミリア」のキャッチコピーで大ヒットを記録し、シリーズ初のターボエンジンを搭載した高性能モデルを設定。
さらに、1985年発売の6代目では1.6リッターDOHCターボエンジンに日本初のフルタイム4WDを採用するなど、高性能車としてのイメージが定着しました。
しかし、1994年に発売された8代目ファミリアでは大きな方向転換がおこなわれ、高性能モデルは設定されませんでしたが、セダンには経済性に優れたシリーズ初のディーゼルターボをラインナップ。
このディーゼルターボ車「1700ディーゼルターボ」には、ボンネットにエンジンルームへ導風するエアダクトが設置されており、一見するとスポーティな外観に演出されています。
下位グレードでは余計な加飾を排除した質素な外観から、まるでレースベース車のようでした。
搭載されたエンジンはいすゞ製の1.7リッター直列4気筒SOHCディーゼルターボで、最高出力は88馬力と現在のディーゼルターボほどパワフルではありません。
ベーシックモデルとして教習車にも採用されましたが、1998年に生産を終えて9代目にバトンタッチされました。
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