日産「プリメーラ」は壮大な使命を担っていた? バブル期に誕生した珠玉のセダンを振り返る

より欧州テイストのモデルとコンプリートカーの登場

 まず1990年に2リッター車において4WDモデルが追加され、ユーザー層の拡大が図られました。

 そして、日欧とも同時期に発売された初代プリメーラは当初国内で生産されましが、すぐにイギリス工場でも生産され、欧州ではイギリス製の5ドアハッチバックもラインナップされました。

 この5ドアが1991年に日本でも輸入・販売が開始されグレードは「2.0eGT」と命名。

180馬力までチューンナップされたコンプリートカーの日産「プリメーラ オーテックバージョン」
180馬力までチューンナップされたコンプリートカーの日産「プリメーラ オーテックバージョン」

 2.0eGTの外観は4ドアと共通のイメージを残しつつもリアハッチを寝かしたファストバックスタイルを採用したスタイリッシュなフォルムです。

 エンジンは2リッターのみでトランスミッションも4速ATのみとされ、ロングツーリングを意識した設定となっています。

 5ドアハッチバックの2.0eGTは、セダンと同様の優れた走りとステーションワゴンに近い使い勝手の良さもあるハイパフォーマンスなモデルでしたが、日本では4ドアセダンの人気が圧倒的に高く、販売は低迷してしまいました。

 また、日産の特装車やカスタマイズカーを手掛けていたオーテックジャパンから、1994年にコンプリートカーの「プリメーラ オーテックバージョン」が発売されました。

 プリメーラ オーテックバージョンは全日本ツーリングカー選手権参戦を記念して開発されたモデルで、外観は専用デザインのフロントスポイラー、R32型 スカイラインGT-Rを彷彿させる大型リアスポイラーなどが装着され、アグレッシブなスタイルを実現。

 エンジンはスタンダードのSR20DE型をベースに圧縮比アップやECUのプログラミング変更、専用のエキゾーストマニホールドが装着されるなどにより最高出力は30馬力アップの180馬力を発揮し、トランスミッションはクロスレシオ化された5速MTのみです。

 駆動系ではビスカスLSDを標準装備し、サスペンションもオーテックジャパンによるチューニングで、ノーマルのしなやかさを生かしながら運動性能を向上させています。

 内装も専用シート地や本革巻きのスポーツステアリングが奢られ、スポーティに演出されました。

 さらに、話は前後しますが1990年には北米市場でもインフィニティ「G20」として発売され、高級車ブランドとあって内装では本革シートが設定されるなど、プリメーラのスポーティなイメージからラグジュアリー路線に変貌しています。

※ ※ ※

 初代プリメーラはいくつかの改良がおこなわれ、1995年に初代からキープコンセプトとされた2代目にバトンタッチ。

 2001年にはデザインが大きく変更された3代目がデビューしましたが、2005年には国内での販売を終了し、プリメーラの歴史に幕を閉じました。

 初代プリメーラは901活動によってFF車ハンドリング世界一を目指して開発され、多くの新技術を投入して日産のクルマづくりにも大きな影響を与えたモデルです。

 まさに初代プリメーラは日産のエンジニアのこだわりが詰まった一台で、その思いがユーザーにも伝わったことからヒットにつながったのではないでしょうか。

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Writer: くるまのニュース編集部

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