エアバッグが開いたクルマはもう乗れない? 廃車と修理のボーダーラインは?
軽自動車でも部品代だけで30万円以上かかることも
エアバッグが開いてしまったクルマを修理する場合、修復にかかるパーツ代がかなり高額になるといいますが、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。
まず、エアバッグ本体を含めたハンドルとインパネまわりの修理が必要で、ホーンボタン(運転席エアバッグ)やパッセンジャー(助手席)エアバッグといった主要部品が挙げられます。ほかにもスパイラルケーブル、衝撃を受けた側のエアバッグセンサー、エアバッグ用コンピュータ、前席シートベルト&バックルなどが最低限必要になり、軽自動車の場合でも部品代だけで30万円は軽く超えてしまいます。
これに加えてシャシの修正にはエンジンやミッション類の積み下ろし、ダッシュボードを取り外しての作業など、工賃がかかってくるのです。
「軽自動車の場合でも、部品代だけで30万円から40万円はかかります。さらにバンパーやボンネット、ボディパネルの修復、フレーム矯正や塗装なども含めると、総額で100万円以上が想定されます。結果的に買い直したほうが安価で時間も節約できるケースは多いでしょう」(整備士)
さらに、運転席エアバッグだけでなく助手席エアバッグが開いてしまうと、収納していたカバー(樹脂製)も飛散してしまうため、ダッシュボードも交換する可能性が高いのだとか。
ほかにも各種センサーやコンピュータなどに加え、左右のシートベルトもすべて取り替えないといけなくなるのだそうです。
「これは内蔵されているシートベルトプリテンショナーが、1度作動してしまうと交換しなければいけないパーツだからです。
エアバッグには火薬が仕込まれており、その爆発によって開くシステムになっていますが、シートベルトプリテンショナーにも火薬が仕込まれており、衝撃時にはその爆発によってシートベルトを瞬時に巻き取ることで拘束性を高めるようになっているのです。
場合によってはシートベルトプリテンショナーのみ作動するケースもあるようですが、その場合も燃えた火薬の匂いが車内に広がります。シートベルトの付け根部分であるピラー内部に組み込まれているので、火災が起きることはありません」(整備士)
そのほか、エアバッグの作動状況によってはフロントウインドウが割れるケースも報告されるなど、エアバッグが開いたクルマの修復には、かなりの労力と時間とお金が必要になるのは間違いないようです。
「衝撃のせいかエアバッグ作動時の火薬のせいかは判断できないのですが、周辺の配線のカプラーが溶けてしまうこともあります。そうなると配線まで引き直す必要がありますので、大手術といったレベルの修復作業になります」(整備士)
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エアバッグは大事故から乗員を守る安全装備の最後の砦のようなものですが、運良く作動しなかったとしてもフレームに歪みなどの損傷が出てしまうとこれまた厄介なのだそうです。
「軽度の歪みは万力のような矯正機である程度は戻せるのですが、矯正せずにフレームの一部を切り取って交換してしまうケースもあります。この場合、目に見える歪みだけでなく周辺にも影響が出ているので、矯正してからでないとフレームのほかの部分と噛み合わなくなるケースもあります」
また、クラッシャブルゾーンが狭い軽自動車などは衝撃によってフレームだけでなく、エンジンやミッション(ギアボックス)が正しい位置より下がってしまうケースも多いのだそうです。
矯正したフレームではクラッシャブルゾーンが十分に機能しないケースも考えられることから、修理して乗る場合、さまざまなリスクを想定する必要があるといえます。
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