中国で1番人気ミニバンはどのメーカー? 60万円EVも販売で勢いを増す「宏光シリーズ」とは

過去には頭文字Dとコラボも? 世界中で話題!60万円のミニEVとは?

 小型ミニバンの宏光、日本の公道を走った過去があります。2017年夏のことで販売や登録ではなく、中国の自動車メディア「易車網」協力のもと、日本国内でプロモーションビデオの撮影がおこなわれました。

 宏光は漫画「頭文字D」とコラボレーションを果たしたことで、漫画内に登場する群馬の榛名山がロケーションに選ばれています。

 公開されている映像によると、実際に宏光を群馬県渋川市内や榛名山、群馬サイクルスポーツセンターなどへ持っていき、頭文字Dでおなじみのトヨタ 「スプリンタートレノ(AE86)」と一緒に峠を攻めるというストーリーとなっています。

 また、中国国内限定となりますが、ミニカーブランド「XCarToys 拓意」からコラボレーションを記念した藤原とうふ店仕様「パンダトレノ」のミニカーも発売されています。

 最近では、中国版センチュリーともいえる紅旗「H9」の日本上陸で中国車に注目が集まりつつあります。

頭文字Dとコラボしたミニカー(撮影:加藤ヒロト)
頭文字Dとコラボしたミニカー(撮影:加藤ヒロト)

 また、2020年8月に宏光シリーズ最新モデルとして発売された超小型EVの宏光 MINI EVが前述のとおり大きな話題となっています。

 既存の7人乗りミニバンではなく、こちらは「MINI」の車名通り、4人乗り3ドアの超小型EVです。

 全長1940mm×全幅1493mm×全高1621mmの小さなボディが特徴で、バッテリー容量は9.2 kWh(航続距離120km)と13.8kWh(航続距離170km)の2種類が選択可能です。

 モーター出力は72馬力となっており、最高速度は100km/hにまで達します。

 2020年8月に販売が始まったばかりですが、2020年の販売台数は4か月強で11万9255台を記録。中国市場のみならず、全世界でもテスラ「モデル3」に次いで2番目に多く売れた電気自動車となりました。

 さらに2021年1月には中国国内で2万5778台を販売し、中国製モデル3の1万3843台に1万2000台近い差をつけて、中国でもっとも売れた電気自動車の称号を手に入れました。

 この人気の高さは、小型ミニバンの宏光同様に価格の安さにあります。3つのグレードが用意され、それぞれ2万8800元(約46万5000円)、3万2800元(約53万円)、3万8800元(約62万7000円)となっています。

 これはライバルとなる超小型EVの宝駿「E100」(4万9800元~/約82万円~)、チェリー「eQ1」(5万9800元~/約99万円~))、欧拉「黒猫」(6万9800元~/約116万円)よりも安く設定された価格です。

 低価格を実現しながらも、大人4人が乗れる室内空間にエアコンなどの快適装備、そして2列目シートを倒せば741リットルの荷室が確保できることなどが、多くの人に支持されています。

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Writer: 中国車研究家 加藤ヒロト

下関生まれ、横浜在住。2017年に初めて訪中した際に中国車の面白さに感動、情報を集めるうちに自ら発信するようになる。現在は慶應義塾大学環境情報学部にて学ぶかたわら、雑誌やウェブへの寄稿のみならず、同人誌「中国自動車ガイドブック」も年2回ほど頒布する。愛車は98年式トヨタ カレン、86年式トヨタ カリーナED、そして並行輸入の13年式MG6 GT。

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