なぜトヨタが国家級プロジェクトを実現? 「Woven City」計画始動! 未来都市実現に向けて一歩前進
なぜ国家プロジェクト級の計画をトヨタなど民間が進めるのか?
Woven Cityは長いスパンでおこなうプロジェクトであると共に、「民間の力」で進めているところもポイントです。
トヨタとNTTが業種の垣根を越えた資本提携をおこなった際に、豊田社長は「日本連合」と語っていましたが、国家プロジェクトではなく民間でやる意味はどこにあるのでしょうか。豊田章男社長は次のように語っています。
「それは“時間”です。未来はそこまで来ています。今動かないと10年先の未来に差がついてしまいますので、自分達の土地、自己資金、さらに『未来をつくりたい人、この指とまれ!!』とパートナーも自分達で集めることにしたわけです。
ただ、誤誤してほしくないのは国と対立しようとは思っていません。ここで得た知見や経験、そして商品は必ず国に役立つと思っています。
また、Woven Cityだけでなくここをハブとして近隣も含めて進めていこうと考えています」
昨今、菅総理の2050年カーボンニュートラル宣言を発端に、「クルマをEVにすれば全てが解決」というような間違った報道が問題となっています。
ちなみにWoven Cityは「自給自足のエネルギーシステム」もテーマのひとつだと聞いています。
「エネルギーにしても食料にしても作った以上は無駄にしてはいけません。元々日本は以前から『省エネ』や『燃費カイゼン』などをやってきていますので、その強みを活かしつつ更にロスをなくしていく必要はあります。
本当のカーボンニュートラルになるまで時間はかかると思いますが、何もやらずに2050年に達成できるかというと……。なので、Woven Cityを『何かやろう』という場所にしたいと考えたのです」
豊田章男氏が社長に就任してから12年が経ちます。
これまで様々な改革を進めてきましたが、そこに共通するのは「ヒトが中心」と「現地現物」へのこだわりです。それはWoven Cityもまったくブレていません。
「一般的にはテクノロジーはヒトを便利させるといいます。ただ、ロボットとの共存となったときに、本当にヒトは『ありがたい』と思うのか、それとも『おせっかい』だと思うのか?
そんなときに、ここに住んでいるヒトたちを中心にという所にこだわってきたい。人々が実際に住んで、働いて、遊んで、そんな生活を送りながら実証に参加する…だから故に『未完成の街』だと。
トヨタはカイゼンの精神でやってきているので、決して完成形を最初から作るのではなく、作った都度スタートです。決してゴールがない街づくりをしていきたいと思っています」(豊田章男社長)
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豊田家には「一代一業」と言う家訓があります。豊田佐吉氏は自動織機、豊田喜一郎氏は自動車事業、豊田章一郎氏は住宅事業を立ち上げています。
章男社長は「自動車メーカーからモビリティカンパニー」へのフルモデルチェンジです。
つまり、クルマというハードだけでなく、クルマを使った生活、つまりソフトもカバーすることがモビリティの追求であると。Woven Cityもその一つになりますが、その本質を説いていくと、ヒトが幸せになる物やサービスを提供すること、つまり『幸せの量産』に辿りつくのです。
ちなみに地鎮祭がおこなわれた2月23日の翌日、2月24日は、2009年から2010年に発生した大規模リコールで米国下院公聴会の証言台に立った日になり、そのことに関して豊田章男社長は次のように延べていました。
「改めてコロナ禍で色々なことが急変したなかでの地鎮祭は非常に凄いことだと思っています。
偶然ですが、翌日の2月24日は私にとって『再出発の日』です。その前日、やはり何か大きく変える日なのかと感じています」
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
前身は1967年設立の関東自動車工業の東富士工場ですね、
ヨタハチに始まり、他には確かAE86レビン/トレノやコロナエクシヴ、コンフォート、オリジン、アイシス、ラクティスそしてポルテ/スペイドなども生産担当していましたよ。