神カワイイ! ピンクのブガッティ「シロン・アリス」は妻へのプレゼントだった!?
ブガッティがピンクの「シロン」をカスタマーの要望を受けて製作。妻へのプレゼントとして発注されたシロンは、ハイパーカーの世界にもジェンダーレスの時代が訪れたことを告げる1台になるかもしれない。
はじまりは、妻へのプレゼントとして
モルスハイムにあるアトリエからデリバリーされるブガッティの新車は、同じ仕様のクルマは1台としてない。すべてのブガッティは、パーソナライゼーションでオーダーされることが前提となっており、カスタムの可能性は無限大であるからだ。
しかし、2021年2月12日に発表されたブガッティ「シロン」は、前例にないカラーリングで、「カワイイ」仕様に仕上がっているのが特徴だ。
新色となる「シルク・ロゼ」と「マット・ブラン(艶消し白)」で仕立てられた「シロン・スポーツ」は、「アリス」と名づけられた。発注した人物は、妻へのプレゼントとしてこのシロンをオーダーしたという。
外装色のシルク・ロゼは、Aピラーからルーフ、そしてアウターシェルから続くアンダーボディに用いられている。さらにホイールもシルク・ロゼの鮮やかなカラーを纏っている。
インテリアは、ホワイトが基調となっており、トリムやステッチにシルク・ロゼの淡いピンクが使われている。ヘッドレストには「Alice」の文字がやはりシルク・ロゼで刺繍されており、ドアシルにも「Alice」と描かれている。
ブガッティのモータースポーツの歴史といったコンテキストを一切感じさせないこのシロンは、英国ロンドンの正規ディーラーであるH.R.オーウェン・ブガッティから始まった。このディーラーに訪れたカスタマーとともに、経験豊富なディーラースタッフがモルスハイム本社を訪ね、カスタマーはブガッティの歴史に触れるとともに路上でその性能を体感。豊富なデザインオプションやカタログ、製品リストに目を通し、ブガッティのデザインチームとセールスチームとともにアリスの仕様を煮詰めていったのである。
H.R.オーウェン・ブガッティのCEOであるケン・チュー氏は次のようにコメントしている。
「この1台は、本当にユニークなブガッティのモデルであり、いつまでも1点もののクルマとして人びとの記憶に残るでしょう。
お客様とこの素晴らしいシロンを結びつける重要な役割を果たせたことを光栄に思っています。お客様は、新しいブガッティをどのように見せたいかというビジョンを持って、弊社に訪れてくれました。
ブガッティの豊富なアクセサリーやオプションの数々のおかげで、このような野心的なデザインでも実現できることを嬉しく思います。すべてのブガッティがカスタマーひとりひとりの異なるアプローチで仕立てられ、新しいオーナーが自分の好みのテイストを新しいブガッティに吹き込めることは、すばらしいことです」
●VAGUEの見解
かつて、イタリアのあるスーパーカーブランドのパーソナライゼーションセンターを訪れたとき、「カスタマーのオーダーがあれば、どのようなカラー・仕様にもできるのか?」という質問をしたことがある。
その時の答えは、「ノー」というものであった。ブランドイメージを損ねるようなカラーリングや仕様は、カスタマーに勧めかねるとの回答。この言葉の裏には、たとえお金を積まれてもブランドにそぐわないセンスの悪いクルマは作らないという意志が込められていた。
では、このピンクのブガッティ・シロンはブランドイメージを損ねていないのだろうか。妻へのプレゼントとして作られたシロンは、女性が運転することが前提となっている。ジェンダーレス化が進む世の中において、そもそもピンク系の色が女性らしいという価値観そのものが古いといっていいだろう(ランドセルの赤が女子、黒が男子と決められていたのと同じだ)。
確かにブガッティといえば、まず最初にイメージされるカラーはブルーかもしれない。しかし、あらゆるシーンで多様性が浸透しているいま、そうした固定観念に囚われるのも、企業としては柔軟性に欠けているといえる。
ハイパーカーの世界は、これまで男性が主要なカスタマーだったが、これからは性差なく扱われるようになるはず。その意味では、アリスはブガッティのジェンダーに対する回答でもあるだろう。ブガッティはスピードや性能だけではなく、ジェンダーレスについても最先端のハイパーカーブランドであったのだ。
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