中国の高級車が日本上陸! 中国版「センチュリー」発売で日本市場への影響はどうなる?
紅旗のターゲットは?勝機はある?
今回のH9に関しては、輸入元が存在して数台を輸入販売するようですが、今後民族系自動車メーカーが日本に進出するとどれほど影響が考えられるのでしょうか。
短期的に見れば、紅旗のH9が日本に輸入されること自体は、日本の新車販売市場に大きな影響を与えることはないでしょう。
前述の通り、日本はすでに成熟した市場であり、H9の競合となるモデルが多く存在しているため、多くのユーザーにとってそうしたモデルから乗り換える理由はありません。
現実的に見れば、メインターゲットは中国大使館関係や中国関連企業であり、年間販売台数は100台程度ではないかと想定されます。
しかし、長期的に見れば、紅旗の日本進出は大きな転換点となる可能性を秘めています。
紅旗の母体である第一汽車は、トヨタやフォルクスワーゲンなどの合弁企業から販売される分も含めると、年間300万台以上の新車を販売する巨大メーカーです。
同じく中国国有のメーカーである上海汽車や東風汽車、広州汽車などと合わせると、1500万台以上の新車販売を誇る大企業群となります。
いずれも日本では馴染みのないメーカーですが、それは1500万台以上の販売のほとんどを中国国内の需要でまかなっているためです。
しかし、いずれ先細る国内需要に加え、企業としての継続的な成長を考慮すると、これらの中国自動車メーカーたちが今後積極的に海外展開を図ることは自明といえます。
また、現在日本には81万人を超える在日中国人がいるとされています。
いうまでもなく、どの国の在日外国人よりも大きな数字です。多くの場合、彼らは日本国内で中国車に乗るということはありませんが、今後民族系自動車メーカーが日本進出を本格化すれば、大衆ブランドのモデルも導入されることになり、国産メーカーのビジネスに影響を与えるかもしれません。
中国が世界最大の新車販売市場であることはすでによく知られていることですが、一方で中国の自動車メーカーの技術力は、まだまだワールドクラスとはいえません。当然、中国自身もそれを認識しています。
中国では2025年に「自動車強国になる」という国家目標を掲げています。ここでいう「自動車強国」とは、単に新車が多く売れる国という意味ではなく、技術開発力でも世界トップクラスを目指すという意味です。
それに向けて、自動車メーカーへの支援はもちろん、サプライヤーなどの関連企業も含めた投資活動が活発化しています。
また、近年世界的に推進されているクルマの電動化領域では、中国はすでに世界をリードしています。
日本にとって自動車業界が基幹産業であるように、中国にとっても国家の将来を占う最重要産業のひとつです。
世界的に見ればこれまでほとんど需要のなかった中国車ですが、今後は少なからず各国の市場で存在感を増していくと考えられます。
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今回、紅旗のH9を実際に購入する人は多くはないでしょう。しかし、長い目で見れば、この中国車の日本で量産販売体制が整えば、日本の自動車業界にとって大きな転換点になるかもしれません。