スーパーカーとも相性良い? ラグジュアリーSUV「ベンテイガ」だけが到達できた境地
2021年の注目SUVを、元スーパーカー雑誌編集長の西山嘉彦が選出。第1回目はスーパーカーのスーパーサブとして選ぶSUVを紹介しよう。フェラーリ、ランボルギーニ、マクラーレン……、どんなスーパーカーとも相性の良いベントレー「ベンテイガ」がイチオシだ。
ベンテイガだけが到達できた境地
ラグジュアリーSUVの先駆け的存在であるベントレー「ベンテイガ」。2021年の注目SUVの筆頭である新型ベンテイガだが、特にスーパーカーオーナーにオススメしたいのには、相応の理由がある。
車高、そして最低地上高の低いスーパーカーを所有しているオーナーにとって、普段遣いのクルマに求める要件は、大きくふたつあるだろう(ただし、日常的にスーパーカーを足グルマとして使っているという筋金入りの御仁は除く)。
ひとつは、フロントリップを擦ることを気にせず、乗降しやすく、見晴らしが良く、後部座席に人を乗せることができ、荷物がたっぷり積載できること。これに乗り心地がソフトで、しかもどんな速度域からでもアクセルペダルを踏めば、一気に後続車を引き離すほどの加速力が備われば文句はない。
つまりこれらの要件を満たすのは、相応の動力性能を備えたビッグサイズのSUVがもっとも相応しい。そしてこの条件を満たすラグジュアリーもしくはプレミアムSUVは数多く存在する。
●控えめであるという美徳
そしてもうひとつは──実はこれが難しいのだが、ひとことで表現するならば「ステルス・ウェルス」が備わっていることが、非常に重要である。たとえば、ロールス・ロイス「ゴースト」のコンセプトである「Post Opulence(ポスト・オピュレンス:豪華絢爛のその先→贅沢からの脱却)」というのも、遅ればせながらそうした価値観をブランドに取り入れようとする試みの一端と見てもいいだろう(どこから見ても「ロールス・ロイス」という姿をしている限り、そのコンセプトとは矛盾しているという議論はさておき)。
要約するとステルス・ウェルスとは、素人目には理解しづらい部分に大金が掛けられている裕福さのことだ。ヴェブレンの『有閑階級の理論』で指摘した「衒示的(げんじてき)消費」のまさに逆だと思って頂ければよい。
スーパーカーに憧れ、それを手に入れたとしても、その存在自体が衒示的消費の象徴たるスーパーカーを所有しドライブするということは、自らの思いとは違った視線に晒されることを受け止めなければならない。
だからこそ、普段遣いのビッグサイズのSUVには、威圧感よりはむしろ洗練された上品さが求められるのである。押し出しが強いSUVは、下品に見えてしまうこともある。日常の足クルマとしてのSUVには、「頑張っている感」のない、さり気ない抜け感も必要。しかし、ドライブする本人だけに享受できる「贅」がふんだんに注ぎ込まれていることは、当然のことである。
前置きが長くなってしまったが、ふたつめの要件も満たすクルマは、ベントレー「ベンテイガ」のみと断言してもいい。そして、カスタマーにとってのベンテイガのレゾンデートルとは、このふたつの要件そのものにほかならないだろう。
それは、ベントレーからアナウンスされたデータでも裏づけられている。データによるとベンテイガオーナーの82%が毎日運転し、74%のベンテイガはほぼ毎日街中で運転されており、買い物・通勤・旅行がもっとも多い使用用途であるという。まさしく、普段遣いできる心強い執事のような存在なのだ。
では、2021年現在、新車で購入できるベンテイガのプロフィールを簡単に解説しよう。
初代ベンテイガは、2016年に日本市場に導入。当初はW12モデルだけだったが、2018年からV8モデルを投入、さらに2019年にはハイパフォーマンスモデルの「ベンテイガ・スピード」がラインナップされている。
新型は2020年6月にV8モデルから発表され、同年8月にはW12を搭載したベンテイガ・スピードが早くもラインナップに加わっている。しかし、今回VAGUEでオススメするのは、V8モデルの新型ベンテイガだ。
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