「ソ・ソ・ソリオ♪」 新型モデルはどう変わった? 魅力増した部分とは
ソリオは走りも確実に進化した?
では、新型モデルの走りはどうでしょうか。
防振/防音対策などで車両重量は先代+50kgですが、重量増が響く発進時や再加速時はマイルドハイブリッド(3.1馬力/50Nm)の背中をそっと押すようなアシストが先代以上に体感でき、一般道を普通に走る限りは先代と同等の動力性能と考えていいと思います。
さらにアクセルをグッと踏んでいくとスペック以上の力強さとフリクションが少なく軽快でスッキリと回るエンジンのフィーリングは、コンパクトクラスのエンジンのなかではトップレベルです。
フットワークは先代譲りの背の高さを感じさせない走りと快適性をバランスよく引き上げられています。
走りの部分は構造用接着剤採用で剛性の連続性が増したことで、各部が効果的に働いています。
具体的には軽い操作力ですが直結感の高いステア系、先代以上にロールを上手にコントロールしているサスペンションなどです。
その結果、街中ではしなやかな足さばきと軽やかさ、高速道路では無駄な動きを抑えた落ち着きという二面性に加えて、軽量モデルでは実現が難しい「走りの質感」も備わっています。
また、快適性の部分では先代で指摘されていた後席の乗り心地は大きくカイゼン。加えて静粛性アップも効果テキメンで、単純に「静かになった」、「会話明瞭度が上がった」だけでなく、軽いクルマにありがちが振動も抑えられており、結果として「いいクルマ感」が増しているように感じました。
ちなみにソリオとソリオバンディットのサスペンションセットはまったく同じですが、筆者的には「見た目と走りのバランス」という意味ではソリオのほうが合っており、ソリオバンディットはもう少しスポーティな方向、そうスイフトRSのような「しなやかスポーティ」な味付けでもいいのかなと思います。
新型モデルはインパクトこそ薄めですが、着実な進化を感じました。
クルマとしての実力は最大のライバルトヨタ「ルーミー」、ダイハツ「トール」スバル「ジャスティ」のOEM連合よりも高いところにあると思っていますが、もしかしたら真面目すぎるキャラクターが数少ない欠点かもしれません。
「ソ・ソ・ソリオ♪」とタレントたちが躍るTVCMのような「楽しさ」、「ワクワク」が感じられるようなプラスαがクルマに少し欲しいです。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
このフェイスバランスでスティングレーやスペーシアカスタム出してほしかった