謎の車が箱根駅伝でこっそりと走行!? 新型MIRAI以外の燃料電池車が突如現る

今年の箱根駅伝では謎の車両が走行していました。大会協力車両に使われる車両については事前にアナウンスされており、GR仕様の白いセンチュリーや新型MIRAIなどが話題に。しかしそこには一切触れられていない少し違ったグランエースが。この車両はMIRAI同様の燃料電池車でした。隠す気はなかったかもしれませんが、いったいなぜアピールしなかったのでしょうか。

箱根駅伝でコッソリ走った!新型MIRAI以外にも存在した謎のFCVとは?

 箱根駅伝を見ていたら少しばかり違和感のある車両を見つけた。他の大会協力車両とデカールの色と模様が違う。クローズアップしてチェックすると、驚いたことに『FCV』と書いてあります!

 調べてみると関係者曰く、「グランエースの燃料電池車です。車検も取っているので隠すべきことではないですから。そもそもデカールに書いてありますし(笑)」

箱根駅伝でこっそり走行していた謎の燃料電池車のベース車「グランエース」
箱根駅伝でこっそり走行していた謎の燃料電池車のベース車「グランエース」

 箱根駅伝で使われる車両については事前にアナウンスされており、GR仕様の白いセンチュリーや新型MIRAIなどが話題になっていました。TV中継でも度々紹介されたほど。

 しかしグランエースの燃料電池車については全く出てこない。隠す気はなかったかもしれませんが、なぜかアピールしようともしていない。なぜか?

 その前に、トヨタ「グランエース」の燃料電池車について解っている範囲で紹介してみましょう。

 まず使われている燃料電池ですが、新型MIRAIと同じ新世代の小型&軽量タイプとのこと。新世代の燃料電池、わずか32kgしかなく、しかも軽自動車のエンジンと大差ないサイズ。どんな車両にも搭載することが出来るということなんだと思います。

 さらに、新型MIRAI用に開発された車両中央用の水素タンクは従来型MIRAIより細い。後輪駆動のグランエースだと、床下のドライブシャフトの位置に水素タンクを載せられるという。

 モーターも新型MIRAIと同じ182馬力ながら、パワーの出方がディーゼルエンジンと近いため車重3トンのボディを苦にしないそうな。

 実際、箱根の厳しい旧道を軽々登る。改めて説明するまでもなく燃料電池車の排出ガスは水(水蒸気)のみ。

 だったら裏方の車両でなく、ランナーの直前を走るカメラカーなどに使ったらいいのに。いや、すでに来年の箱根駅伝のカメラカーを燃料電池車にする計画かもしれません。ランナーの前は排気ガスを出さないクルマに走ってもらいたい。

 さらに調べてみるとトヨタにとってけっこうホンキのプロジェクトらしいことが判明しました。リンクしたのはトヨタイムズに掲載された『3分で読み解くトヨタの水素戦略』という記事。

 要約するとカーボンフリーのため電動車両をフルラインナップすると書いてある。電気自動車だけでなくいろんなカードを用意している、ということです。

 政府が2050年のカーボンフリーを打ち出す一方、自動車工業会の豊田会長は「エネルギー政策から方針を決めて欲しい」と本質をついたコメントを出した。

 これを受け「トヨタは電気自動車の開発に遅れを取っているためハイブリッド車を売りたいんだろう」みたいな記事も出ているが、トヨタイムズを見るとずいぶんイメージは変わってくる。

 考えてみるとエンジンで走っているグランエースを電気自動車に改造することは、どこのメーカーにだって出来ることだろう。日本の自動車メーカーだけでなく、欧米や中国だって容易に作れる。

 けれど燃料電池で走らせようとしたら、ハードルが圧倒的に高くなります。信頼性やコストまで考えると、おそらく世界中でトヨタにしか作れない。

トヨタ新型MIRAIの高圧水素タンク
トヨタ新型MIRAIの高圧水素タンク

 本格的なカーボンフリーを考えると、最も難しいのはバスやトラック、船舶、鉄道用、建設用機械などの脱ディーゼルエンジン戦略だと言われている。乗用車は比較的容易に電気に置き換えられるものの、大きなパワー出すモビリティを電気自動車にすれば実現不可能なほど巨大で重いバッテリーを搭載しなければなりません。

 今のところ燃料電池が最も有望なパワーユニットだと言われてます。グランエースの燃料電池車はカーボンフリー時代に向けての第一歩という位置づけなんだろう。

 文頭に戻り「なぜ大々的にアピールしないのか」と言えば、燃料電池のエネルギー源になる水素を低コストで作る技術が確立されていないからだと思う。

 大きな声でアピールすると、アンチ燃料電池派から「高圧水素を作る際に大量のエネルギーを使うから意味無し!」と言われてしまう。

 30年後を考えて様々なトライをしている最中に、今の水素インフラで批判されたらいかんともしがたい。おそらくこの記事のコメントも「意味無し!」という声が多いと思う。そう思うとアピールしない方が得かもしれません。

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Writer: 国沢光宏

Yahooで検索すると最初に出てくる自動車評論家。新車レポートから上手な維持管理の方法まで、自動車関連を全てカバー。ベストカー、カートップ、エンジンなど自動車雑誌への寄稿や、ネットメディアを中心に活動をしている。2010年タイ国ラリー選手権シリーズチャンピオン。

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18件のコメント

  1. 燃料はなんでもいいがMTが消えるのは嫌。
    家では4人共に各1台車持ってて4台全てMTのみ。

    モーターだとミッションそのものが消えてただのでかいラジコンになる。
    ラジコンなんか何十年も前からワンペダルみたいな操作とミッションレスで動いていた。
    MTみたいな操作のもタミヤから出てたが。

    そもそも日本は地球をほとんど汚してない。
    電動化は一番地球を汚してる中国とかがやればいい事。
    日本はこれだけエンジン車が走行してても問題ないのに世界の雰囲気でわざわざ電動化してどうする?
    で、今日本にめちゃくちゃあるエンジン車はどこに廃棄する?
    途上国に押し付ける?分解する?宇宙にでも捨てる?
    エンジン車だって勝手に消滅する訳じゃない。
    地球のどこかには置かなきゃならない。
    中国なんかさっさと滅亡しろ。

    • マニュアル良いですよね。残念ながら中古車オンリーの我が家は3台中一台のみ。しかし実家の高齢おやじは去年踏み間違いで廃車にしたので家族会議の結果MTに!運転してる感がいいみたい。

    • でも世界で一番車が売れてるのは中国だからEVが作れない会社はこの先生き残れないことは確実なんだよなぁ….日本を悲観するあまり中国に嫉妬するのはやめたまえよ。同じ日本人として見苦しい

  2. 内容は良いと思うが、日本語が拙すぎてプロの文章と思えない。それか、ネットの文章は編集のチェックも入らないのか?

  3. FCVがカーボンフリーの筆頭候補と思う。世界はEV化で進んでいるようだが、トヨタがHVで実施したように技術をオープンにして、また既にオーストラリアから輸入した水素を神戸で水素燃料にするプロジェクトで輸送技術、加工技術の確立化も進んでおり、これら技術の海外への供与で世界的なFCV推進を日本がリードして行くことが望まれる。
    その先にはFCV利用による自家発電など展開が可能。

  4. アンチ燃料電池派から「高圧水素を作る際に大量のエネルギーを使うから意味無し!」と言われてしまう,、ということですが、石油や天然ガスは日本では作れないが、水素はひょっとしたら日本でも作ることができる、というところがミソじゃないかと思います。風力や太陽光発電のような再生可能エネルギーでも、原子力でも水素はできる。再エネを選ぶか原子力を選ぶかは、その人の見識が問われることになる。

  5. おそらく高圧水素タンクの配置も試作品レベルだからキャビン内に雑に並べててお見せできるものではないんだろう
    それは新型MIRAIで相当に苦労してタンクを配置してる内部構造を見れば分かる
    専用設計でなければあの大きなタンクを綺麗に配置することはできない

    • いや、こないだ実際に乗ったけど、市販車と遜色無い出来ですよ。
      そもそも認証取ってるし、社長や役員の移動にも使ってます。

  6. やっぱり!グランエース様走ってたんだ!駅伝観ててなんかそれっぽいの走ってない?って思ってよく見るも前方に走るノアに隠れてあまり見えず(T ^ T)
    ニュースに上がってるし見てみたら案の定グランエース様がw
    いやー…凄い。
    アナウンスしてくれよォ〜(´・ ・`)

  7. 水素は性能的にはガソリンと同等だが、車体価格が電気より高い事と水素スタンドの建造費が3倍掛かる。トヨタが日本以外に水素スタンドを造らせる政治力があるのだろうか?ガラケーと同じ顛末にならなければ良いが

  8. とりあえず雪でも事故でも自動車専用道路で長時間の立ち往生に巻き込まれた場合に
    どの次世代自動車が一番優れているのかを検証してもらいたい。

  9. 後輩が30年前、燃料電池の研究始めたとき、正直、燃料電池という言葉を知りませんでした。後輩の研究室には当時からトヨタの社員が研究生として出向して来てたから、トヨタは本気なんでしょうね。
    ハイブリッドのときもそうだけど、何で日本は自国の技術を応援しないのか不思議ですね。

  10. どうも違和感関したのですけど、これ、トヨタには取材も問い合わせもしていないような気がします。
    「トヨタイムス」の読後感想文?
    素直にトヨタイムスのリンク貼っとけばこの記事はいりませんね。

  11. 燃料電池で32kg??砕いて言えば水素タンクで32kgてことですよね?
    それって「どんな車両にも搭載することが出来る」て言えるのかな

  12. 少なくとも現時点で考えられる日本における現実解は、HV・PHV→FCVだと思いますけどね
    正直、全EVはいろいろと無理がありすぎる

  13. 冬にエアコン・オンで走ると、
    電池残量がみるみる減ってゆく。
    しかも残量メーターも1/4を切ると、なぜか急にガッと減る。

    職場のアイミーブだと、冬だと新宿から品川まで往復できない。
    その後、昼休みに充電しても一時間で半分も回復しない。
    だから怖くて電気自動車には乗れない。

    電気自動車推進派はこういうリアルな不便さを語らない。
    そのへんがムカつく。

    アイミーブの走りは最高です。
    夏はエアコン寒いくらい効きます。

  14. まぁ今の所はグランエース並のでかい車にしか搭載できないんでしょうね。もっと技術が進歩すれば小型化していくでしょう。全EV化は日本じゃ無理ですね。原発いっぱい作らないと電力不足になる。

  15. 気になることだけれど、「水素ガス」の安全性は確保できているのだろうか?
    というのは、1937年にドイツの大型飛行船「ヒンデンブルグ号」がアメリカ・ニュージャーシー州で爆発事故を起こしたときに浮揚ガスに使われていたのは「水素ガス」。
    だから、今は飛行船に使っている浮揚ガスは「ヘリウムガス」が主体になっている。
    自動車事故の時の安全性の担保も必要になると思われる。
    タンク自体は、LGガス車のような強固のタンクがあるので問題はないと思うが、配管部分の安全の担保を考えるべきだろう。
    自動車よりも、鉄道車両のほうが事故にあう可能性が低いので、そちらから実用化してほしい。

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