トヨタでもセダン復権は厳しい? 「クラウン終了報道」で背の低いクルマはスポーツカーだけに?

「背が低い」ことはメリットになるか

 かつては技術的な制約から、FRベースのセダンがもっとも合理的といわれてきました。

 しかし、現在ではそうした制約も最小限になり、より燃費のよいコンパクトカー、あるいはより多人数乗車が可能なミニバン、そしてトータルバランスに優れたSUVのほうが、ユーザーのニーズにマッチしたという背景があります。

 そんななか、セダンの物理的なメリットは「背が低いことによるデザインおよびドライバビリティの良さ」に集約されつつあります。

 つまり、スポーツカー、あるいはクーペの4ドアバージョンという位置づけといえます。

 2018年に登場した現行クラウンが、ほぼ国内専用車でありながら、ドイツのニュルブルクリンクで鍛えた走りをアピールした背景には、ユーザーの若返りのほかにこうした事情があったと考えられます。

 2シーターのスポーツカーやクーペに比べれば、大人4人がある程度快適に乗車できるセダンは実用的です。

トヨタ「カムリ」ではスポーティモデルとなる「WS」が人気だという
トヨタ「カムリ」ではスポーティモデルとなる「WS」が人気だという

 さらに背が低いことによるドライバビリティの良さや流麗なデザインが、セダンというボディタイプのメリットといえるでしょう。

 しかし、現実的には、今後セダンが復権することは考えづらいようです。あるディーラー関係者は次のように話します。

「現在、セダンを購入するお客さまの多くは、セダンもしくはそのクルマそのものを好んでいらっしゃる、いわゆる『指名買い』のお客さまがほとんどです。

 そういったお客さま以外では、あえてセダンをおすすめするということはないのが現実です。

『指名買い』以外の例を強いて挙げるなら、駐車場の事情から背が低いクルマでなければならず、結果的にセダンを検討される人がいらっしゃいます。

 ただ、全体から見れば希少な例といえ、今後国内市場におけるセダンは縮小傾向であることは間違いないでしょう」

※ ※ ※

 海外市場に目を向けると、中国や北米のようにセダンが堅調な市場もまだまだあります。

 プレミアムブランドのセダンのように、グローバル市場で販売されるモデルを日本市場にも導入するという形が、今後セダンが生き残る現実的な道かもしれません。

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Writer: PeacockBlue K.K. 瓜生洋明

自動車系インターネット・メディア、大手IT企業、外資系出版社を経て、2017年にPeacock Blue K.K./株式会社ピーコックブルーを創業。グローバルな視点にもとづくビジネスコラムから人文科学の知識を活かしたオリジナルコラムまで、その守備範囲は多岐にわたる。

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