ヴェゼル・ModuloXはポルシェ・カイエンがベンチマーク! ? 実際に比較試乗してみた
ホンダのコンパクトSUVであるヴェゼルをベースに、Moduloがカスタムを手掛けたヴェゼル・ModuloXは、開発時のベンチマークにポルシェカイエンを掲げたといいます。果たして、ヴェゼル・ModuloXはポルシェ・カイエンの走りを再現しているのでしょうか。レーシングドライバーの松田秀士が比較検証をおこないました。
ホンダのメーカーコンプリートカー「ヴェゼル・モデューロX」
モデューロXは、ホンダ車を知りつくしたホンダアクセスの熟練エンジニアが、ベースとなる車両に更なるこだわりと、時間と、情熱をかけて磨き上げたメーカーコンプリートカーです。
そんなコンプリートカーですが、作るためには方向性となるベンチマークのクルマが必要になることがあります。
例えばタレントの手越クンが所有するランボルギーニ「ウルス」のようなケバイ系のシルエット。例えばベントレー「ベンテイガ」のような重厚感満点のSUVそのものの安定派。
上で挙げたクルマのように、開発初期にどの方向性を持たせるのかが決まらないと、コンプリートカーとしてのカスタマーへの訴求力に欠けてしまいます。
そして先日、とある試乗会でモデューロの担当者と雑談をしているとき、「ヴェゼル・モデューロXはベンチマークにカイエンを置いて開発したんです」と聞きました。
「なるほどそれは面白そうだ」とさっそくカイエンを引っ張り出して、ヴェゼル・モデューロXと比較して検証してみることにしました。ヴェゼル・モデューロXはカイエンの何を目指して開発したのでしょうか?
それでは、さっそくカイエンに乗り込み走り出します。搭載されるエンジンは3リッターV型6気筒の自然吸気エンジンで、340馬力/450Nmのパワーを誇ります。アクセルを全開にすれば、2060キロの車重にも関わらず0-100km/h加速6.2秒の俊足を発揮します。
その加速はターンパイクの登りでもまったくストレスなし。エアサス装備車なのでドライブモードの切り替えによってサスペンションの特性や車高の変更、そしてステアリングの操舵感覚も変更できます。
筆者(松田秀士)はとくにカイエンのスポーツモード時のフィーリングに注目しました。スポーツモードにすればコーナリング中の接地感が増し、ロール時の腰がしっかりしたダンピングを発生させ、ロールそのものも控えめに感じるようになります。
旋回初期のステアリング操作が速くてもフロントサスがロール方向に吸収し、その後しっかりしたグリップ感をドライバーに伝えながらコーナリングしてくれます。
決して応答性が鈍いわけではなく、ステアリングの微小舵域ですぐにロールが発生していることからも、ボディやステアリング周りの剛性が高いことを感じ取れます。
さらにブレーキング。初期のノーズダイブは速いものの、すぐにしっかりとした制御を発生させ、リヤに荷重を残しながら安定した減速をおこなってくれます。そのなかでも、一連の動きがとてもスムーズなのが印象的です。
カイエンの前軸重は1160キロ/後軸重は900キロで、車重は2060キロ。一方のヴェゼル・モデューロXの前軸重は880キロ/後軸重は480キロで、車重は1360キロ。後軸重を1として前後重量配分を見ると、カイエンは前1.29:後1で、ヴェゼルは前1.83:後1となり、ヴェゼルの方が圧倒的にフロントヘヴィーであることがわかります。
エンジン横置きでFFレイアウトのヴェゼルに対して、エンジン縦置きのカイエンの方が前後重量配分では有利なことは自明の理。さて、そんなハンデを負うヴェゼル・モデューロXに試乗してカイエンの味を見つけ出すことができるのでしょうか?
アンギュレーションじゃなくて、アンジュレーションです
このたびはご指摘をいただき、誠にありがとうございます。
修正いたしました。