ヴェゼル・ModuloXはポルシェ・カイエンがベンチマーク! ? 実際に比較試乗してみた
ヴェゼル・モデューロXとカイエンの共通点はどこにある?
実は、こういう比較は筆者の得意分野です。まさにレースで磨いたセッティング能力が役に立つというもの。とはいえ、「もしわからなかったらどうしよう!?」という、格付けチェックに出演する収録中の芸能人のような少しの不安を覚えながらも、ヴェゼル・モデューロXに乗り込みます。
カイエンの高級感やメカニカルなダッシュパネルなど、見た目の印象だけでは車格の違いもあり、共通点を見出すのは難しい印象です。当たり前です、カイエンはヴェゼル・モデューロXが4.5台買える値段ですから。
それでもヴェゼル・モデューロXのシートはフィット感のあるフィーリングでドラポジも良いし、インテリアは機能的に配置されていて安っぽさは感じません。
後書きになりましたが、今回試乗したヴェゼル・モデューロXはハイブリッドではなく1.5リッター直列4気筒ターボのTOURINGモデル。172馬力/220Nmの出力で、トランスミッションはCVTです。
1360kgと軽量な車体ゆえに加速はスムーズで、CVT特有のエンジン回転と加速のズレもそれほど感じないし、必要とあればパドル操作でマニュアルシフトモードに変更することも可能です。
CVTの場合、加速力は無段階可変ギヤ比の一般的なCVTモードの方が速いですが、コーナリングを楽しむのならパドルシフトを使用した固定ギヤ比の方がオススメです。思いのままのエンジンレスポンスとターンイン時のダイレクトなエンジンブレーキによって、アクティブなドライブが体験できます。
緩急をつけながらのターンパイクドライブは、さすがにモデューロX仕様らしいしなやかな乗り味で、とくに良いと感じたのはサスペンションの動きです。
道路というものは平坦に見えていても実は微妙に波打っているものです。よくアンジュレーションなどと表現されますが、クルマは大小の凸凹や波打ち路面を、前後左右のタイヤが別々に拾いながら走行することになります。
そんな路面から受ける4輪のショックをそのままボディに伝えていたのでは、前後左右の上下動がそのまま個別に入力されて、乗員はさまざまな方向へゆすられてしまいます。
とくに左右方向の大きなゆすられはサスペンションが固められたチューニング車両ではよくあることです。しかしヴェゼル・モデューロXは各輪のホイールトラベルが路面からの初期入力を上手にいなしていることがよく分かります。
次にコーナリングです。コーナリング中の内輪サスペンションは伸びる方向に動くので、ストロークの余裕があまりないというのが常。このような状況でもヴェゼル・モデューロXは路面のアンジュレーションを上手に吸収してハンドリングが乱れません。
それでいてハイスピードコーナリングでは、いつの間にかタッチしていたバンプストッピングラバーがロールを上手く制御しています。
カイエンの場合、エアサスと電子制御ダンパーによって路面を常にモニタリングしながら超速で制御をおこなっているのですが、電子制御のないヴェゼル・モデューロXでも不思議とカイエンに近いフィーリングを感じます。
ヴェゼル・モデューロXがカイエンをベンチマークとした目的は、このサスペンションフィールとコーナリング中のプロセスにあると筆者は見ました。
コーナリング初期のサスペンションのいなし、そしてロールの姿勢づくり。これをカイエンにセットされているようなハイメカを使わずに、コンベンショナルなサスペンションで近づけた熟練のエンジニアに拍手を送りたいと思います。
アンギュレーションじゃなくて、アンジュレーションです
このたびはご指摘をいただき、誠にありがとうございます。
修正いたしました。