日本を代表するスーパーカーが正常進化! ホンダ「NSX」の凄みとは?

本来2代目NSXが目指していた理想の走りに近づいた

 ところが今回、NSXの最新モデルをドライブすると、それらがかなり自然になっていた。まさしくオンザレール感覚の一体感ある走りだ。

 スポーツハイブリッドSH-AWDのメリットのみが前面に出て感じられるようになり、思い描いたラインを意のままにトレースできて、「遅れ」も「迷い」も気にならないほどに解消していた。うん、人生もこうありたいものだ……(笑)

ホンダ「NSX」のインパネ
ホンダ「NSX」のインパネ

 さらには足さばきもかなり変わっていた。

 件のイベントの際には、行き帰りの移動もドライブしていたのだが、乗り心地はそれほど悪くないのに路面に対する感度が高いことが気になっていた。ちょっとしたギャップで接地性が損なわれ、微妙に横っ飛びするような状況が多々あった。それがタイトなコーナーだとちょっと怖い。

 ところが今回、路面の荒れたワインディングを、しかも大雨の中でドライブしたのだが、あまり不安を感じることはなかった。

 むしろ不安があったのは、アゴを擦りそうなこと。流れに乗って走っているときはまだしも、段差を越えなければならない駐車場の出入りなど、日常的なちょっとしたシーンで、やっぱりフロントリフトシステムがあるとありがたいなと思わずにいられなかった。

 全体としては着実に進化して、NSXの本来目指していた走りにかなり近づいたのではないかと思う。

 価格帯が近くキャラクターがかぶるクルマに対しては、ランボルギーニやマクラーレンの入門モデルに2000万円台のモデルもあるわけだが、絶対的な動力性能ではそれほど引けを取らないとはいえ、かたや600ps超の5.2リッターV10自然吸気を積むランボルギーニ「ウラカン」や、モデル名が出力を表す3.8リッターV8ツインターボを積むマクラーレン「570」シリーズに対し、NSXの3.5リッターV6ツインターボは少なからず見劣りする。

 そこをどう思うかどうかが分かれ道であることには違いない。

 一方、もちろんデザインも大事だが、インパクトの大きさでは、どうこういってNSXも負けてないように思う。

 スポーツハイブリッドSH-AWDに象徴される、世界に類を見ないスーパースポーツとしての存在感もあり、独創的で先進的である点では圧倒的にNSXに軍配を上げられる。また、あまりこうしたクルマでは関係ないかもしれないが、WLTCモードで10.2km/Lと低燃費であることも、念のためお伝えしておこう。

 最近では電動化を取り入れたスーパースポーツも増えているが、もっと高額なモデルも含め、電動化技術をここまで積極的にハンドリングに用いているクルマというのはちょっと心当たりがない。その新感覚の走りに興味のあるセレブには、ぜひNSXにもっと目を向けてもらえるとよいなと思う。

ホンダ「NSX」の走り
ホンダ「NSX」の走り

HONDA NSX

・車両価格:2420万円
・試乗車オプション込み価格:2763万1000円
・全長:4490mm
・全幅:1940mm
・全高:1215mm
・ホイールベース:2630mm
・車両重量:1800kg
・エンジン形式:V型6気筒DOHC+3モーター
・排気量:3492cc
・駆動方式:4WD
・変速機:9速AT
・エンジン最高出力:507ps/6500-7500rpm
・最大トルク:550Nm/2000-6000rpm
・前モーター最高出力:37ps/4000rpm(1基あたり)
・前モーター最大トルク:73Nm/0-2000rpm(1基あたり)
・後モーター最高出力:48ps/3000rpm
・後モーター最大トルク:148Nm/500-2000rpm(1基あたり)
・ブレーキ前/後:Vディスク/Vディスク
・タイヤ前後:前245/35ZR19 後305/30ZR20
・WLTC燃費:10.6km/L

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