軽人気もなぜ軽トラ需要激減? ホンダ撤退で生産は2社に減るも海外では急激な需要増のワケ

日本独自の規格として軽自動車が存在します。昨今の軽自動車は新車販売台数の約4割を占めるほど売れていますが、一方で軽トラックの需要は減少傾向にあるようです。なぜ、軽トラの需要は落ちているのでしょうか。

軽トラの国内市場は縮小、続々と生産・販売終了するメーカーたち

 近年、日本の軽自動車市場は盛り上がりを見せるなか、販売台数が減少しているジャンルもあります。
 
 いわゆる「軽トラック」です。すでに多くのメーカーで自社開発をおこなっておらず、現在では、スズキ、ダイハツ、そしてホンダですが、すでにホンダは撤退を発表しています。
 
 昨今は、海外市場でも人気になりつつある、軽トラック市場はどうなるのでしょうか。

2021年6月に生産終了するホンダ「アクティ・トラック」(写真は特別仕様車 TOWN・スピリットカラースタイル)
2021年6月に生産終了するホンダ「アクティ・トラック」(写真は特別仕様車 TOWN・スピリットカラースタイル)

 日本の新車販売台数のうち、4割は軽自動車です。なかでもホンダ「N-BOX」の人気は圧倒的で、2020年4月から9月では9万612台と2位以下を大きく引き離しています。

 一方、シェアを拡大しつつある軽自動車の自家用車以外のジャンルでは不調なのが、通称軽トラック。

 N-BOXが好調のホンダですが、1977年に登場した「アクティトラック」は、2021年6月をもって生産終了することが発表されています。

 また、「アクティバン」の後継として、N-BOXの派生車となる「N-VAN」がデビュー済みですが、アクティトラックの後継モデルは登場していません。

 このようにメーカーが生産・販売を終了している背景には、軽トラック市場の縮小が関係しています。

 全国軽自動車協会連合会によれば、軽トラの販売台数のピークは1979年から1983年で、ピーク時の年間販売台数は約40万台から43万台でした。

 しかし、昨今では農業規模の縮小による需要の減少を受けて販売台数は減少を続けており、直近の2019年の軽トラックの販売台数は約17万台と、軽自動車市場の1割以下まで落ち込んでいます。

 そして、前述のとおりホンダのアクティトラックが撤退すると、残るはスズキ「キャリイ」、ダイハツ「ハイゼット」の2車種とそのOEM車しかありません。

 撤退する理由として、ホンダは「新たに設けられる排出ガス規制をクリアしたり、義務化される衝突被害ブレーキに順次対応する開発費用をかけたりしても収益を望めない」ことを挙げています。

 実際に、軽自動車は薄利多売のクルマです。軽自動車でありながら荷物の運搬をメインにしており、トラックとしての十分な耐久性を備える必要があるにも関わらず、価格は割安に抑えなければならないからです。

 このように、コストをかけても利益が出にくい構造によって、ホンダ・スズキ・ダイハツ以外のメーカーはすでに開発から手を引いています。

 なお、日産や三菱はスズキからのOEM車を販売しており、開発から自社で手掛けているわけではありません。

 以上から、軽トラックの販売はスズキ・ダイハツからのOEMなしでは成り立たないといえます。

 一方のホンダは、提携やOEMを好まない企業といわれています。

 三菱が日産の傘下に入り、マツダやスバル、スズキまでトヨタの仲間づくりの一員になっても、ホンダはどことも組まずに独自路線を貫き続けています。

 軽トラックに関しても同様で、OEMに頼らずに開発から一貫して手掛けてきた姿勢が撤退につながったと考えられます。

 1970年代まで軽自動車販売の約半分が軽トラックであったことを考えると、日本国内においては斜陽なジャンルといわざるを得ないでしょう。

 現在の軽トラの状況について、ある中古車販売店スタッフは以下のように話します。

「軽トラは『1度買ったらダメになるまで乗る』という人が非常に多いです。乗らなくなったあとも中古車として売るのではなく、そのまま処分される人もいらっしゃいます。

 そのため、数年で乗り換えるというクルマではないので、縮小されるのはやむを得ません。

 今はまだ流通がありますが、今後はどんどん軽トラが『消えていく』でしょう。

 そうなれば、農家など、本当に必要としている人が手に入れることができなくなるのでは、という不安はあります」

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