なぜマツダ「MX-30」はEVではなくマイルドHVを先行発売? 発電機でロータリー復活も

マツダの電動化は今後どうなる?

 マツダの電動化戦略の柱になっているのが、2017年に公表した「サスティナブルZoom Zoom宣言2030」です。

「ウェル・トゥ・ホイールを国や地域ごとで最適化するためのマルチソルーション戦略」という難しい表現を使っています。

EVより先に登場したマツダ「MX-30」マイルドハイブリッド仕様
EVより先に登場したマツダ「MX-30」マイルドハイブリッド仕様

 ウェル・トゥ・ホイールとは、石油や天然ガスなど化石燃料由来のエネルギー源を掘削し、船やトラックで輸送され、発電所や製油所を経て、電気やガソリン・ディーゼル燃料になり、それがクルマを動かすまで、トータルでのCO2削減を考えるという理念です。

 これに対して、マルチソルーション(さまざまな解決方法)を世界各地それぞれでおこなう、ということです。

 そのためにマツダでは、「SKYACTIV-G」「SKYACTIV-D」「SKYACTIV-X」、そして「e-SKYACTIV」といった各種パワートレインが併存することになります。

 そのうえで気になるのは、EVバブルとも思える最近の世界的なEV市場の動向です。

 これまでは、アメリカや中国でのEVに対する実質的な販売台数規制や、欧州でのCO2総量規制がEV市場拡大の主な要因でした。

 これらに加えて、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資という、経営の尺度への注目が集まり、テスラはもとより、GMやフォードなど一気にEVシフトを仕掛けてきました。

 こうした社会変化について、丸本社長の肌感覚を聞きました。

「国や地域でも、発電構成、発電能力、そしてお客さまのニーズに対するマルチソルーションを引き続きおこないます。一方で、計画停電や急速充電に対する規制なども含めて(社会変化を考慮した)動向を見据えていきます」という前置きを説明。

 さらに、「マルチソルーションを進める意識は変わらないが、電動化の普及のスピードは慎重に考えながら進めます。社会の急速な変化を捉えて、サスティナブルZoom Zoom宣言2030は(時期を見て)アップデートしたい」と今後の方針について語りました。

※ ※ ※

 今回の発表で、丸本社長とMX-30開発主査の竹内都美子氏は、マツダにとってMX-30は、電動化のみならずブランド戦略としても「新しい挑戦だ」といいます。

 販売現場では、既存の「CX-3」「CX-30」「CX-5」は、マツダのコンパクトSUV商品群として捉えられています。

 たとえばCX-5を検討していた人が、販売店での説明を聞いて試乗して、自分にベストマッチするのはCX-30だという販売の流れが生まれています。

 マツダは、「SUVの3モデルでカニバリ(食い合い)は起こっていない」と説明しますが、これら3モデルと見た目が似ているMX-30が、果たして既存SUV群と上手く融合するのか、それともまったく新しい存在として1点買いのユーザーが増えるのか、今後の日本での動向を見守っていきたいと思います。

マツダ・MX-30 のカタログ情報を見る

【画像】観音開きドアが復活! マツダ「MX-30」をチェック(38枚)

【2023年最新】自動車保険満足度ランキングを見る

画像ギャラリー

Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。

1 2

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

【NEW】自動車カタログでスペック情報を見る!

最新記事

コメント

本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。

メーカーからクルマをさがす

国産自動車メーカー

輸入自動車メーカー