【試乗】禁断のフェラーリチューニング! アイディングが手掛けた「F355」を中谷明彦氏がインプレッション
フェラーリとBMWのチューニングで、その名を世界に轟かしたアイディング。そのアイディングが手掛けた「F355」のコンプリート仕様を、レーシングドライバーの中谷明彦氏が試乗した。
「本物」のチューニングカーだけが持つオーラ
今回試乗するのは、知る人ぞ知るアイディングの自信作「F365-SIII」である。かつて欧州を震撼させたシルバーのカラーリングとオリジナルの外装を纏ったこのマシンは現代に蘇った「本物」だ。
シルバーのカラーリングは「Argent Nurburgring(ニュブルクリンクの銀)」と名付けられた専用色でイタリアンカーのフェラーリでありながらスポーツカーの聖地として名高い独ニュルブルクリンク・サーキットの名を冠した。
シルバー色自体ドイツ・レーシングカーのナショナルカラーであり質実剛健な独製ハイパフォーマンスカーにイタリア車ベースで真っ向から挑んだ意気込みの表れだ。
●欧州メーカーとチューナーを震撼させたアイディングとは?
F365はベースのフェラーリ「F355」の3.5リッター90度V型8気筒エンジンに手を加え、最高出力を14ps高めた394psとし、最大トルクも36.7kgmから38.6kgmへと向上させている。
その手法はアイディング社が得意とする排気系チューニングはもちろんのこと吸気系もリメイク。またエンジンも完全分解してヘッド回りやバルブ、クランクやコンロッドなどもバランスをとるなどファインチューンを施し、圧縮比も僅かに高めるなど高度な内容だった。試乗したF365-SIIIはデビュー当時のコンディションを完全に再現され高速域に放たれるのを待っていた。
もう1台、フェラーリの代表色である「Rosso Corsa(赤いレーサー)」に染まるのは、F355後期型をベースにF365-SIIIの進化版として現代にリリースされたモデル「F385-SIII」だ。
このモデルでは動力性能の強化を主目的としてエンジンの排気量を3.8リッターにアップし最高出力433ps/8600rpm、最大トルク39.1kgm/5700rpmという現代のスーパーカー群と対等な出力スペックを与えられている。
F365-SIIIと異なるのは排気量だけでない。吸気系をオリジナルのF355と共有することでコストを抑えつつ、排気系にのみオリジナルマフラーを組み込む事で独特なエンジン音を奏でるように調律されている。圧縮比は最も高い11.7:1でボッシュ・モトロニックM5.2の制御でノックコントロールし、ノーマルF355より100rpm高い最高回転数8600rpmを許容している。
公表値によればパワーアップの結果0-100km/h加速4.5秒で、F355及びF365-SIIIの4.7秒を凌ぎ、最高速も308km/hでF355の295km/h、F365-SIIIの302km/hを凌駕しているとアナウンスされている。
今回はそこまで試せなかったが高速道路と一般道を走りながらこの2台の違いと魅力を比較しながら探ってみた。
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