記録より記憶に残る!? 光るモノがありながらヒットしなかった車5選
アメリカンなクロカン4駆ながら走りはヨーロピアンなモデルとは!?
●マツダ「ユーノス800/ミレーニア」
マツダは1980年代の終わり頃から車種の拡充と販売台数増を目的に、5つの販売チャネルを展開しました。
そのひとつ「ユーノス」は1989年に「ロードスター」を発売したことから認知度がアップし、1993年にはフラッグシップセダンのユーノス「800」が登場。
デビュー当時には、4輪操舵やABS、トラクションコントロールによる高い走行安定性と、アルミボンネット、ソーラー・ベンチレーション・システムの採用などが注目されましたが、最大のトピックスは、2.3リッターV型6気筒DOHCエンジンにリショルムコンプレッサー(スーパーチャージャー)を装着した、量産車世界初のミラーサイクルエンジンを搭載したことです。
最高出力は220馬力と3リッター自然吸気エンジンと同等のパワーを誇り、2リッター車並みの低燃費を両立。
しかし、マツダの業績は急激に悪化したことで、1997年にユーノスの展開を終了し、車名が「ミレーニア」に変更されましたが、2000年のマイナーチェンジではマツダ渾身の作だったミラーサイクルエンジンがラインナップからなくなります。
そして、2003年には車種整理のため生産を終了し、「アテンザ」に統合されました。
●日産「ミストラル」
1990年代の初頭、国内ではスキーブームやアウトドアレジャーブームから「RVブーム」が起こりました。
RVとは「レクリエーショナル・ヴィークル」の略で、ミニバンやステーションワゴン、クロスカントリー4WD車の総称でした。
なかでもクロスカントリー4WD車は爆発的なヒットとなり、各社が次々とラインナップし、日産ではフラッグシップの「サファリ」、ミドルクラスの「テラノ」、ピックアップトラックの「ダットサントラック」をラインナップ。
RVブームではどのモデルもヒット作になり、次の一手としてこのラインナップに加え、1994年にスペイン工場で生産する「ミストラル」を輸入し、販売を開始します。
ミストラルはテラノのラダーフレームを流用し、テラノとは異なるボディが架装され、当初はロングボディ3列シートの5ドアのみの設定でしたが、後に3ドアのショートボディを追加。
外観は質実剛健なイメージのテラノに比べ都会的なデザインに仕立てられ、欧州市場がターゲットだったため、足まわりのセッティングもオンロード走行を重視しており、テラノよりも直進安定性や乗り心地が改善されていました。
パワートレインは2.7リッター直列4気筒OHVディーゼルターボと4速ATの組み合わせのみで、駆動方式は全グレードでパートタイム4WDを採用。
1997年のマイナーチェンジでフロントフェイスが一新されましたが、テラノほどの人気を獲得できず、ミストラルは1999年に販売を終了。
その後、ディーゼルエンジンの排出ガス規制強化もあって大都市圏で登録できなくなり、いまでは現存数も少ないため中古車市場でも希少な存在です。
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本文中にもあるとおり、かつては各メーカーとも複数の販売チャネルを展開していました。
しかし、近年はトヨタをはじめ販売チャネルを撤廃したメーカーが多く、販売チャネルごとに車種を用意することもなくなり、車種整理もおこなわれています。
生産効率を重視した結果、車種の減少は仕方のないことですが、思い入れのあるクルマが無くなってしまうのも寂しい限りです。
ミストラル(テラノ2)のTD27はテラノ用のTD27より実用域のトルクがシャープで同じエンジン?と思ったほどだ。