記録より記憶に残る!? 光るモノがありながらヒットしなかった車5選
世の中には大ヒットするクルマがある影で、ヒットに恵まれないクルマもあります。各メーカーとも、新型車が出ると販売目標台数を設定して、それを上まわることを目指しますが、すべてのクルマが達成できるわけではありません。そこで、光るものがありながらヒットせず、ひっそりと消えたモデル5車種をピックアップして紹介します。
ヒットはしなかったけど評価されても良いクルマを振り返る
各自動車メーカーは新型車を発売する際に、販売目標を設定します。販売目標はクルマのジャンルや価格、市場規模などで変動し、たとえば安価なコンパクトカーは目標設定が高く、高額なスポーツカーならば目標設定が低くなります。
こうして設定された目標をクリアするために、メーカーはさまざまな手法で策を講じますが、必ずしも目標が達成できるとは限りません。
大ヒットするクルマがある一方で、販売が低迷するクルマも存在。そこで、光るものがありながらヒットせず、ひっそりと消えたモデル5車種をピックアップして紹介します。
●スズキ「バレーノ」
スズキは1980年代初頭からインドに進出を果たし、これまで数多くのモデルを現地生産してきました。
そうしたモデルの多くはインド国内で販売されますが、他国にも輸出されるモデルもあり、2016年にインドで生産されたコンパクトカーの「バレーノ」が日本で発売されました。
バレーノはベーシックな5ドアハッチバックで、ロー&ワイドでカタマリ感のあるデザインが特徴で、搭載するエンジンは102馬力を発揮する1リッター直列3気筒ターボと、91馬力の1.2リッター直列4気筒の2種類を設定。トランスミッションはターボが6速AT、自然吸気がCVTと組み合わされています。
バレーノの特筆すべき点は全幅1745mmの3ナンバー車ながら、自然吸気が910kg、ターボが950kgという軽量な車重で、国産3ナンバー車のなかでもっとも軽量なクルマでした。
軽量な車体は「走る・曲がる・止まる」すべてに良い影響を与え、燃費も向上します。
しかし、バレーノがデビューした時の年間販売目標は6000台でしたが、内装の質感の問題や、当初1リッターターボ車はハイオク仕様だったこともネックとなり、販売が低迷。
2018年の改良でターボ車もレギュラー仕様になりましたが、販売台数が劇的に上向くことはなく、2020年6月をもって販売を終了しました。
なお、生産国のインドでバレーノはプレミアムコンパクトとして販売が好調で、2019年1月にはフロントフェイスの意匠変更など、マイナーチェンジされたほどです。
また、トヨタにもOEM供給され、「スターレット」の名で2020年9月中旬から南アフリカでの販売を皮切りに、アフリカ47か国で販売される予定です。
●ホンダ「アスコットイノーバ」
かつて、ホンダの販売チャネルは軽自動車や「シビック」など小型車を扱う「プリモ店」、「アコード」や「レジェンド」などミドルクラス以上のモデルを扱う「クリオ店」、「インテグラ」や「プレリュード」など、スポーティなモデルを扱う「ベルノ店」の3つに分かれていました。
そのプリモ店から1992年に発売された4ドアセダンが「アスコットイノーバ」です。クリオ店のアコードに対し、プリモ店には姉妹車の「アスコット」があり、その派生車としてラインナップ。
ボディサイズは全長4670mm×全幅1695mm×全高1380mm(2リッター車)と、アコードと同等ですがデザインは大幅に異なり、クーペのような流麗なフォルムの4ドアハードトップで、6ライトウインドウを採用することでアコードと差別化を図っています。
搭載されたエンジンは2リッター直列4気筒SOHCとDOHC、2.3リッター直列4気筒DOHCの3種類で、サスペンションは4輪ダブルウィッシュボーンが採用されるなど、高い走行性能と運動性能を誇りました。
しかし、アスコットイノーバはアコードほどの販売台数を記録することなく、1996年に生産を終了。
近年、クーペスタイルの6ライトウインドウセダンが流行していることを考えると、アスコットイノーバは20年以上前に時代を先取っていたことになります。
●スバル「エクシーガ クロスオーバー7」
スバルは「レガシィツーリングワゴン」などで培ったステーションワゴンづくりのノウハウを生かし、3列シートで7人がしっかり乗れる高い居住性と、広い室内空間を実現したミニバンの「エクシーガ」を、2008年に発売。
シャシや主要なコンポーネンツをレガシィと共有し、発売時2リッター水平対向4気筒DOHCターボと自然吸気エンジンを搭載。2009年には2.5リッターエンジン搭載車も追加ラインナップされ、3列シート車ながらパワフルな走りが可能でした。
SUV人気が上昇し始めていた2015年には、エクシーガをベースにSUVの要素を取り入れた内外装とした、「エクシーガ クロスオーバー7」が登場。
最低地上高170mmを確保した専用サスペンションと、立体駐車場への対応も考慮しながら全幅を1800mmまで拡大し、エンジンは最高出力173馬力を発揮する2.5リッター水平対向4気筒DOHCのみを搭載。
外装では大型フロントグリルやルーフレールが装着され、前後バンパーやホイールアーチ、サイドシルには樹脂製パーツが採用されるなど、SUVらしさを表現しています。
しかし、販売が伸び悩んだことから2018年に販売が終了し、1983年発売の初代「ドミンゴ」にはじまったスバルの3列シート車は、国内市場から消滅してしまいました。
現在、ミニバンからの乗り換え需要として3列シートSUVの販売が好調なことから、エクシーガ クロスオーバー7は出るのが早すぎたのかもしれません。
ミストラル(テラノ2)のTD27はテラノ用のTD27より実用域のトルクがシャープで同じエンジン?と思ったほどだ。