中国でパクリ車が激減!? 日産「リーフ」や三菱「デリカ」に激似も パクリに間違えられる残念なクルマ達

中国車といえば、日本や欧州などの自動車ブランドで販売されるモデルにそっくりなパクリ車が横行しているイメージがありました。しかし、最近ではそのパクリ車事情に変化が見られているといいます。また、実際には正規ライセンスを取得して生産しているのにも関わらず、その事情を知らないゆえにパクリ車と思われるモデルもあるようです。

中国=パクリは過去の話!? パクリは淘汰されつつある今の中国車事情

 中国といえばパクリ、そしてその国が作るクルマはどれもパクリ。そんなイメージはインターネット上のニュース記事や、大手放送局が放送する情報番組などによって作り上げられました。
 
 もちろん、1990年代から2010年代前半まではそんなクルマたちが中国からたくさん出ていました。しかし、最近では中国のパクリ事情に変化があるといいます。

日産「リーフ」の現地生産車となるヴェヌーシア「e30」。どことなくデザインが異なる(写真:加藤博人)
日産「リーフ」の現地生産車となるヴェヌーシア「e30」。どことなくデザインが異なる(写真:加藤博人)

 メルセデス・ベンツやポルシェ、BMWなどの欧州有名ブランドのみならず、トヨタ、日産、スズキなど、我が国が世界に誇るクルマまでもが中国ではデザインを丸々コピーされて製造されていた過去があります。

 2017年の上海モーターショーに筆者(加藤ヒロト)が訪れた際、展示されていた中国ブランドのクルマたちに衝撃を受けました。昔から形作られていた「パクリ」のイメージに該当するようなクルマがほとんど無かったのです。

 もちろん、トヨタ「ハイエース」や「コースター」などの人気車種をコピーする小規模な自動車メーカーや、揃えているラインナップのほぼすべてが何かのパクリみたいな自動車メーカーも出展はしていました。

 しかし、国営メーカーのなかでも最大規模を誇る第一汽車(FAW)や、ボルボを傘下に持つ吉利、長安、東風など、大手自動車会社のブースにはどれもオリジナリティあふれるデザインのクルマたちが並んでいたのです。

 そして2018年の北京、2019年の上海や広州と、中国で開かれたモーターショーに毎年取材に出かけましたが、わずか3年の間にパクリ車はほぼ皆無となりました。

 近年、中国の富裕層や中国の若者たちの間では「コピーは恥ずかしい」という認識が生まれつつあり、そのトレンドを反映した結果がこの「パクリの淘汰」につながっているのでしょう。

 しかし、多くの人は未だに「中国車=パクリ」というイメージを持っているのが現状です。

 なかにはそこまで類似点が無いのに何かのパクリであるとこじつけて、正規のライセンスを取得して生産しているにもかかわらずパクリと勘違いしているメディアも存在。

 今回はそのなかでも度々「パクリ」と勘違いされてしまうが、実は正規のライセンス生産や、その系統である気の毒な中国のクルマ達を紹介します。

 まずは、日産「リーフ」の現地生産車となるヴェヌーシア「e30」。

 初代リーフのコピーと勘違いされますが、こちらは日産と東風汽車の合弁会社、東風日産が中国国内で展開するヴェヌーシア(啓辰)ブランドの電気自動車です。

 発表当初の2010年、日産はリーフ(中国名:聆風)を2015年までの5年間で5万台を生産すると発表。

 しかし実際は、リーフは日産車として中国市場で展開されず、代わりにヴェヌーシアがe30という名前で現地生産と販売をおこなうことが2012年の広州モーターショーで発表されました。

 e30は実質的なリーフの現地生産版であり、大まかなボディサイズはもちろん、新車時のタイヤもリーフと同じブリヂストンの「エコピア EP150」を装着。

 リーフとの違いは前後バンパーや充電口の蓋、そしてエンブレム類のみにとどまり、2019年の上海モーターショーではルノー「クウィッド」をベースとした2代目e30が発表されました。

 次に紹介するのが三菱「デリカ スペースギア」の二重ライセンス生産車となる東風風行「菱智シリーズ」。

 バブル経済が崩壊した1990年代初頭、働き過ぎて疲れた人々は家族との時間を重視するようになりました。

 そのなかで、お金をそれほど掛けずに家族と楽しめるキャンプなどのアクティビティが流行り、それが1990年代半ばのアウトドアブームに繋がって自動車業界は空前のRVブームを経験することとなったのです。

 三菱は「スーパー・プレジャー・RV」をコンセプトに開発されたデリカ スペースギアをまさにRVブーム真っ只中にデビューさせ、パジェロ譲りの高い走破性が人気を博しました。

 2007年には後継の「デリカ D:5」が日本でデビューしていますが、中国では現在もデリカ スペースギアのボディを使用する車種が製造されているのです。

 東風風行は東風汽車集団が展開する主要な3つの乗用車ブランド(風行、風神、風光)のひとつで、広西省柳州に本拠地を置く東風柳州汽車が製造しています。

 東風風行のなかで特徴的な見た目を持つのが菱智。フロントは最近流行りのミニバンのような顔つきで、リアはデリカ スペースギアにそっくりのデザイン。

 このクルマもよく「コピー車」として紹介されることがありますが、歴史を紐解けばそれは間違いであるということがわかります。

 三菱は、1970年に台湾の中華汽車(CMC)と提携を結び、それ以来CMCは台湾において三菱車の現地生産をおこなっており、デリカ スペースギアもその例外ではなく、台湾では2009年まで生産・販売されていました。

 そして中国の東風汽車は提携していた中華汽車からデリカ スペースギアのプラットフォームなどを譲り受け、2001年に菱智という名前で製造・販売を開始。

 発売当初の菱智はベースのデリカ スペースギアに似たフロントマスクを採用していましたが、3度のマイナーチェンジを経て現在の顔つきになっています。

 現在は1度目のマイナーチェンジ顔を持つ商用グレードの菱智V3とそれをベースとする乗用グレードの菱智M3、2度目のマイナーチェンジ顔を持つ菱智M5とそのEV版、そして2段構えのグリルを持つ最新の新菱智M5が販売されています。

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4件のコメント

  1. 国民的良ければそれで、ヨシ❗️

  2. 日本車も過去を振り返ればパクリのオンパレードですけどね。日本車も過去を振り返ればパクリのオンパレードですけどね。

    • その理論でいくと、メルセデス以外の車は全てパクリになってしまいますね。
      ランボルギーニの某車種のデザイナーが、日本の折り紙からインスピレーションを受けてその車種をデザインをしたそうです。これは日本人として嬉しい事です。

  3. まあ、最近の車のデザインがどれも似通っているから、パクリだとしても気にならないってのはあるな。あと、パクリだと思われてしまうのは信頼性が無い事の現れでしょう。これから数十年と積み重ねていけば、世間のイメージも変わるかもわからんが。

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