中国でパクリ車が激減!? 日産「リーフ」や三菱「デリカ」に激似も パクリに間違えられる残念なクルマ達
スズキは少し複雑な事情がある…あのクルマに激似なモデルとは
最後に紹介するのが、スズキ「ワゴンR ワイド」の現地生産車となる北汽昌河「北斗星シリーズ」です。
どこか見覚えのあるフロントマスクに特徴的な箱っぽいボディで、初代ワゴンRに見えるものそのはずで、これもパクリではなく、れっきとした現地生産車の流れを汲んでいるモデル。
北斗星は、1994年にスズキと昌河飛機工業公司の間に誕生した昌河鈴木が生産していた初代ワゴンR ワイドの現地生産車です。

昌河鈴木は通常のワゴンR ワイドをベースとする北斗星に加え、ホイールベースを延長させた北斗星X5というモデルも販売。
プラットフォームなどは通常のワゴンR ワイドのものを使用していますが、フロントマスクやテールライト周りはよりモダンなデザインとなっています。
この2台はスズキが2018年に中国市場を撤退し、昌河鈴木を解散させた現在も販売が続いています。スズキ撤退後の昌河鈴木は北京汽車の傘下に入り、名称も北汽昌河へと改称されました。
昌河鈴木時代ではスズキのエンブレムと昌河のエンブレムを装着したモデルが混在していたので、後者の方を見てワゴンRの摸倣と勘違いしてしまう人がいてもおかしくないかもしれません。
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今回、紹介したクルマ以外にも、多くの中国車が正規のライセンスを取得しているにも関わらず「模倣品」として紹介されてしまうケースをよく見かけます。
また、まったくの独自車種で、最新のトレンドを取り入れただけなのに「中国ブランドだから」という理由で粗探しをされてしまい、ほかの車種とそこまで似てもいないのに無理矢理パクリ認定を受けてしまうケースも少なくないようです。
もちろん、小規模メーカーの車両のなかにはいまだに、コピー車が存在するのは紛れもない事実ですが、中国市場において、違法なコピー車はもう通用しなくなりつつあります。
クルマを評価するうえで大事なのは先入観を捨て、そのクルマが持つ本質的な部分を見ることでしょう。年々進化を遂げていく中国の自動車メーカー達が世に送り出すクルマたちに今後も注目です。
Writer: 中国車研究家 加藤ヒロト
下関生まれ、横浜在住。2017年に初めて訪中した際に中国車の面白さに感動、情報を集めるうちに自ら発信するようになる。現在は慶應義塾大学環境情報学部にて学ぶかたわら、雑誌やウェブへの寄稿のみならず、同人誌「中国自動車ガイドブック」も年2回ほど頒布する。愛車は98年式トヨタ カレン、86年式トヨタ カリーナED、そして並行輸入の13年式MG6 GT。




















