多彩な色を用意も新車の約半数が「白」なぜ? CMで鮮やかな色起用も無難なカラーが人気の理由

クルマのボディカラーにおいて、日本では約半数のユーザーが「白」を選ぶ傾向にあるといいますが、なぜ高額な買い物にも関わらず、無難なカラーを選ぶのでしょうか。また、海外でも同様に白は人気なのでしょうか。

自分好みな仕様でクルマを購入するのに、なぜ無難な「白」を選ぶのか

 新車を購入する際に、ボディカラーはそのクルマの印象を大きく左右する要素で、ドライバーの個性が現れる部分です。

 数多くあるボディカラーのなかでも非常に多い割合を占めているのが「白」です。街中でも目にすることの多い白いクルマは、無難ともいえる色ですが、なぜそこまで人気なのでしょうか。

ユーザーは白を選ぶ傾向が大半だが、宣伝やカタログでは目立つ色が起用されることが多い
ユーザーは白を選ぶ傾向が大半だが、宣伝やカタログでは目立つ色が起用されることが多い

 黒やシルバーといったフォーマルなカラー、赤や青といったファッション性の高いものなど、さまざまな設定があるクルマのボディカラーのなかでも、白は選ばれることが多いです。

 自動車検査登録情報協会が発表した「乗用車の塗色別保有台数」によると、2019年3月末時点で、白いクルマが占める割合は全体の47.71%でもっとも多いカラーです。

 2番目に多い「グレー」が19.77%だということを考えると、その倍以上を占める白いクルマの数は圧倒的です。

 対して、「青」が6.43%、「赤」が4.58%とファッション性に富んだカラーは白やグレーと比べると少ない傾向にあります。

 では、なぜ白は主流のカラーとして半数を占めるほど多く販売されているのでしょうか。その理由のひとつとして、かつては安価で購入できることが多かったこと挙げられます。

 2020年8月にもっとも多く販売された普通車のトヨタ「ヤリス」の場合、「スーパーホワイトII」を選んでも追加料金は発生しませんが、赤の「センシュアルレッドマイカ」は3万3000円、黄緑の「サーモテクトライムグリーン」は4万4000円の追加料金が発生します。

 ただし、最近のクルマでは白にパールなどの加えていることが多くなっています。そのため、ヤリスに設定されるもうひとつの白(ホワイトパールクリスタルシャイン)は、3万3000円高となるうえ、トヨタ「ヤリスクロス」の白はこの有償色しか設定されていません。

 かつて有償色では無かった白が設定されていたため、安価に購入出来たこともありましたが、最近では一概に安いだけが理由ではないといえます。

 また、白というカラーを無難という理由で選ぶ人も多いでしょう。冠婚葬祭でも失礼のないフォーマルなカラーとして、白は使い勝手も良いです。

 さらに、白が選ばれやすい理由はほかにもあるようです。ホンダの販売店スタッフは以下のように話します。

「白いクルマを選ぶメリットとして、ほかのカラーに比べて下取り価格が高くなりやすいことが挙げられます。

 白はベーシックなカラーなので、一般のお客さまからの好みが分かれにくいです。また、派手でなく無難であるため社用車も白などのクルマが多い傾向にあります。そのため需要が高く、買い手も多いことから査定価格が高くなることが多いです。

 この傾向は昔からのもので、シンプルで用途を問わないことから白は選ばれやすいです。

 また、そのほかに無難で需要の高いカラーに黒もありますが、白に比べ傷や汚れがつくと目立ちやすくなります」

※ ※ ※

 ホンダが発表した2020年3月中旬時点での「フィット」受注状況によると、ガソリン車・ハイブリッド車問わず、両モデルの人気カラートップ3のうち2色は白系でした。

 現在の売れ行きについてもホンダの販売店に確認したところ、「いまだこの傾向は変わっていない」とのことです。

 もちろん、気に入ったカラーとして選ぶユーザーもいますが、下取りや購入の際に発生する金額を理由に白いクルマを買い求める割合が多いようでした。

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