ヤリスとフィットは売れて当たり前!? SUVやミニバンでも小さい方が流行るワケ

日本では、軽自動車、コンパクトカー、ミニバン、SUVと人気のジャンルが多いですが、なかでも軽自動車やコンパクトカーの進化は目まぐるしいものがあります。一方でミニバンやSUVでもコンパクトモデルの勢いが増しています。なぜ小さなモデルが盛り上がっているのでしょうか。

みんな小さくなっていく? 日本独自の新車販売

 日本の道路事情は、世界のなかでも舗装された道路が多いとされ評価される一方で、すれ違いが難しく狭い道が多いともいわれています。
 
 そのため、日本独自となる軽自動車が誕生し、その後もコンパクトカーが人気を博してきました。昨今では、かつては大きなボディを誇ったSUVやミニバンでもコンパクト化が進んでいるといいますが、どのような事情があるのでしょうか。

コンパクトをキーワードにさまざまなジャンルのクルマがしのぎを削っている
コンパクトをキーワードにさまざまなジャンルのクルマがしのぎを削っている

 2019年で規格制定から70年を迎えた軽自動車は、普通乗用車に引けを取らない性能や先進安全機能を搭載したモデルも多く登場。現在、軽自動車の割合は約4割も占めるほど成長しているジャンルです。

 一方、コンパクトカーの人気も健在で、昨今のコンパクトカーでは、トヨタ「アクア」や「ノート」がハイブリッド車ゆえの高い燃費性能を有することから、扱いやすく燃費が良いクルマとして支持されていました。

 さらに、トヨタは「ヴィッツ」から車名を一新した「ヤリス」を発売し、同時期にホンダも「フィット」をフルモデルチェンジ。

 マツダは「デミオ」を「マツダ2」に車名変更とデザインを刷新することで、商品力を強化しました。

 コンパクトワゴンとしては、売れ筋のトヨタ「ルーミー」が2020年9月にそれまでルーミー/タンクとしてそれぞれ販売されていましたがルーミーに一本化。

 このように軽自動車に負けじとコンパクトカー市場も日々切磋琢磨して進化。日本の道路事情にマッチする小さなモデル達ですが、この勢いはミニバンやSUVにも波及しているのです。

 コンパクトミニバンのトヨタ「シエンタ」は2018年9月に2列シート車を追加、ホンダ「フリード」は2019年10月にSUV風な新グレードを設定するなど、コンパクトミニバンでも商品力を強化する動きが出ています。

 SUVでも2019年後半から前述のロッキー&ライズ、マツダ「CX-30」、2020年になると6月に日産「キックス」やトヨタ「ヤリスクロス」が新たに投入され、2021年初頭にはホンダ「ヴェゼル」がフルモデルチェンジするといわれているなど、コンパクトモデルのニーズが高まっていることがわかります。

 なぜ、これまで大きなことが当たり前だったミニバンやSUVでもコンパクトモデルで活発な動きが出てきたのでしょうか。

 国産自動車メーカーの関係者は次のように話します。

「各ジャンルで事情は異なりますが、軽自動車においては室内空間の拡充や走行・安全性能の進化が進んでおり、コンパクトカー並みを目指しています。

 そうするとかつての『軽自動車は不安』というマイナスイメージが無くなり売れる傾向になります。

 一方、ミニバンやSUVは軽自動車の逆の観点として、扱いやすくユーザーが関心を持ちやすいモデルとしてコンパクトミニバンやコンパクトSUVの開発を続けたことで、それぞれのエントリーモデルとして展開出来たため、売れる傾向になります。

 そして、コンパクトカーです。下は軽自動車から、上はミニバンやSUVといったジャンルの狭間にコンパクトカーは位置し、両者の商品力に磨きがかかるほどコンパクトカーは売れなくなります。

 しかし、コンパクトカーはグローバルでも展開されることもあり、商品力にさらなる磨きが掛かっているのです。

 これらの相対効果によって、近年ではコンパクトモデルが盛り上がりを見せているといえます」

※ ※ ※

 昨今、コンパクトモデルが盛り上がっている背景には各ジャンルが成熟した時期に入っていることも要因だと別の業界関係者はいいます。

 クルマに限らず商品は新たな可能性を常に模索し続けています。また、近年のユーザーニーズは年々細分化されていることもあり、「コンパクト×ミニバン」や「コンパクト×SUV」といった要素の掛け合いが必要なようです。

 そして、ヤリスやフィットが人気な背景には、上下ジャンルから迫ってくるモデルに対してさらなる磨きを掛けた結果ともいえます。

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