ヤリスとフィットは売れて当たり前!? SUVやミニバンでも小さい方が流行るワケ
コンパクト化傾向でも…セダンが巨大化していくワケ
ミニバンやSUVがコンパクト化していくなかで、セダンに関しては年々大型化。日本では、その目安として、「5ナンバー」から「3ナンバー」へのサイズアップが挙げられます。
5ナンバー車とは、排気量が2000cc以下もしくは全長4700mm以下、車幅1700mm以下、全高2000mm以下のクルマが分類され、どれかひとつでもサイズが上回れば3ナンバーです。
日本自動車工業会によると1993年の5ナンバー車の販売台数は、約254万台で全体の65.3%を占めていましたが、2018年は約131万台となり半減近くまで落ち込み3割以下となりました。
一方の3ナンバー車は、1993年時点では全体の約16%でしたが、2018年には一転し、5ナンバー車を超える約158万台を記録しています。
かつての国産車は、トヨタ「パプリカ」や「カローラ」、日産「サニー」などの小型車が販売の主流でしたが、高度成長期を経て裕福層の家庭が多くなると、より大きく快適なクルマが求められるようになり、1960年代には日産「セドリック」、1980年代にはトヨタ「クラウン」が3ナンバー化。
そして、大型化を加速させることとして、1993年に道路運送車両法の保安基準改正によって、1994年4月から販売されるクルマに「正面衝突実験」が義務付けられました。
これは、事故などの衝撃をエンジンルームなどで吸収し、乗員スペースを確保する衝突安全ボディの性能評価です。
実際にクルマの安全性評価をおこなうNCAPの衝突実験動画では、1998年式と2015年式の「カローラハッチバック」が正面から衝突した際、1998年式は運転席が潰れているのに対し、2015式の運転席は形状を保っていました。
この実験に使われた1998年式モデルは、「カローラ CSI Seca」というハッチバックモデルと見られ、ボディサイズは全長4095mm×全幅1685mm×全高1380mmです。
対する2015年式モデルは、11代目「カローラ(ハッチバック)」となり、全長4275mm×全幅1760mm×全高1460mmとなっています。
衝突安全ボディ構造やそれに伴う衝撃吸収部材などの追加や補強、さらにレーダーやカメラなどのセンサーに加えて、衝撃被害軽減ブレーキや横滑り防止装置などさまざまな安全装備を搭載することで、クルマのサイズは大型化していきました。
クルマが大型化する要因について、国産自動車メーカーの開発者は次のように話します。
「クルマの安全に対する考えが年々重要視されていったことに伴い、『アクティブセーフティ(予防安全)』、『パッシブセーフティ(衝突安全)』、さらに運転者の疲労軽減を図る『運転支援』といったものが定着しています。
これにより、構造上や関連部品や部材の追加と室内空間の確保を考慮した結果、ボディサイズが大型化したのです。
また、国産車に限っていえばグローバル化や開発効率の向上から、クルマのベースとなるプラットフォームが共通化されているため、グローバルで評価されるボディサイズが求められます。
そのため、日本よりも道が広く長距離を走るクルマは走行安定性を求めて、大きくなっていくのです」
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日本ではセダン市場が縮小傾向にあるといわれ久しいですが、海外では一定のニーズは存在します。その結果、日本よりも海外でのニーズを優先した結果、大きくならざるを得ないのです。
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